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続々登場する魅力的なカメラ

 現在主力であるD2Hを購入したのが2005年で今から7年近く前,サブのK10Dを購入したのが2008年で今から4年前です。

 特にD2Hの陳腐化が目立って来ました。切れ味,レスポンス,そして動作音などメカに不満は一切ありませんが,いかんせん400万画素という少ない画素数,高感度のノイズのみならず,低感度でも暗部に浮き上がる派手なノイズ,そしてバッテリーの劣化と将来の供給の不安と,当時発展途上であった技術課題の解決が急速に進んだ昨今,もはや「これで十分」と意地を張るのも難しくなってきました。

 月並みな理由ですが,子供の貴重な一瞬一瞬を出来るだけ多くの情報量で記録しようと考えた時,高次元でバランスしている良いカメラが欲しいと思うようになりました。

 昨年はタイの洪水もあり,その要求を満たすカメラにお目にかかることがなかったのですが,今年に入っての新製品ラッシュには期待をはるかに超えるものがあって,腰の力が抜けていきそうです。

 性能が突出しているもの,デザインに優れているもの,設計思想にしびれるものなど,どれも個性を放っていて,今年はすでに豊作の予感です。

 実に悩ましい。

 「宝くじでもあたらんかなあ・・・」「宝くじを買ってからいえよ」とお約束の突っ込みを自分で寂しく入れつつ,ちょっとここ数日で発表になった新しいカメラを私の視点でまとめてみようと思います。


・ニコンD800 / D800E

 まずは3600万画素のフルサイズセンサを搭載していることが強烈です。単純な画素数競争ではなく,あくまで「意味のある情報」としての高画素をねらったものであることは,公開されたサンプル画像からみて理解出来ます。まさにニコンの良心です。

 もちろん,カメラボディのポテンシャルとしての3600万画素であり,ここまで来るとレンズも最高性能のものを用意しないといけないという意見は理解出来ますが,実は解像度の低いレンズや収差の大きいクセ玉も,低い画素数では個性が隠れてしまいがちです。

 3600万画素と言えば,間違いなくISO100のネガフィルムと同じくらいの線解像度を持ちます。フィルムを前提としたレンズは,この画素数にしてようやくその個性をフルに表現出来るのではないでしょうか。

 ニコンは,中判に迫る性能で風景写真に,と言っていますが,実は多彩なレンズを駆使しする芸術志向のフォトグラファーから強く支持されるように思えてなりません。

 20万回のシャッター耐久も素晴らしいです。明らかにプロの使用を前提としています。このカメラの最大の欠点が連写速度の低さにありますが,毎秒4コマにして20万回の耐久ですので,長期信頼性の向上が主目的でしょう。

 D4が画素数を絞って幅広い用途に向けた完全プロ機なのに対し,D800は画素数を高めたカメラ本来の性能追求を果たしたカメラです。いずれDヒトケタの後継機種は,この画素数で毎秒10コマやら超高感度やら実現するでしょうが,連写や感度は使い方の工夫が出来ても,画素数だけはどうにも工夫が出来ません。

 賛否両論がある3600万画素ですが,数に負けていない実際の解像度の高さを見せつけられると,もう反論できないです。

 そしてなにより,この価格です。いきなり27万円スタートですから,フルサイズ機でもこの価格が普通になったという感慨と,価格以上の価値のあるカメラだという感心が,素直にわき上がってきます。

 このカメラなら,私の使い方なら10年は大丈夫です。下手をするとF3のような長生きになるかも知れません。


・ペンタックスK-01

 Kマウントのミラーレスの噂は,私はてっきりガセネタだと思っていたのですが,全然違っていました。

 そもそもKマウントはM42プラクチカマウントと同じフランジバックを持つ,一眼レフ専用のマウントです。ミラーとぶつかることを避けるために,45.46mmmものフランジバックがあるわけです。

 故に,Kマウントを採用すればミラーレスだろうがなんだろうが,必ず45.46mmは出っ張るわけで,そんなミラーレスに魅力があるはずがない,と思っていました。

 ですが,マーク・ニューソンのデザインするK-01を見て,これは!と思いました。

 確かに本体を薄くすることは出来ませんが,レンズを薄くすることは出来ます。これで全体の厚みを押さえることは出来そうです。レンズ内モーターが主流になる昨今に置いて,薄くできないボディーのスペースにモーターを入れて,レンズは極力薄くすると言う発想は実に正しいでしょう。

