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模型と電子部品のパラダイス

 30年ほどの前の初歩のラジオを見ていたら,「ホビー模型店」なるお店の広告に目が止まりました。

 子供の頃にも見た記憶がある広告でしたが,当時東京に縁もゆかりもなかった私にとって,およそ関係ないものだと,大して気に留めることもありませんでした。

 30年経ち,今その広告を見てみると,なんと歩いて行けるような住所です。サトー電気の時もそうでしたが,こうなると実際に言ってみたくなるのが人情というもの。

 しかし,サトー電気と違って現在は広告を見ませんし,個人商店のしかも模型店ですので,現存するとは限りません。

 こういうとき,電話をかけて確かめるのが一番ですが,その前にとりあえずgoogle先生に聞いてみます。

 するとまあ,ちゃんと見つかるじゃありませんか。ただ,基本的には地図が出てくるだけであり,お店のホームページも出てこなければ,blogなどの記事も出てきません。どんなお店かわからないので,ちょっと勇気がいりますね。

 何度か調べてみると,お店のホームページはようやく見つけることが出来ましたが,これがまたお世辞にも良く出来ているとはいえません。一番困ったのは,2009年から更新されていないことです。2年の間にもしかするともしかして・・・と心配になります。

 ホームページには,老体にむち打って頑張ってます,とあります。仮に30年前に40歳だった方ならもう70歳,50歳の方なら80歳です。もちろん25歳なら55歳ですので心配も減りますが,それなら「老体」などとは言いませんわね。

 ということで,お年寄りが細々とやっているお店をイメージして,この日曜日に行ってみることにしました。

 初歩のラジオに広告を出すだけあって,当時から電子部品を扱う模型店であることは分かっていましたが,もしもそれが大したものでなくても,プラモデルや鉄道模型が好きな私には十分楽しめる場所だろうという事と,工具類や塗料などが近所で手に入るということは,いざというとき役に立つだろうという事で,期待して出かけました。

 日曜日のいいお天気の昼下がり,歩くこと10分ちょっとで,お店の前に到着です。なんか,妙に緊張しますね。

 お店の前には,特価のワゴンが列んでいます。電気電子関係ではこういうものを「ジャンク」といいますが,入っているのは電解コンデンサやリード線,電話用のケーブルなどです。特に見る物もないという感じですが,それ以上に雨が盛大にかかっていて,ビニル袋の内側が曇っています。電気関係の部品でこれはまずいですね。

 PC-8001用の高速カセットインターフェースが特価1000円。いやー,いりません。その下にはPS1用のコントローラのジャンクが・・・いりません。

 どれもこれもかなり年季が入っているので,めぼしいものはすでに売れてしまったのでしょう。なにせ30年ですからね,30年。

 さて,外をうろうろしていても始まりません。勇気を出してお店の中に入ってみます。幸い,入り口は全開になっています。

 お店は昔のちょっとした模型屋さんそのものの大きさと雰囲気です。懐かしさも感じますが,単純な模型屋さんと違うのは,商品の半分ほどが電子部品であることです。プラモデルは少なく,そのプラモデルも新しいキットが少ないことに気が付きます。

 ガラスのケースには鉄道模型が若干,マルイのZゲージセットが涙を誘います。そしてその上にはまたコンデンサややスイッチ,ACラインフィルタなどのジャンクが袋に入って置かれていますし,視線を上げるとまた様々なパーツがぶら下げられています。見渡せば,店中あちこちにぶら下がっています。こういうの楽しいのですよ。

 整理整頓が出来ている感じではなく,わりと雑然とものが列んでいる感じです。色が褪せてしまったプラモデルの箱が痛々しいです。

 お店を一回りすると,確かに30年前のキット(エレキット)が当時の値段のままぶら下がっていますし,部品も古いものが目に付きます。とはいえ,新しい部品が全くないかと言えばそんなことはなく,そういう部品のビニル袋は真新しいです。おお,シーメンスキーなんか久々に見たぞ。

 お値段も,特にぼっている感じはなく,その時々のまま,という感じです。ですから,例えば国産のロータリースイッチが360円というのは,今時の感覚から言うと安いと思いますし,緑色の普通のLEDが80円というのは随分高いなあと思う訳です。

 不思議なことに,ラジオ関係の部品は余り目に付きません。バーアンテナやコイルはあったように思うのですが,あれば買おうと思っていたポリバリコンはなかったように思います。

 さて,こうしたお店で最も期待できるのは,古い部品のデッドストックです。あまり詳しく書くと乱獲され絶滅するかもしれないのであえて意地悪して書きませんが,まず特価品を入れたとおぼしきパーツケースがカウンターの外に出ているので,一声かけてこれを見る事にします。

 えーと,2SH21や2SB56といった稀少品はすでになくなっていますね。残念。2SA495や2SC372などはツバ付きの旧パッケージ,2SK30Aも古いパッケージです。2SK19もありますけど,これらはまだまだ普通に手に入ります。

 2SA52,53互換と書かれた東芝のM8640Aというトランジスタが30円。安い。全部買おう。2SC37も良心的な値段です。2SC1096が120円だったので,これも全部。2SF656があったので数本買うことにします。案外三洋とか日立のトランジスタがあるようです。

 そして初めて目にした,TLG105というダイヤカットのLED。お,TLG103もある。このころの緑色のLEDは,今のLEDとはちょっと波長が違っていて,蛍の発光色のような綺麗な黄緑色なのです。しかし,お値段はTLG105が90円!

