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娘の愛車はイギリス車

  • 2012/06/05 09:24
  • カテゴリー:散財

 ベビーカーを買いました。

 実は,嫁さんは早くからベビーカーを欲しがっていたのですが,どうも気に入るものが見当たらず,「現物を見ないで買うわけにはいかない」と格好のいいことをいいつつ,そのくせちっとも現物を見に行かないという,非常に小ずるいことをして問題を先延ばしにしていたのですが,娘がそろそろ7ヶ月になるに至り,嫁さんの辛抱も限界に達したように見えて,あわてて「ベビーカー選定委員会」を召集したのでした。

 気に入るものがないというのは別にウソではなく,街で見かけるベビーカーを注意して見ていると,どうも華奢でたわんだりきしんだりしていて,琴線に触れません。

 小径の硬い車輪はフレームに直づけされていて,振動がもろに伝わります。しかもちょっとした振動で左右に首を振り,ゴロゴロと音も大きくて,乗り心地はとても悪そうです。

 都会の交通事情は電車とバスが中心です。従ってベビーカーに求められる性能も,軽く,小さく,持ちやすく,折りたたみが簡単に出来て,しかも小さくたためる事が求められているようです。

 確かに魅力的な仕様ですが,その代わり剛性が失われ,乗り心地や取り回しといった基本性能との両立が難しくなります。

 華奢で投影面積の小ささは,重心を低いところに置かねば転倒する危険性が出てくるわけで,自ずと赤ちゃんの着座位置は低くなります。土埃や照り返し,雨の時の跳ね返りや,なにかとぶつかったりしそうな危なっかしさを感じて,私が赤ちゃんなら「こんなもん乗れっかよ」と悪態をつくこと必至です。

 そもそも,赤ちゃんだって格好悪い乗り物に乗りたいと思わないはずで,どうせなら格好がいいベビーカーでブイブイ言わせたいところですよ。

 かつてプジョーは,「プジョーオーナーの最大の不幸は,自分がプジョーに乗っているところを見る事が出来ないことだ」と言いました。

 そう,そういうことです。

 てことで,今回の選定で重視すべきポイントは4つ。優先順に以下のようにしました。

(1)乗り心地に最大限配慮すること
(2)重量が6kg以内であること
(3)折りたたんた時に持ちやすく,かつ自立すること
(4)格好いいこと
(5)予算にあまり制約を設けたくはないが,10万円は出せない

 乗り心地については,乗って試すわけにはいきません(試したいですがそういうわけにもいかんでしょう)ので,あくまで想像にとどまるわけですが,大切な事は剛性感と安定感,そして衝撃吸収の能力だと思います。

 ちょっと本筋から外れてしまいますが,衝撃の吸収をごく簡単に想像してみましょう。小さい風船に水を入れて輪ゴムで縛ったオモチャ,水ヨーヨーと言いますが,これを思い浮かべてください。

 水ヨーヨーのゴムを指に引っかけて,ゆっくりゆくり上下させると,当然ですが水ヨーヨーも一緒に上下します。この時ゴムの長さはほとんど変わりません。

 徐々に上下させるスピードを上げていくと,ゴムが伸びたり縮んだりするようになり,水ヨーヨーが手の動きに対して遅れて動くようになります。

 そしてあるところで,手を下げれば水ヨーヨーは上がり,手を上げれば水ヨーヨーが下がるという,正反対の動作をするようになります。このとき,水ヨーヨーは最も大きく振動することになりますが,これを共振といい,共振するときの周波数を共振周波数と言います。

 さらに振動をあげていくと,今度は水ヨーヨーの位置が動かずに,ゴムの伸び縮みだけで振動が吸収されるようになります。

 共振周波数よりも低い周波数では,振動がそのまま伝わります。共振周波数では振動が最も大きくなり,共振周波数よりも高い周波数では振動は吸収されて,おもりは動かなくなります。

 ですから,非常に単純な言い方をすれば,より低い周波数の振動を吸収するには,共振周波数を下げる事が望ましいという事になります。

 共振周波数はバネが硬くなればなるほど高くなり,おもりの重さ(質量)が軽くなればなるほど高くなります。従って,共振周波数を下げるにはバネを柔らかくすることと,重くすることが有効ということになります。

 ベビーカーの理想が見えてきました。バネを柔らかくして,重く作ることが,振動を吸収出来るようです。

 さて,小型で軽いベビーカーというのは,フレーム全体がしなったりたわんだりいて,バネの代わりになっているようです。一見合理的に見えますが,共振周波数よりも低い振動はそのまま赤ちゃんを振動させてしまいますので,かなり柔らかく作る必要があります。

