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絶滅危惧種を保護

  • 2011/05/16 21:11
  • カテゴリー:散財

 市場規模が小さいが故に,プロのおこぼれで楽しめているアマチュアの電子工作ですが,面実装品が主流になった現在,アマチュアが好んで使うリードタイプの部品は軒並み生産中止になっています。

 外形が変わっただけならなんとかなるのですが,時代と共に使われなくなってしまい,流通在庫だけになった貴重な部品も数多く,それがまた20年,いや30年以上前の製作記事に顔を出すこともしばしばです。

 今さら2SB56やOA70ってのもないでしょうが,1S1588や2SD880ですら入手出来なくなった昨今,製作記事の新陳代謝が進んでいない現状が悲しいです。

 また,私のように,昔作ったものをそのまま使い続けている人など,それら部品は保守に不可欠なものであり,まさに死活問題です。

 先日,MOS-FETのアンプをメンテしましたが,ここで気になっていたのがuPA63HというデュアルFETです。これは耐圧60VのJ-FETが2つ封入されたもので,70年代から80年代のパワーアンプの初段にはよく使われたFETです。

 今時FETなんていくらでもあるだろうと思っていたのですが,最近は差動増幅などOP-AMPを使うのが普通ですし,パワーアンプもデジタルアンプ全盛の時代ですので,この手の部品は絶滅したと考えて良いのかもしれません。

 これに限らず,デュアルFETやデュアルトランジスタは現行品がほとんどどの品種も入手が難しく,高値で取引されているようです。新規の回路はOP-AMPでよくても,保守用の部品として2SK389や2SC1583などが欲しい人はいるでしょう。

 というわけで,uPA63Hを今のうちに一生分手に入れてしまおうと画策したわけですが,他にも必要な部品で最近見ないものを手に入れておくことにしました。


・uPA63H
 NEC製,デュアルのJ-FETで高耐圧品としては貴重な存在。奥澤清吉先生のMOS-FETアンプの初段の差動増幅に使われている。残念ながら60Vに耐えるデュアルFETというのは,そうそう見当たらない。私も当時,大阪では入手できずに,秋葉原のある店から通販で入手した記憶がある。
 メーカーのアンプでも多用されたメジャー品種らしいが,その割には仕様書がネットに落ちていない。

・3SJ11A
 3SJのトップナンバーでNEC製。4本足のP-chのMOS-FETでエンハンスメント型,しかも保護ダイオードがないので敏感なゲートが丸出しという,とっても恥ずかしい小信号FET。エンハンスメント型のMOS-FETで小信号用など,独立した部品として存在しているだけでも珍しく,しかもダイオードによるリークがない(裏を返すととっても壊れやすい)貴重な存在。
 平たく言うと「使い道がない」ということで,私も静電気検出器としての例を見たことがあるだけ。

・SM16D12
 東芝の電力用トライアック。1988年のCQ出版の規格表ですでに保守品になっているくらいの古いデバイスで,パッケージも特殊なもの。
 昔のサイリスタやトライアックなどは,いかめしい特殊な形をしているものが多くて,写真で見たことがあるだけだった私は,1つ200円という特価につられて買ってしまった。本当は底面からネジが出ているものが欲しかったのだが,ちょうどチューブ入り練りわさびのキャップのような大きさで,専用の金具で固定して使う。

・N13T1
 NECのPUTで超定番だが,最近は入手が難しくなっている。PUTとはProgrammable Uni-junction Transistorの略。少ない部品で発振回路を作ることの出来るUJTの特性を外付け抵抗で変更できる部品なのでこの名が付いたが,UJTとは内部構造が全く異なり,どちらかというとサイリスタの仲間。
 なおPUTは海外メーカーでは現在もバンバン作られている。

・AMD P8088
 AMD製の8088。インテルがオリジナルの16ビットCPU。初代IBM-PCに採用され,インテルとマイクロソフトがパソコンの世界に君臨するきっかけとなったCPU。40ピンのDIPは今見てもしびれる。
 よく考えると私は8086も8088も持っていないので,1つくらい持っていてもいいか100円だし,と1つだけ購入。

・03P4MG
 NECの小型サイリスタ。400V300mAでTO-92に入っている。この手の小型サイリスタもいつの間にやら絶滅危惧種で,2SF656やSF0R3G42,CR02AMといった当時の定番も,探さないと買えなくなっている。
 実は中学生の頃から使っている共立電子のオリジナルキットの安定化電源器の保護回路に使われており,パワートランジスタが万が一壊れると一緒に巻き添えを食って死んでしまう可能性が高いのであわてて購入。TO-202やTO-220に入っている中型のものは,電気毛布などにも使われているので当分大丈夫なはず。とにかく,三菱とNECと日立が統合して,この手の電力素子は入手が難しくなった。

・uPC2002H
 NECのパワーアンプICでかつての定番。TO-220に入っていて5.4Wの出力が取れる。秋月でも売っていたが,今でも買えるかどうかは不明。1個50円だったので購入。基本的にカーオーディオ用のアンプには,見るべきものはない。
 と思ってgoogle先生に質問すると,実はアマチュア無線機によく使われていたらしい。しらんがな。

・リードスイッチ
 NEC製。ガラス管の中に接点が封入されており,外からの磁力で接点がくっつくスイッチ。メカトロには欠かせない部品のはずが,これも最近あまり見ない。
 とはいうものの,今月号の子供の科学にはこれを使った工作が出ていたなあ。1つ25円。これも一生分大人買い。

・フィルムコンデンサ0.047uF 100V1%
 オカヤのフィルムコンデンサで,0.047uF。こんな珍しくもないコンデンサをわざわざ買うこともない思うなかれ,誤差1%品はとても貴重。しかも国産。そのくせ1個10円と安かった。

