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ラムダッシュの自動洗浄は戦場になり得たか

 ラムダッシュの髭剃りは,連戦連敗,現在停戦中という感じです。

 といいますのも,様々な作戦を考えましたが,ことごとく失敗し,結局振り出しに戻っているからです。

・スポンジで泡消し大作戦!

 先日予告したとおり,洗浄液がタンクに吸い込まれる際,高いところからボトボトと落とされることで泡が発生することを防ごうと,タンクの内部にある洗浄液の入り口の部分に,目の荒いスポンジをはめ込んで泡を消すという作戦を実行してみました。

 目の荒さは大体1mmから1.5mm程度のスポンジです。これを長細く切ってから指で丸め,爪楊枝くらいの太さにしてタンクの洗浄液の入り口にねじ込んでいきます。

 上手い具合にタンク内部で少し広がり,四角い口にぴったりとはまりました。これは期待できそうです。

 早速洗浄スタート。しかし結果は惨敗。確かに穏やかに洗浄液が流れるようになったのですが,洗浄液に空気が噛み込んでいる現状は変わっていないわけで,スポンジを通るとますます小さな泡が発生して,タンクがいっぱいになりました。

 というわけで,次の作戦を考えます。


・セパレータで泡を仕切る大作戦!

 ネーミングになんのひねりもないわけですが,それはそれとして,次の作戦はもう少し高度です。泡の発生が抑えられないというのであれば,その泡が空気抜きのパイプが繋がる穴に近づかないようにしてやり,空気を抜くときに泡を吸い込まないようにしてやればよい,まさに逆転の発想です。

 ここで偉人の伝記なら大成功で大金持ち,てなもんですが,素人の工作にそんな夢のある話はありません。とっととその発想を具現化する仕組みを考えます。

 タンクを外側から見ると,向かって左側が吸い込み口,右側に吐き出し口と空気抜きの穴が空いています。泡の発生は左側で起こっていますので,これが右側に来るのを遮ればよいのです。

 そこで,タンクの真ん中に,仕切りを設けてあげます。上側はぴったり天井にくっつけ,下側は開けておきます。こうすれば泡は液面上にしかいられませんから,仕切り版で仕切られた左側から動けませんが,洗浄液は仕切りの下側の,左右が通じている部分で自由に行き来できます。

 この作戦,私は自らの天才っぷりに恐怖しました。

 しかし,画期的なアイデアも,実現出来ずにこけるケースも多いです。バベッジが当時の工作精度では実現出来ない解析機関を設計したのと同じことです。(とこう書きましたが,最近の研究では,当時の工作技術でも十分な精度で動作する設計だったことが分かってきたそうです。解析機関が実現しなかったことの理由として,当時の加工技術をあげるのは少なくとも正確な答えではないのだそうですよ。)

 0.4mm厚のプラ板を取り出し,ハサミでチョキチョキと現物に合わせながら仕切りを切って作ります。これを丸めてタンク内に差し入れ,中で広げてタンクの中で広げます。壁を押す力で固定しようという算段ですが,これが案外うまくいきました。

 早速テスト,洗浄スタートです。

 ごごごごと音を立てて,洗浄液がタンクの外に吸い出されていきます。戻ってきた洗浄液が盛大に泡を立てるところまでは同じですが,私の目論見通り,セパレータによって泡は左側からやってこれません。右側には小さな泡が薄く漂っているだけです。

 こ,これは,間違いない!自分の才能が怖い!

 と,思わず忙しそうに家事をしている嫁さんを大声で呼び出し,ほらほら泡がこんやろ,と講釈を垂れます。嫁さんは眠そうに火事に戻っていきましたが,そんなことはもうどうでもよいのです。

 そして洗浄の終盤,洗浄液がタンクに回収されてフィニッシュを迎える,その最大の山場で事故は起こりました。左側の大量の泡が,突如天井まであるセパレータを乗り越え,右側に攻め込みました。

 まさに羊の群れに襲いかかるオオカミ。

 まさに万里の長城を越える北方の異民族。

 まさに女湯と男湯を分けている温泉の仕切りによじ登るお約束のノゾキ。

 あれよあれよと泡は空気抜きのパイプを通り,ゲボゲボとソレノイドの近くの穴から吹き出しました。ここまで盛大に吹き出すというのは,もう水漏れどころの騒ぎではありません。

