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秋月で半導体チェッカDCA55を買う

  • 2012/02/28 15:41
  • カテゴリー:散財

 先日,秋月電子の新製品に,半導体チェッカーなるものが追加されました。DCA55という型名で,なんとイギリス製だそうです。キットではなく完成品で,お値段は4200円です。

 その筋の人には数年前からすでに知られた存在のようで,国内の業者が1万円程度で販売していたり,あるいは円高を活用して個人輸入を試みる人も結構いたようです。

 しかし,秋月が扱うようになって,もう迷うことはありません。4200円ですから,なかなか良心的なお値段と言えるでしょう。

 私はその筋ではないので,この商品の存在を今回初めて知ったわけですが,4200円という微妙なお値段と,面白そうと言うことで,半年ぶりに秋月の通販を利用して購入することにしました。半年経つと他に欲しいものも溜まっているので,USBオーディオキットやらトランジスタやら,気になっていたものを一緒に注文しました。

 さて,そのDCA55半導体チェッカーですが,なにが出来るかといいますと,端子の不明なディスクリート半導体の足に,適当にパッパとクリップを繋いでスイッチをいれると,あら不思議,半導体の種類とピン配置,そして大まかな素性を教えてくれるのです。

 判別できる種類はシリコンとゲルマニウムのトランジスタ,ダイオード,LED,サイリスタ,FETと言う具合です。このうちトランジスタについては同時にhFEを測定してくれますし,ダイオードはVFもわかります。

 さすがにFETのIDSSを表示したり,ツェナーダイオードのツェナー電圧を判定したり,サイリスタのゲート電流を調べてくれるような機能はないようですが,「とりあえず半導体ということは分かる」という怪しげな部品を活用するために,とてもお手軽にそれが可能となる便利グッズであることは間違いないでしょう。

 先週の金曜日に届きましたので,早速試してみました。

(1)ゲルマニウムトランジスタ

 「ゲルマでないと出ない音がある」などと,なお根強い人気のあるゲルマニウムトランジスタですが,国内の製品は在庫のみ,海外でも一部で細々と作られているという意味では,真空管と同じような存在です。

 私に言わせればそんなにありがたいものでもないのですが,確かに他に代用できるものがないだけに,必要な人にとっては重要な部品なのだと思います。

 私も手持ちにいくつかありますが,今回は往年の神戸工業製2SA31を取り出して見ました。適当にクリップを繋ぎ,スイッチを押しますと,おお,ちゃんと端子を判別し,hFEと測定時のコレクタ電流を表示しています。低いVBEはゲルマの証です。

 またリーク電流も表示しているので,トランジスタの劣化具合を判定することも出来て,これはなかなか便利です。


(2)シリコントランジスタ

 シリコントランジスタは,こちらも往年の沖電気製2SC169です。VFは約0.7Vと高めになり,hFEも100を越えるようなまともな値を示しています。

 実はこのチェッカー,hFEはあまりあてになりません。正確には小信号用のトランジスタについてはそこそこ信用できるものの,電力用のものは要注意です。

 hFE,つまり直流電流増幅率というのは,コレクタ電流とベース電流の比率のことではありますが,トランジスタは一般的に,コレクタ電流によってhFEが大幅に変わります。特に電力用のトランジスタは,公称のhFEが数十程度のものが珍しくないのですが,これはあくまでコレクタ電流を何Aも流した場合の話であり,今回のような2~3mA程度のコレクタ電流だと,hFEはかなり大きな値をとります。

 このチェッカーは,電池がA23という,小指くらいのサイズで12Vもある小型の電池を使っています。電流がたくさん引けないという問題もありますし,判定に大電流を流して壊したら終わりですので,数mA程度で判定をすると言うのは,無理もありません。


(3)ダーリントントランジスタ

 国産のピュアなダーリントントランジスタもめっきり見なくなりました。何を持ってピュアとするかは人それぞれですが,大電力用ではなく,小信号スイッチングで抵抗なしというものを私は勝手に想定しています。

 そしてその代表は,東芝の2SC982。定番ですね。これを測定してみると,1.2Vを越えるVBEに20000を越えるhFEと,まさにダーリントンです。


(4)サイリスタ

 日本電気製の2SF656にクリップを繋げました。サイリスタと判別され,ちゃんと端子も判定されています。でも細かい仕様は測定されません。


(5)UJT

 UJTなんてもう誰も使わないと思うのですが,某店で入手した中国製のBT33というUJTを試しに繋いでみました。結果は,Bi-ColorLEDと判定。

 理由を考えてみたのですが,UJTは別名ダブルベースダイオードと言うくらいで,PN接合のPからエミッタを1つ,Nからベース1とベース2を取り出すような構造をしています。

 ですので,これをそのまま判定すると,アノードコモンの2つ入りダイオードと判定されそうなものなのですが,実はUJTは,2つのダイオードのVFが異なります。Bi-ColorLED,つまり2色LEDというのは色の違うLEDですので,VFが違いますから,UJTはBi-ColoeLEDと判定されるというわけです。


(6)LED

 ということで,本物のLEDを繋いでみました。電流が流れる度にチカチカと点滅するので,アノードとカソードの判定と同時に,発光色の判定も出来て便利です。

 説明書によると,VFの大きな青色や白色のLEDは判定出来ないかも,と書かれていましたが,偶然でしょうけどもどちらも正しく判定出来ました。


(7)ダイオード

 ダイオードは3つのクリップのうち2つだけを繋いで判定を行います。VFの値が表示されるのですが,種別までを表示することはしてくれません。VFの値を見て自分で判断することになります。