 ですから,ボディのみの販売は行われず,レンズキットのみになっていることは,なるほど理にかなっています。特にDA40mmと同じ光学性能を持つ超薄型のレンズはいいですね。35mm換算で60mm相当の単焦点レンズですので,とても楽しいことでしょう。

 ミラーレスになったことで連写速度も向上し,K-5のウィークポイントが改善されたことも素晴らしいです。音も静かになっているでしょうから,Kマウントのレンズ資産を引き継ぎ,新しい使い方を開拓するカメラとして,大変面白いと思います。

 個人的に気に入ったカラーは,イエローです。黄色と黒なんて,まさにコダックの色です。先日経営破綻したコダックに対するオマージュでしょうか。

 ただし,ペンタックスには1つ心配な事があります。近々行われるCP+の発表内容を見ていると,645Dのレンズ,Kのレンズ,Qのレンズと,ペンタックスの規模から考えるとマウントが多すぎです。

 まあ,これがペンタックスの伝統なので今さらなのですが,今もユーザーはマウントに忠誠を誓うわけで,同じ会社が3つもマウントを持っていることに,いいようもない不安を感じていることもまた事実です。


・オリンパス OM-D

 案外好意的な評価が多いように思われるOM-Dですが,カメラとしての基本性能を高めたところはさすがです。防塵防滴にマグネシウムフレームで,マイクロフォーサーズも,これでようやくプロの道具になることでしょう。

 しかし,そういう方向性と,かつての名機OMシリーズを模したデザインとは,ちょっと相容れないと私は思います。ちょうどペンタックスのK-01とは逆の発想になっているように感じるのですが,ミラーも光学ファインダもないのに,なぜあの三角屋根なのか,なぜレンズを中心とした左右の比率がOM1と同じでなければならないのか。

 特に三角屋根の部分は,一眼レフの弱点の1つだったわけで,EVFを搭載したこの機種が三角屋根を持つのは,それがデザインモチーフであり,懐古主義だからであるということでしか,説明が付きません。

 例えば,同じ懐古主義でもペンタックスのOptio I-10などは,全く必然性のない中で,デザインだけauto110です,という明確な主張と遊び心にあふれていました。また,今ヒットしているオリンパスのPEN-Dも,ミラーレスだからこそ可能になったデザインです。

 なら,OM-Dは,ミラーありのフォーサーズでやるべきではなかったのか。見やすい光学ファインダをちゃんと装備して,名機OMをきちんとなぞることこそ,OM-Dの役割だったのではないかと思います。


・シグマSD1 Merrill

 SD1が出たときには本当に驚きました。儲かるかどうかは横に置き,明らかにカメラとしての完成度が低い中で,これでしか手に入らない画質を70万円で買いませんかというのですから,余程の人しか手を出せないでしょう。

 しかし,私も大変気に入っている三層構造のセンサFoveonX3が,APS-Cサイズになって高画素化し,これが吐き出す強烈な情報量に舌を巻いた人は多いでしょう。

 しかし,なぜこの値段なのか,と当時も私は釈然としなかったのです。この値段のカメラなら,カメラとしての基本性能も高くなければなりません。それはEOS-1Dであり,D3が期待されるわけです。

 もともとSD1って,20万円くらいで出るべきカメラじゃないのか,と思っていたら,SD1 Merrillの発表です。実質50万円近い値下げが行われたわけで,メーカーも価格改定だと自ら言っています。

 メーカー,というより山木社長のメッセージによると,SD1に搭載したセンサは製造上の困難があり,どうしても値段が高くなったと。それが1年余りの改良により,全く同じ性能で価格を大幅に下げることに成功したと。

 ゆえに,SD1は20万円で新たに販売するというわけです。70万円のSD1を買ったユーザーはシグマにとっても特別なお客様,だから40万円相当のポイントを提供するプログラムも計画中とのことです。

 なかなか出来る事ではありません。多くの人が「感動した」と言っています。

 普通,発売からそれなりに時間が経過していれば,名称を変えて値段を下げるのは「マイナーチェンジ」で済まされます。値段を下げるにはそれなりの改良があり,投資も行われるから,別機種として展開することは言い訳でもなんでもありません。

 ですが,冷静に考えてみると,センサの値差だけで50万円もあるのか?です。

 ボディは明らかに20万円クラスのカメラです。センサがもう10万円高いものになったとして,売価への影響は20万円アップくらいまででしょう。もしセンサが20万円高いなら売価は40万円くらいアップでしょうが,20万円以上のセンサなんてもう手作り品で,量産品としてはありえません。