 ああ,正岡子規はこんな風に晩年を過ごしたのか。

 国破れて山河あり。

 原因は,セパレータの左右で液面の高さが変わってくることを計算に入れてなかったことでした。

ファイル 424-1.jpg

 写真をみるとおわかりでしょうが,左側の液面よりも右側の液面の方が高くなっています。

 これは洗浄液がタンクに入ってくる左側と,洗浄液なり空気なりが出て行く右側の間には圧力差が生じており,当然左側の方が圧力が高いため,液面が押し下げられて右側の液面よりも低い位置に来てしまうためです。

 いかに右側の泡が少ないとは言え,液面そのものを上げられてしまったら,実質泡が増えたのと同じです。そこへ左側の泡が流れ込んできたのですから,これはもうひとたまりもありません。

 自らの才能を信じた私は,完膚無きまでに打ちのめされました。そうだよな,パナソニックのような超一流企業に就職出来るような賢い人に,私ごときがかなうはずもねえわな,と,ようやくにして私は自らを冷静に見つめることが出来たのでした。


・こうなったらポンプも分解掃除だこのやろー

 なかばやけくそになりつつあった私は,とうとう禁断のポンプの分解掃除に挑みました。心臓のそれと同じ原理で動くポンプの分解は,取り返しの付かない状況に陥る可能性も高いです。

 しかし,医学の進歩というのは,尊い犠牲の上に成り立っているのです。

 分解してみると,弁にヒゲくずがかなり付着しています。これがリアル心臓だったりすると死に至るわけだなと思いながら,弁を取り出し綺麗に掃除します。元のように組み立てて,機密が保たれていることを確認して組み立てます。

 緊張のテスト。とりあえず正常に動作しています。泡の発生もここなしか少なくなっているようです。ポンプの分解掃除というのは,案外効き目があるのかも知れませんが,結局なにも根本解決にはなっていません。


・それで・・・

 結局,結論は,洗浄液の量を少し減らして,泡が発生しても空気抜きの穴に届かない程度の液面の高さにすることです。上手く調整してやると,最後まで泡を吸い込まず,綺麗に終了することがわかりました。

 もちろん,こうすることで洗浄液の総量が少なくなり,洗浄液の交換間隔も短くなったり,濃度が上がることでもっと粘度の高い液体になる可能性も否定できません。しかし,この方法しか今は思いつかないというのも事実です。

 なんとか上手く動いていますし,これで様子をしばらく見ようと,冷え切った体を引きずりながら,私は洗面台を後にしました。

 しかし,留守の間に洗浄するのは恐ろしくて出来ません。早く帰宅して試す事にしましょう。

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 ところで前回の訂正です。

 洗浄液の循環ルートについて,誤りがありました。ポンプの分解を行った時に確認したのですが,前回の説明とは違った部分がありました。

 洗浄液がたまるプールの底面には小さな穴が空いており,これがカートリッジの上の穴に繋がっていることは正しいです。しかし,プールの少し上の部分にある排出口は,ある高さを超えると洗浄液が流れ込んできて,プールから洗浄液があふれることを防ぐというのは,誤りです。

 この少し上の排出口も,カートリッジの上の穴に繋がっているので,カートリッジのバイパスにはなっていません。ではどういうことかというと,実はこの少し上の排出口こそが,メインの循環ルートです。

 洗浄液はこの排出口から液が流れ出ることで,一定の液面の高さを保ちます。こうしてヒゲくずは洗いながされるのですが,プールの下からカートリッジに流れ込む洗浄液の量は少なく,主にこの排出口から戻っていきます。

 もっというと,洗浄液が出て行く穴を上と下の二箇所に設けたことで,重いゴミは下から,軽いゴミは上からと,万全を期す仕組みになっていたと考えるべきでしょう。

 そして,上の排出口により一定の液面が保たれますが,空気抜きが行われると液面が下がり,下の穴から抱け洗浄液が回収されます。このことでプールは空っぽになります。

 下側の穴から出て行く洗浄液の量より,プールに入り込む洗浄液の量が多いと,こういう仕組みででプールに一定量の洗浄液を維持して循環させつつ,空気を抜くだけでプールを空っぽに出来るという,シンプル割にはなかなかよく考えられた仕組みだったのです。

 この仕組みに思い至ったとき,私は自分の浅はかさと愚かさに,恐怖しました。

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