 カウンタの店主に声をかけ,これらの部品を買う旨を伝えますが,客は私だけ。まとまった数を買うという話ではなければ,私もくじけていたに違いありません。

 店主は内気そうな方ですが,「老体にむち打って」というほどの年齢には見えません。ただ,あまり気が利かない方のようで,狭いレジカウンタにパーツケースを置く場所がなく,私が手で持っているにもかかわらず,なにやらカタログを広げて両面テープを貼り付けています。

 で,パーツケースから部品を取り出して数量を値段をメモに書いてもらいます。店主なのですからそんなはずはないのですが,あまりお詳しい方ではないように思えてなりません。でも,こちらが話をすれば確実に返事が来ますので,やっぱりお詳しいのでしょうね。

 で,一応店主に聞いてみます。トランジスタはここにあるだけですか?と。すると品番を言ってくれれば出しますよとのこと。2SBの若い番号を聞けば,2SB77はあるということでした。値段も安かったので全部買ってきました。

 他にはちょっとめぼしいものはなし。

 私がトランジスタを選んでいるときに,中学生くらいの男の子が入ってきたのですが,どういう訳だか私が会計を済ませてパーツケースを元の場所に戻すと,その男の子がむさぼるようにそのパーツケースを開いて見ているんですね。私に比べて二回りは若いはずなのに,こんな古いトランジスタを見て目を輝かせているなんて,ちゃんと意味が分かってんのかな,と心配になりました。

 それと,100V-9.2Vの電源トランスが1つ100円だったので2つお願いしました。ガラスケースに入っていたのを取り出してくれるのかと思ったら,地べたに置いてある段ボールから取り出してくれます。,1つはボロボロに風化したゴムがこびりついていて,もう1つは取り付け用の足が曲がっていました。

 お金を払うと,店主がサービスカードは?といいます。始めてきましたからないです,といえば,作りましょうとカードを出してハンコを押してくれます。なになに,100円で1つ,50個たまったら500円引きですか。んー,つまり5000円買ったら500円割引だから,1割引ですか。結構な還元率です。

 また来ますね,と声をかけてからお店を後にします。

 最終的に私を入れて4名の客が狭いお店にいましたし,外のジャンクも自転車で通りがかった中学生二人が「まだこのジャンクあるな」といってましたので,この地域ではそれなりに知られたお店のようです。

 案外に不良在庫はなく,ちょっと珍しい部品も少なめです。FCZコイルもないということですし,穴場でもなければ,知る人ぞ知る隠れ家という感じでもなさそうですので,ちょっと拍子抜けという感じです。

 それと,塗料や工具類は揃っています。急に必要になった場合はここに買いに来れば助かりそうです。年中無休で夜は20時30分まで営業,木曜日だけは18時30分で閉店だそうですが,会社の帰りに寄ることだってできそうです。


 帰り道,他のお店で買い物をする時に,おつりをもらう手の指先が真っ黒になっていることに気が付きました。いやー,古い部品を漁ったとき特有の汚れですね。それと,帰宅してからタバコの臭いが強烈です。

 ですが,不思議と嫌な気になりません。まだまだ見尽くした気がしないので,また時間を見つけて行ってこようと思います。

 ところで,東芝ロゴ入りのM8640Aというトランジスタですが,google先生に聞けばすぐに教えてくれると思っていたのに,全然わかりません。NTE158という海外製の現行のゲルマトランジスタの互換リストに掲載されていたので似たような品種だとは思いますが,なにせ膨大な数が書かれている互換リストですから,どんな特性かヒントもなにもあったものじゃありません。

 おそらく海外製のトランジスタがオリジナルなんだと思いますが,東芝が互換品を作っていたということかも知れません。もう少し調べてみたいと思います。

 そうそう,2SF656ですが,これは見事にだまされました。2SF656はマーキングがF6なのですが,今回買ったのはP2とあります。新しいものはP2MやP3Mと書かれるので,おそらく2SF656の次世代品として登場したものなんじゃないでしょうか。どっちにしても小信号用のサイリスタであることは間違いないのですが,それならたくさん在庫がありますしね。2SF656だからこそ買ったのに,残念でした。

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