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Nikon1はなぜ響いてこないのか

 ニコンから,かねてから噂のあったミラーレス機が発表されて,しばらく経ちました。噂では11月初旬にはキヤノンからも「何らか」の発表があると噂されています。

 この時発表されたのはNikon1というブランドネームと,その第一弾となったEVFを持ったNikon1 V1と,廉価版のNikon1 J1の2つです。

  発表会は台風にかき消されてそれどころではなかった感じが残念ですが,一応期待していた私としても反応をしておかねばなりません。以下は発表当日にごちゃごちゃを書いた物で,現在の状況とはちょっと違っているかも知れません。ただ,当時の印象が正直に書かれているので,そのまま修正せず残して起きます。

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 結論から言うと,これは見送り。というか,かすりもせず,自分とは関係ない世界のお話と思いました。そもそもミラーレスの向かう方向が私の望むものと違っているので,どのメーカーのどの製品も今ひとつな感じがあるのですが,このNikon1はその最たる例という印象です。

 Nikon1の特筆すべき点は,撮像素子にAFセンサを作り込み,ミラーレスでも位相差方式のAFを実現したことです。推測の域を出ませんが,昨年秋に富士フイルムからこの撮像素子の発表と搭載製品の発売があったことを考えると,富士フイルムから供給を受けているのではないかと思います。(一部ではNikon1自身がOEMであるという話も出ているようです)

 ということで,別に真新しい話ではなく,褒めるべきはこういう特異な技術を採用する勇気についてだということになりますが,これがNikon1の唯一のこだわりでしょうか。

 メカシャッターを持たないこと,わずか1インチサイズの撮像素子であること,35mm換算で2.7倍の焦点距離であることで広角が苦しくなること,その割に本体が大きいこと,Fマウントアダプタが大きすぎ,またNEXのマウントアダプタのようにメーカー純正ならではの特徴がなくニコン謹製である必要を感じないこと,そして撮影モードの切り替えがメニューから階層に潜ってでしか行えないこと,というのが,私がぱっとみて感じたダメな点です。

 ニコンは伝統的に商売は下手です。不変のFマウントとか言ってますが,Fマウント以外のマウントのカメラを出したことがないわけではありません。そのマウントが結局死滅したからFマウントが残っているだけの話です。むしろ,キヤノンやペンタックスはマウントを「変えた」わけで,「追加した」ニコンに比べて,不退転の決意や意地があったと見るべきかも知れません。

 NEXがAPS-Cサイズの撮像素子を採用したのは,一眼レフの画質をそのまま維持して本体を小型化したかったという明確なコンセプトがありました。また,マウントアダプタを使って世界中のレンズ資産を手にするという野望のために,そのマウントも慎重に設計されました。素晴らしい事だと思います。

 他方PENTAX Qは,コンパクトデジカメと同じ撮像素子を使って,どこまで一眼レフに肉薄できるかに挑んだカメラです。小型の撮像素子には,本体を小型化できる事やこなれているためコストも有利ですし,使いこなしのノウハウもあります。その上でデメリットをどれくらい解消できるかを,PENTAXはテーマに掲げ,その成果を世に問うたわけです。

 マイクロフォーサーズのオリンパスPENは,過去の慣例に縛られずにデジタル一眼に最適なフォーマットとして練りに練られたフォーサーズから,ミラーボックスをなくしたカメラであり,画質と小型化を高い次元でバランスしたフォーサーズという規格自身が持つ高いポテンシャルから,自然に無理なく誕生したと考えるべきでしょう。もうちょっと大げさに言えば,つまりフォーサーズの段階で彼らはミラーレスを生み出すだけの検討を大方済ませてあったということです。

 翻ってNikon1です。撮像素子は,なぜ1インチでなければならなかったのかという明確なメッセージが届いてこない上に,なぜこのマウント径になったのか,フランジバックが17mmになった理由はなんなのか,今ひとつ響いてこないのです。

 単純に一眼レフとコンパクトデジカメの間にあって,それぞれのテリトリー(それは市場という意味でも開発者の縄張り意識という意味でも)を侵さないように作られたとしか,今のところ思えません。

 今のところ,と書きましたが,この後ニコン自身からもいろいろ理由が出てくることでしょう。頭のいい人が思いついた後付けの理由だって出てくるでしょうが,私に言わせれば,その製品を見た時に,見た人の多くが「メッセージ」を直接受け取るようなものでなければ,それはもう魅力的な製品ではないということです。お客さんをなめてはいけません。必ずバレます。

 よく考えてみないとわからない,よく考えてみても結局わからない,そんな製品が,支持されるはずはありません。

 ニコン自身も言っていますが,コンパクトデジカメに不満のある人の受け皿として,Nikon1を作ったそうです。しかし,一眼レフより高価なくせに,一眼レフより表現力も劣り,一眼レフに比べて特に使いやすいわけでもない中途半端なカメラが,その将来性も分からないままに買われるとは,とても思えません。

 それに,レンズ交換が出来なくとも,高画質なコンパクトデジカメはいくらでもあります。GR Digitalしかり,DP1しかり,FinePix X100しかり。どうも,レンズ交換可能なことが目的になっているようで,レンズ交換によってどんなことがお客さんに提供出来るかが見えなくなっているように思われてなりません。

 レンズ交換の目的は,様々な撮影シーンに対応すること,もうこれに尽きます。ズームレンズが今ほど性能が良くなかった時代,レンズ交換という機能は,決して歓迎された機能ではなかったことを思い出すべきです。

 マイクロフォーサーズは,ちゃんとレンズのロードマップを出しています。PentaxQは,5本ものレンズを同時に発売しました。では,Nikon1はどうでしょうか。レンズ交換でなければならない理由が伝わってきますでしょうか。

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 ・・・てなことを当時書いていました。今もそれほど状況が変わっていないので,書かれていることはそのままほぼ,今の私の意見に合致します。

 デザインが悪い,画質が心配など,当時主流を占めたマイナスの意見は,実機のサンプルを元に記事が書かれるようになり,またサンプルの画像が出るようになって,少しずつ払拭されつつあるようです。ですが私はそこは当時もあまり心配しておらず,触れてもいません。もう少し内側に潜む物,というより作った人の思想や意志が見えないことが,とても残念だということです。

 もはや言い訳に近いんじゃないかと思えるほど,PENTAX Qはそういうメッセージが届いてきますよね。だからそのメッセージに共感する人は絶賛するし,共感出来なければ相手にもしません。

 今の私と状況が1つだけ違っていることがあるとすれば,それはこの時,私にはミラーレスへの興味がほとんどありませんでした。しかし,今は,PENTAX Qのメッセージに強く共感しているということです。

 PENTAX Qは小型化のために撮像素子の大きさをコンパクトデジカメと同じサイズの小型の物にしました。画質,ノイズ,感度,広角レンズを作りにくい,そして美しいレンズのボケを表現力として使いこなせないというデメリットは,少し写真を知っている人なら誰でも考える点であり,PENTAXも当然意識していたはずです。

 もし,本当にこれらのデメリットがある水準で解決していたら,そこにはもう小型化したメリットしか残りません。これはひょっとすると大変なことかも知れないと,そんな風に思っています。

 どうでしょう,あとは実機を触ってみないと・・・

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