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ストロベリーリナックスのL/Cメータを作る

  • 2010/09/29 13:27
  • カテゴリー:make:

ファイル 410-1.jpg

 先日,日本橋のシリコンハウス共立で購入した,ストロベリーリナックスのL/Cメーターキットを作ってみたわけですが,その感想をば。

 Ver2になってからも結構な時間が経っている定番キットですので,その感想なぞ誰ももう期待しないと思いますが,遠慮せず書いてみます。

・キット?
 書き込み済みのAVR,LCDもCR類も揃っていて,ガラエポの両面基板にハンダ付けするだけのキットですから,とても気楽ですし楽しく製作できます。スイッチも基板上にハンダ付けするので,ケースに入れなければ使えないというものではなく,私のようにものぐさでケースに入れるのを億劫がる人でも,さっと使える実用キットだと思います。

・回路図?
 キットとして致命的というか,もはや言語道断なのは,回路図がないことです。AVRのソフトを公開せよ,といってるのではないですよ。純粋に,キットで回路図がないのは話にならない,ということです。
 なにか公開できない秘密でもあるんでしょうか。Ver1では公開されていたそうですから,別にストロベリーリナックスが意地悪をしているような感じではなさそうです。
 しかし,回路図がないと壊れた時に修理も難しくなりますし,実はキットの組み立ての段階でも,間違わずに部品を取り付ける重要な情報になります。
 それに,キットというのは,改造して性能アップを行ったり,使いやすくするということが日常的に行われるものですが,回路図がないと,それも難しくなってしまいます。
 どこが性能に影響するのか,なにか精度を左右するのか,その部品はどういう働きをするのか,そういうことが回路図には出ています。初学者が勉強になるのはキットのそういう所が優れているからですし,電子工作を実体配線図だけでやり遂げたところで,あまり意味がないのではないかと思います。
 私は,この事実で,ストロベリーリナックスという会社に,ちょっと疑問を感じるようになりました。

・説明書?
 苦言を呈してばかりですが,なにせ説明書が読みにくく,よく読んでもいまひとつピンときません。ボタンは4つありますが,なぜ4つのボタンを用意したのか,4つのボタンにはどういう機能をアサインしたのかが体系的に書かれておらず,校正時にはこうしろ,コントラスト調整はこうしろ,ゼロ調整はこうしろと,機能を軸に説明をしてあるのですね。
 それでもいいのですが,結局使わないスイッチがあると,これってなんのスイッチだ,と言うことなるわけで,それを解決することも説明書の役割です。いかにも理系の人が書いたという感じがする説明書という印象で,悪意はないのですが,褒められたものではないでしょう。

・性能?
 誤差は1%と大々的にいってはいますが,誤差1%をキープできるのは,コンデンサでは10pFから0.01uFくらいまでです。もちろん,小さい方に浮遊容量由来の誤差があるのはわかりますが,フィルムコンデンサやセラミックコンデンサでも1uFを越えるものが普通に手に入る昨今,0.01uFくらいまでしかダメというのは,ちょっと厳しいです。
 さらに致命的(致命的な話ばかりですみません)なのは,0.01uFから0.1uFだと,誤差が3%くらいになると書かれているのです。
 いや,3%になるのは仕方がありません。しかし,問題は,1%をうたった測定器が,あるところで3%,それ以上の誤差を持つ事を書いてしまっていることです。では,1.2%はどこのあたりから,1.8%はどのあたりから,と,表示されている値をどこまで信じていいのか,わからなくなってしまうのです。
 これなら,1%を維持できる容量はどこからどこまで,3%ならどこからどこまで,と書くべきであり,この製品のように0.01uFから0.1uFで3%程度,では,あんまりだと思うのです。
 これを少し深読みして,0.01uFまでなら1%,0.1uFまでは3%と判断してもよいのですが,なら0.03uFならどうなのか,0.082uFならどうなのか,3%程度というのはどういうことなのか,使う人の想像力に任されてしまいます。測定器を名乗るなら,これはダメです。
 それと,0.47uFのコンデンサを測定してみたのですが,0.26uFと半分ほどの値を示しました。説明書には誤差が大きくて使えないとあるので文句は言えませんが,未知の値を測定するのに,倍近く異なる値を平気な顔をして表示するというのは,ちょっと不親切かなという感じもします。いや,これは使う人が気をつければよいということにしておきましょう。
 なお,インダクタはなかなか良さそうです。測定範囲は0.1uHから10mHですので,普通に使うものは十分測定可能ですし,コンデンサのようにテスタに測定機能があるわけではありませんので,この際コンデンサの容量計はオマケで,インダクタンスメーターとして割り切って使うべきだと思います。

・バグ?
 ゼロ調整ですが,どういうわけだか電源を切っても保存されるべきなのに,保存されずにもどってしまいます。
 一度,コンデンサを付けたままゼロ調整を誤って行って,大きくずれたオフセットが記録されてしまい,戻せなくなってリセットをかけたのですが,どうもゼロ調整は2回連続で行わないと,記録されないっぽいです。バグですかね。

・結論?
 とりあえず,容量計はあまり信用できません。小容量品の測定には威力を発揮しそうですが,私のように高周波に無縁な人には,あまり必要性がないといえるでしょう。1000pFとか,1%精度で追い込む人なんかにはありがたいかも知れませんが,そんな回路の設計なんて,正しい設計なんですかね。
 インダクタンスの測定はとても便利に使えそうです。スイッチング電源を自作することがホビーストにも求められる時代になりましたが,そこで活躍するのがインダクタンスメーターでしょう。ジャンク品の流用,実測値の測定,手巻きで作るなどなど,テスタで代用できないだけに,貴重な測定器だといえそうです。

・おすすめできる?
 難しいですね,インダクタンスを測定したい人は,4600円の価値があります。コンデンサの容量測定をメインにするなら,買わない方がいいでしょう。もう4600円追加して,よいテスタを買いましょう。
 1000pFくらいを1%で測定したい極端なマニアは,すでにこんなの持っていると思いますので,今から買おうかどうか考えている人は,ちょっと考えた方がよいように思います。
 決して使いやすいわけではないし,回路図もない,実用機器を作るだけのキットで,しかし案外実用度が低いとくれば,残念ですが積極的にはおすすめ出来ないなというのが,私の結論です。

 ということで,もう作らなくてもいいかなあと思っていた容量計ですが,やっぱり作ろうと思います。

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