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秋月で出た出物

  • 2011/05/23 22:54
  • カテゴリー:散財

 いろいろなパーツ店から,通販で絶滅危惧種の部品を確保するという短期プロジェクトの総仕上げは,秋月での買い物です。

 秋月は安いんだけども送料が高くて,数をまとめないと割が合わないという,20年前の考え方をそのまま引きずる私も大概貧乏性だと思いますが,秋月で買い物をするときにはやっぱりある程度まとめて買うことを自然にやってしまいます。

 秋月で確保したかったのは,2SK241です。2SK241は1980年代の電子工作の世界に颯爽と登場した,画期的な高周波デバイスでした。

 それまで,高周波のプリアンプとしては,3SK**などという,いかめしいCANタイプの4本足MOS-FETが使われるか,あるいは2SK19などのJ-FETが使われたりしていましたが,この2SK241はMOS-FETでローノイズ,ゲインも十分に取れ,周波数特性も良く,しかも安いという決定版でした。

 さらに,2SK241には大きな特徴があって,デプレッション型のMOS-FETなので,ゼロバイアスで使用するのです。つまり,ゲートにバイアスをかけません。回路設計がとても簡単になり,部品点数も減って,例えばアンテナブースターとかプリアンプとか,そういう高周波の工作が一気に初心者用に下りてきました。

 高周波の工作ではことごとく失敗を重ねた私も,2SK241を使った工作で失敗をした記憶がありません。デバイスの性能が良くて,再現性の高い製作記事が多かったのでしょうね。

 当然,メーカー製のトランシーバーやFMチューナーなどにも多用され,この世界の定番品種です。しかし,リード部品の一斉廃番の影響か,この優秀なデバイスも生産中止になってしまいました。

 他のメーカーの2SK241対抗品種は早くに精算を終え,ちょっとばかり性能が良かったりしたものはプレミア価格で取引されているそうですが,2SK241は在庫も豊富なのか,まだ秋月で1つ40円で買うことが出来ます。

 今のうちだなあと思った私は,これを50個買うことにしました。それでも1000円ですからね,安いものです。

 秋月の注文ではYランクのみの販売ですので,全部Yランクが届くと思っていたのですが,1/3ほどBLランクが混じっていました。いやー,秋月ですねえ。Yランクばかり50本あるより,違うランクが混じっているほうがありがたいので別に構いません。

 後は小型のリレーを買いました。2回路の小型品で,コイル電圧は5Vです。特に急ぐこともないし,何かを作ろうと思っているわけでもないのですが,ちょっとした切り替え機に便利に使えます。リレーはついついお店でも買うのを忘れてしまうので,こういうときにじっくり選んでまとめ買いをするのは,悪くありません。

 もう1つ,再発売のところを見ていたら,なんとD3372が80個限定で波尾愛されているところに出くわしました。結果から言うと,わずか2日で完売したので,偶然見つけた私はラッキーだったと思います。

 D3372?

 そうです,昨今話題のガイガーカウンターのキーコンポーネントである,ガイガーミューラー管です。20年ほど前に販売されていた秋月オリジナルのガイガーカウンターキットは,当時を知るアマチュアホビーストの語りぐさになっていますが,このキットが販売されなくなったのは,D3372を製造する浜松ホトニクスのベテラン職人が,定年で辞めて作られなくなり,入手が難しくなったからとか,そうでないとか。

 ちなみにD3372のオリジナルは,かのPhilipsの18509-02というものらしく,これの仕様書は簡単に手に入るので,見てみると面白いと思います。

 秋月によると,キットの保守用の部品として80個だけ確保してあったそうですが,こんなご時世という事もあり,吐き出すことにしたとのことです。残念な事に,キットに必要なトランスの入手が無理なので,キットとしては販売できず,あくまでD3372のみでの販売ということでした。