 製造上の問題という事ですので,歩留まりも悪く,品質のバラツキもひどかったのでしょう。数が揃わないので,その数で利益の出る採算構造を考えると,70万円で売るしかなかったというのが本当のところではないかと思います。

 だから,このままでも長く生産し,ロングセラーになってくれれば,最後には値段が下がったかも知れません。(そう簡単な話ではありませんが)

 一部で言われている,売れないようにするために最初から40万円ほど乗っかっていたんじゃないのか,はちょっと疑いすぎで,今のシグマにそんなことをしてまで新しいカメラを投入しないといけない理由は見当たりません。 

 なので,70万円で利益がようやく出るカメラを売って,あとで値下げしたから差額を返しますなんてのは,シグマにとってはやはり大英断なのです。差額を返すといった瞬間に,ではいくらならいいのかが議論になるわけで,それが20万円でもなく50万円でもなく,40万円になったことの行間を,もう少し読んでみても良さそうです。

 そもそもSD1の販売数がそんなに多くないことも,可能になった理由でしょう。しかし,40万円もの巨額の返金(とはいえ,自社製品への交換の権利ですので,実質20万円以下でしょうが)には,大きな決断があったはずです。

 SD1を買ったユーザーの内訳が,本来大事にすべき個人ユーザーよりも,実は評価用に買ったライバル会社が結構いたり,70万円の価格に見合った価格で買い取った中古カメラ屋さんが即死するんじゃないかとか,いろいろ心配な事もあります。ですが,そんな話は置いておいて,まず自分達を支持してくれた人々を裏切らないことを真っ先に考えたことは,理由のいかんに関わらず,賞賛されるべきことでしょう。

 SD1 Merrill,売れてくれればいいと思います。Foveonを買い取ったシグマには,FovenX3の凄さを広く知らしめる義務がありますから。


・シグマDP1 Merrill,DP2 Merrill

 前述の新世代FoveonX3センサが安くなったことと,おそらく量産が可能になったことで,コンパクトカメラであるDP1とDP2にも搭載されるようになったという話なのですが,これも私は驚きました。

 このシリーズについては,私もDP1sを持っていますが,これも旧モデルになった時に投げ売りされたものを買ったまでで,販売当初に急いで買った熱心なユーザーではありません。

 でも,普通に良く写るコンパクトデジカメが1万円台のご時世に,FoveonX3を使いたいと言うだけの理由でその何倍ものお金を出すことにはやはり抵抗があります。それで3万円くらいになったときに買ったのですが,これはこれまでのデジカメとは全く違う体験だったので,さらに改良されて販売されることを期待しました。

 ただでさえ競争の激しいコンパクトデジカメですから,DP1もDP2も,すぐにやめになるだろうと思っていたのですが,どっこい今でもちゃんと現行機種です。その上,SD1でも使われる新世代のセンサまで搭載した,フルモデルチェンジまだ行われるというのですから,もうビックリです。

 お値段も,おそらく従来機種と同じくらいになることでしょう。そうなると,あの強烈な画像を10万円以内で楽しめることになるわけで,とても魅力的な話となります。

 APS-CサイズのFoveonX3になると,もうレンズの性能を抜きには語れません。私の目から見て,今回のフルモデルチェンジの2つ目の目玉は,レンズの大幅な改良です。

 従来のDP1/DP2でもレンズの性能には定評がありましたが,今回は贅沢にもFLDガラスや非球面レンズを駆使して,なんとF2.8という明るさのレンズを搭載してくれました。これまで開放がF4でしたので,実はなにかと不便をしていましたし,せっかくの大きなセンササイズを生かしたボケも出にくくて,表現上の制約が結構あったのです。

 それが開放F2.8からですので,これはかなり使い甲斐があります。F4からですと1段明るいのですから,実質的に感度は2倍に相当します。ちょっと暗い部屋でもなんとかシャッターを切ることが出来るでしょう。

 また,20cmまで寄ることが出来ることも素晴らしいですね。従来のDP1が30cmまででしたので,DP1のレンズの弱点をちゃんと潰してきたと言えるでしょう。28mm相当のレンズでも,一眼レフ並みのボケを駆使できるに違いありません。シグマというのはなんと真摯な会社でしょうか。

 他にも,旧モデルではLCDの質が悪く,マニュアルフォーカスなど実質出来ない状態でしたが,これも改善されたようです。

 しかし,値段も気になりますし,実質RAW専用機になることも覚悟せねばなりません。現時点ではISO感度は未発表ですし,AF精度の問題,レスポンスの悪さ,ユーザーインターフェースの悪さ,電池寿命,そしてストロボがなくなったことなど,心配な部分も多そうです。