 ということで,1N4148Aを調べると,VFは0.68Vの値を示します。整流用のちょっと大きなダイオードも同じような値を示しています。シリコンですから当たり前です。

 で,1N60Nを試してみたのですが,これは予想に反してVFが0.6V程度と出て,ゲルマニウムダイオードの特徴を示してはくれませんでした。

 ついでにショットキーダイオードも試しましたが,これも0.58Vをやや低めが出たとはいえ,この数字だけを見ればシリコン接合ダイオードと判定してしまいます。ゲルマニウムもショットキーも,本当は0.3V程度を期待したいところです。

 このVFというのは,流れる電流や周囲の温度によっても変わりますし,そもそもシリコンに比べてゲルマニウムの方が,電流の増え方が緩やかです。VFが0.7Vの時の電流は,実はシリコンもゲルマニウムもあまり変わりません。

 1N60のデータシートを見てみると,5mAの順方向電流が流れているときのVFは約0.6Vということで,これならシリコンダイオードと区別が出来ません。

 ところで今回は試していないのですが,前述のようにツェナーダイオードを判定しようとしても,ツェナー電圧を測定する事ができないので,普通のシリコン接合ダイオードと判定されてしまいます。ツェナーダイオードの判定こそ出来るとありがたいものなので,どうにかならんもんかなと思います。


(8)FET

 FETには接合型とMOS型の2つがあり,それぞれ全くの別物です。J-FETと言われる接合型はドレインとソースを入れ替えてもそのまま動いてしまうことが多いくらい,区別が付きにくいものです。DCA55においても,ドレインとソースの区別は出来ません。

 MOSの場合には多くの場合,ドレインとソースに寄生ダイオードが出来ていますので,これを見れば判定出来ます。

 ということで,接合型とMOS型をそれぞれ判定してみましたが,予想通りの結果に終わりました。P-chとN-chの判定も出来るし,MOS-FETについてはエンハンスメント型とデプレッション型の2つも判定されます。特にチップ部品が多いMOS-FETの判定には便利でしょうね。


(9)良否判定

 トランジスタでもダイオードでも良いのですが,判定時にショートしていた場合,どのクリップがショートしているかを表示してくれます。

 ちょっと感心したのは,ショートのようなわかりやすい例ではなく,指でトランジスタの足を持った時に,人間の指が電気抵抗に見えて,判定時にエラーを返すようになっているのです。

 判定出来ないからエラーを返すのは当たり前の話ですが,実際にトランジスタに予期せぬ電流が流れていた場合,それをトランジスタと判定するのではなく,壊れていますよ,と判定してくれた方がありがたいわけで,このあたりの仕組みをちゃんと考えて入れてくれてあるんだなあと思うと,ちょっと自作は面倒かもと,思い直しました。

 

 てな具合に,4200円というオモチャとしてはギリギリ納得出来るお値段のDCA55ですが,個人的にはなかなか面白そうです。使用頻度はそれほど高いわけでないでしょうが,使い道はいろいろありそうです。


・不明の三端子デバイスを判定

 トランジスタなのかダイオードなのか,はたまたサイリスタなのかFETなのか,ぱっと見ただけでは区別の付かない部品がジャンク基板に乗っかっているとき,回路や基板上のシルクから想像するしかありませんでしたが,DCA55を使えばピン配置まで分かって,ジャンク部品の活用に大変便利。


・ペア取り

 初段の差動なんかで,特性の揃ったペアが欲しい時があるわけですが,案外面倒な作業です。まず1つだけ真面目に測定をし,そのトランジスタをDCA55で判定,ここで得られた数字に近いものとペアを組めば,簡単にペアがとれそうです。しかし,J-FETには無力なんですよね。


・海外製のトランジスタ活用

 欧米でよく使われるトランジスタが日本国内でも目にするようになりました。部品屋さんで新品を買うことも出来ますし,ジャンク基板についている場合もあります。

 国内のトランジスタは,偉大なる2SC1815のおかげか,TO-92は左からECBという配列にほぼ統一されていますが,海外のトランジスタでこの配列は珍しく,よく間違います。DCA55で調べてから使う癖を付けると,間違いがなくてよいのではないでしょうか。


・LEDのテスト

 これって何色のLEDだっけ,どっちがアノードだっけ,という場合,横着して電池に直結したり,電源器の電圧を2.5Vくらいに下げて繋いだりするわけですが,これはLEDにとってかなり過酷です。電圧を下げ忘れて燃やしたこともしばしばです。

 しかし,これを使えば一発でチェックできます。一番役に立ってくれるかも知れません。


 電池がちょっと特殊なので,予備を2つほど買っておきました。でもA23という電池はちょっと大きなお店に行けばパナソニック製のものが買えるそうですので,そんなに特殊という事ではなさそうです。

 今思えば,これを中学生の時に手に入れていたら,手持ちの部品がどんどん価値のあるものに変わっていき,どんなに有意義でどんなに楽しいことだったかと,思います。

 当時の私の測定器は,アナログテスタが全てで,それでも電気が見えるようになったことにいちいち感激していました。数年してデジタルテスタを手に入れて,アナログテスタの出番はなくなりましたが,今でも大切に取ってあります。

 測定器が1つ増えると,見える世界がごろっと変わり,大きく開けてくるのが実感できます。今はそういう純粋な感動も減りましたが,当時の記憶があまりに心地よかったからでしょうか,今でも測定器が大好きなのは変わりません。

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