 当時,確か3500円だったと思うのですが,今回は4700円です。うーん,足下見とるなあ。

 ガイガーミューラー管の入手はなかなか難しく,また数社から販売されている安価なガイガーカウンターキットも,その価格の半分がこのガイガーミューラー管のお値段という事です。ロシア製,ウクライナ製,中国製が入手可能だそうですが,ebayなどで買うしかないそうです。そんなおそろしい買い物出来るかよ,と私はあきらめていたわけです。

 後で知ったのは,アキバの千石電商の店頭で,ロシア製だかなんだかのものが買えるそうです。でも新品なのかどうかは,私にはわかりません。

 というわけで,私がポチッた数時間後には,もう売り切れていました。

 これらが週末に届いたわけですが,やっぱりメインはD3372でしょう。短くなった鉛筆のようなかわいらしい外観ですが,これが放射線を検出する硬派で無頼で,「おっとお嬢さん,俺にさわっちゃやけどするぜ」みたいなことをほざく真空管とは,ちょっと想像が付きません。

 しかし,私は秋月のキットも持っていませんから保守用に確保する必要はありませんし,まして記念品として大事に取っておくこともするつもりはないので,これはやっぱり,ガイガーカウンターとして作り上げて,日々の安心を確保するに限ります。

 早速google先生に聞いてみたのですが,まあすごいですね,いるわいるわ,ガイガーカウンターを自作する人がたくさんいらっしゃいます。2chにスレが立つほど盛況です。入手が難しい部品の確保や作り方のノウハウ,マイコンを使う場合はそのソースも公開されており,部品さえ揃えば誰だってガイガーカウンターを作る事も出来るでしょう。

 最初はゼロから作るつもりだった私ですが,面倒になったので回路もソースも頂いて来ました。これをD3372向けにカスタマイズし,さっさと作ろうかと思っています。

 面白いのは,ガイガーカウンターを,簡易線量計にすることが出来るという話です。これは私もよく知りませんでした。

 ガイガーカウンターというのは,放射線が1つ飛んでくると,パルスが1つ発生するセンサーです。強い放射線が出ていれば,それだけパルスの数は増えるわけですが,1分あたりのパルス数を数えるのが,ガイガーカウンターです。

 最近耳にするSvという単位は,放射線の人体に対する影響を表す単位ですが,放射線が強ければ影響が大きいわけでですから,カウント数とSvには,なんとなーく相関があると考えられます。

 例えば,先のD3372は,1時間あたり1ミリレントゲンの線量のγ線が飛んでくると,1分間あたり104回のパルスを出すと,データシートに記載があります。

 ここで,1ミリレントゲンは8.77マイクログレイで,これは8.77マイクロシーベルトです。1時間あたり1ミリレントゲンの時に104回のパルスですので,1時間あたり1マイクロシーベルトだと,104(cpm)/8.77(uSv)=11.8586(cpm)です。1分間に12回ほどパルスが出ると,1uSv/hとなるわけですね。

 もちろん,β線では全然違う値になりますし,γ線でもコバルト60からなのかセシウム137からなのかで違う値になるそうですから,あくまで目安,と言うことです。

 よって,D3372が1分間に1つのパルスを出したら,11.8586の逆数ですから,0.0843uSv/hとなります。1分間に発生したパルスの平均にこの値をかけ算すると,およその線量が分かるというところまできました。

 この値,実はロシア製や中国製のガイガーミューラー管に比べて,一桁ほど感度が低いのです。D3372は他に比べてとても小さいサイズなので検出感度も低いのでやむを得ない所です。そもそも,放射線量の測定って,よく分からないことだらけです。距離の二乗に比例して弱くなるとか,β線とα線も一緒に飛んでくるとか,プラトー電圧によって感度が変わるとか,こんなに条件が管理されないといけないはずの測定なのに,なんとどんぶり勘定なことかと思います。

 ただ,相対値として,普段の数より多い,ということが分かることがこの手の測定では重要といえるでしょうから,ぜひ半導体式の簡易線量計が安く出回るようになることを願いたいと思います。高くても29800円までで買えないとねえ。

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