 値段によっては,私も欲しいと思いますが,PENTAX Qに高画質な28mm相当の単焦点レンズが出たら必要がなくなります。カメラは最終的には,全体のバランスです。あるポイントに突出していても,他がダメなら被写体に迫れません。

 ところで,このmerrillという名前ですが,言うまでもなくFoveonX3の発明者の一人,Dick B.Merrill氏から取られています。FoveonX3の開発に大きな足跡を残した彼は,同時に写真家でもありました。

 あまり日本では報道されなかったようですが,彼は2008年10月17日の朝,長いガンとの闘いの果てに,亡くなりました。シグマはFoveonX3の記念すべき最初のジェネレーションネームに,このmerrillを起用して,その功績を永遠にたたえることにしたのです。

 まあその,うちわの話と言ってしまえばそこまでですが,今のシグマを見ていると,志半ばで亡くなった開発者への尊敬を素直に感じて,背筋の伸びる想いがします。

 


・ペンタックスKマウントレンズ用アダプターQ

 これはカメラではないのですが,個人的に絶対買うことになるものです。今年の夏頃という事なので,とても楽しみです。

 なんのことはない,PENTAX Qの発売当時から言われていた,Kマウントのレンズを使うためのアダプタです。

PENTAX Qは35mm換算に焦点距離を5倍することになります。そうするとFA43mm/F1.9は215mmとなりますし,FA77mm/F2は385mmです。テレ端200mmのズームだと実に1000mmですから,これはもう未体験ゾーンです。

 単純にマウントの変換を行うだけなら,これまでも方法がなかったわけではありません。しかし,PENTAX Qにはメカシャッターがないため,被写体が動くときにローリング歪みが発生するので,被写体が歪むのです。

 私が注目しているのは,今回発表になったマウントアダプターには,ちゃんとメカシャッターが搭載されていることです。さすが純正,さすがPENTAXだと思いました。

 FA43mmやFA77mmという,あえて残した収差を味わうレンズもそうですし,FA35mmのような基本性能に長けたレンズや,1000mm相当の超望遠レンズの世界も今からとても楽しみです。なんといっても最も画質の良い中央部だけを使うのですから,画質についての心配はないでしょう。

 しかし,PENTAX Qというカメラは,実はレンズの収差を画像エンジンで補正することを積極的に利用したカメラです。特に歪曲収差については,無理に光学的に追い込むよりは,画像処理で補正することとして,他の収差の改善や性能の向上を優先しています。

 PENTAX Qの画像をRAWで扱うと,収差の補正を画像処理で行う事への抵抗など吹き飛んでしまうくらいの衝撃があるのですが,Kマウントレンズの収差補正は,どういうスタンスで行われるのでしょうか。

 仮に収差補正無しとなった場合,収差が理想的に補正されたいつものPENTAX Qの画像に見慣れた我々が,Kマウントのレンズの補正無しの画像を見て,どんな印象を持つことになるでしょうか。FA43mmなんて眠いレンズだとか,そんな風に言われてしまうかも知れませんね。


・タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD

 ワンランク上の標準ズームにF2.8通しのレンズがあります。すでに単焦点レンズに迫る画質を実現したこのランクのレンズは,プロも使うレンズということで性能は素晴らしいですが,価格も高いです。

 そんな中,アマチュアでも手が届き,しかも性能も抜群という銘玉として,タムロンの28-75mm/F2.8(A09)があります。実売3万円台でF2.8通しのズームが買えるだけでも驚きですが,その画質は価格を大きく超えて,多くの人に「もうこれでいいじゃないか」と言わせてしまう,そんなレンズです。

 しかもこのレンズはフルサイズ用のレンズです。高価なフルサイズ機を買った人が」レンズでけちるのもどうかと思いますが,初期投資が安く済むというのはとてもありがたい話です。

 この定評あるレンズの後継として登場するのが24-70mm F/2.8 Di VC USDです。長い名前ですが,広角域は24mmまで広がりましたし,手ぶれ補正も内蔵しました,AFモータも超音波モーターらしいですから,とりあえず全部入りです。

 あとは価格次第ですが,仮に実売価格が1万円上がっても,従来のレンズの画質を維持するならお買い得でしょう。確かにA09は古いレンズで,そのせいで値段も大きく下がっていますから,このレンズも登場時はそんなに安くないかも知れません。

 ですが,もし私がD800を買ったなら,このレンズも一緒に買うことになると思います。純正はとてもとても・・・

 

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