・BT33F
 中国製のUJTが安売りされていたので購入。1つ90円。UJTは負性抵抗を持つ特殊なトランジスタで,これに数個のCRでのこぎり波を発振させることができた。サイリスタなどのトリガに使われた当時も特殊な部品だったが,東芝の2SH21は価格も安く初歩のラジオや子供の科学にはよく登場した。
 しかし今はほぼ絶滅。通信工業用の2SH25などは高価だし,昔の工作記事を復活させるために安価なUJTが渇望された。幸いUJTにはそんなに品種もなく,特性もそんなに変わらないので,中国製でも十分代用品になるはず。

・TA7666P
 東芝のレベルメータIC。5点表示だが2ch入っており,1つでステレオ対応が可能。初歩のラジオのカセットシリーズのうち,レベルメータの製作で使った事があるが,当時も入手が難しく,読者交換欄を使って入手した記憶がある。少なくとも大阪では買えなかった。大したICではないが,それだけに思い入れのあるIC。

・LMF501
 ミツミのAMラジオICで超定番。元々は三洋のLA1050がオリジナル(正確にはフェランティが本当のオリジナル)だったが,これが生産中止になってから互換品として頻繁に使われた。しかしこのLMF501も生産中止になり,少し性能が落ちる中国製のICが定番になりつつある。
 LA1050はオリジナルを1つだけ持っているが,もったいないので使わない。AMのストレートラジオ向けとは言え余裕のある性能を使い切り,短波ラジオなどを作る記事もあった。LM3909などと列んで,使いこなしの面白いIC。

・TA8122AN
 東芝のAM/FMラジオIC。ヘッドフォンアンプまで含んでおり,本当に1チップでステレオのFMラジオを作る事が出来る優れもの。
 かつて秋月でパーツセットが売られており,持ち歩きのFMラジオが欲しかった私はかなり小さく作ったが,なぜか弟にあげてしまった。性能はかなりよく感激した記憶があるが,このパーツセットはもう手に入らないため,せめてICだけでもと購入。

・TA7368
 東芝のパワーアンプIC。SIPパッケージ,外付け部品が3つだけ,と言う特徴を持つ小型アンプICで,ポストLM386の最右翼だった。10年ほど前にはよく見たものだが,製造が1社のみ(しかも日本のメーカー)のため互換品がなく,価格も入手性もLM386には及ばず,涙を呑む。

・BA1404
 FMステレオ送信IC。この手のICとしてはNJM2035Dが超定番で,昔から製作記事にキットにと大活躍だったが,実はあまり特性は良くない。もう少し高性能なキットにはこのBA1404が使われていたのだが,あまり市販されておらず誌面では一般的ではなかった。
 あれから25年,すでにこれも絶滅危惧種。そもそも現在の電波法に合致するのかどうなんだか。

・2SA950
 東芝のトランジスタで,2SC2120のコンプリ。モーターや電球など少し大きな負荷を扱うときには重宝する定番品種。秋月で買ったつもりが家に帰ってくると隣にあった2SC2120と混ざっていたらしく,腐るほどある2SC2120がまた増えた。以前は品切れだったりしてよくよく秋月では2SA950を買うことが出来ないものだ。

・2SA1815Yと2SA1015Y
 今さら説明不要,世界の標準品2SC1815と2SA1015。けど,Yランクをまとまった数買うというのはちょっと難しくて,GRランクとかBLランクがまとめ売りされていることが多かったりする。今回は最もよく使うYランクを200個手配。もう死ぬまで使えるはず。
 しかし,買うときに東芝製と海外製が選べるというのは驚き。

・M65850P
 三菱のデジタルディレイIC。三菱はカラオケとかオーディオ用になかなか面白いASSPをたくさん作っていた時期があって,スプリングリバーブからBBDを経て,デジタルディレイの時代になった時にこの手のICをいくつか出していた。本格的なDSPを使うまでもなく,エコーやサラウンドの遅延を作るのに手軽に使える。
 M50195は64kビットのDRAMが外に必要だったが,このICは20kビットのSRAMを内蔵。自作エフェクタの世界でもディレイやリバーブといった空間系のエフェクトは,BBDが絶滅してから余り目にすることがなくなったが,もっとこれを使って作れば良かったのにと思う。

・ネオンランプ
 抵抗入りで発光色は緑。ブラケットに入っているタイプ。正直あまり格好の良いブラケットではない。ネオンランプはその名の通りネオンを封入した放電管で,75Vで放電する。100Vを直結すると一瞬で壊れてしまうので必ず抵抗を直列に入れる。
 実は,ネオンランプというのは電流がほとんど流れない。よって消費電力がほぼゼロ,発熱もないという優れた発光素子で,パイロットランプにはこれほど都合の良いものはないと思っているのだが,最近はLEDに駆逐されてさっぱり見なくなった。


 こんな感じです。

 これまでにも,例えばTA7343,NJM3359やLM3909,2SK389や2SK241なども集めてあります。2SK134の代わりに2SK1058を買ってありますが,何年かごとにふとこうして,古い部品を買えるうちに買っておこうと行動を起こすことがあります。

 しかし,買ったことを忘れてしまうこともしばしば。嫁さんにいわせると,まるでモズのよう,らしいです。確かにそうかも・・・

 それに,2SC1815を600個買っても,死ぬまでに100個使うかどうかというところでしょう。本当に必要としている人が買えない事に後ろめたい気持ちがないわけではありませんが,我々の前の世代の人も真空管を押し入れにため込んでると思いますので,まあ歴史は繰り返す,という感じでしょうか。

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