 しかし,そんなにグニャグニャだと,今度は安定性が悪くなります。つまり軽いベビーカーというのは,バネの硬さの設計自由度が狭いという事です。

 では,フレームはしっかり作り,振動はタイヤやサスペンションによって,フレームに伝わらなくするという方法はどうでしょうか。こうすると,サスペンションなりタイヤでバネの硬さを自由に選ぶことが出来るようになります。

 同時に,しっかりしたフレームを作る事で重くなってきます。このことで共振周波数が下がってくれることも期待出来るわけです。

 ですので,乗り心地を振動の吸収能力と単純化した場合,重く,剛性があって,サスペンションや空気入りのゴムタイヤを搭載するものがよいことになります。

 事実,こうしたベビーカーは,最近良く街で見かけますよね。AirBuggyもそうですし。でも冷静に考えてみると,しっかりしたフレームを持つベビーカーは大柄ですし,小さく折りたたむために可動部分が多いとそれだけ剛性が下がります。しかも重いと来るわけですから,乗り心地と持ち運びの楽さというのは,相反する要素であるといえそうです。

 次に重さですが,10kgだと持ち上げるのも大変,4kgまでなら楽に動かせると考えました。お米が5kgですのでこのくらいが楽に動かせる限界と思いますので,これを目安としたいところですが,今の娘の重さが7kg弱ですので,これくらいならなんとかなるでしょう。

 折りたたみですが,これも前述の通り,乗り心地と相反する要素です。しかし,我が家の玄関は狭く,たたんだときに小さくならないと普段の収納にも困りますし,電車やバスでもひんしゅくを買ってしまいます。「一応気を遣ってます」というシグナルを出せるかどうかは,日本というお母さんと赤ちゃんに厳しい国では,必要不可欠です。

 自立は重さよりも重要な要素かも知れないです。どんなに軽く,どんなに小さくたためても,支えていないと倒れてしまうようなものは,必ず片手がふさがるわけですから,赤ちゃんと一緒に行動することは不可能と言っていいでしょう。

 そして格好いいこと,ですが,個人的意見でいえば,小型で軽量なものというのは,デザイン上の自由度も低いので,似たような形に収れんするものですし,概して没個性のしらけたデザインになることが多いと思います。軽自動車がどれも似たような形になっていることを思い出してもらえると,納得頂けるでしょう。

 そして最後に予算です。あまりけちくさいことをいうのはどうかと思いますが,さすがに8万円や10万円をだすのは難しいかなあと思います。まあ,その10万円がどういう所に有効に使われているのか,という点で考えるべき所でしょう。

 例えば輸入代理店のマージンとか,改訂されていない通貨レートで換算されているとか,そういうことだと本質的な話ではありません。付属品がやたら多いとか,巨大であるとか,そういう話でも困りますね。

 しかし,しかしですよ,フレームはCFRPモノコック,ホイールはマグネシウム鍛造,扁平率20の超ワイドタイヤを履き,4輪独立懸架,フロントはダブルウィッシュボーン,リアはマルチリンクのアクティブサスペンションを装備し,デフはセンターも含めLSD,4点シートベルトにフルバケットシート,ブレンボのベンチレーテッドディスクブレーキはABS付き,面倒だから空力を改善するリアウィングを装備して10万円なら,これは買いです。

 と,いろいろ書き連ねましたが,結局何を選んだかと言えば,イギリスのMICRALITEという会社の,SuperLiteClassicという機種にしました。

 AirBuggyは1つのリファレンスになる機種だと思いますが,いかんせん大きいし,重さが9kg近くもあって,かなり重いです。街で見かけることも多くて,加えて3輪バギーという周囲に対する威圧感が,小市民である私を貫く視線となるような気がして,落ち着きません。

 コンビやアップリカという定番のB型ベビーカーも検討しましたが,小さく折りたため,かつ軽いものは乗り心地という観点でどうもしっくり来ませんでした。その割には結構高価だったりします。

 オランダのBagabooの,Beeというベビーカーは,高い剛性感,スポーツカーのような格好良さ,そして4輪に装備されたサスペンションでかなりグラグラきたのですが,大きく重く,そして10万円というお値段で断念しました。

 いろいろ迷っているうちに,ふとWEBで見つけたのがMICRALITEでした。

・乗り心地

 MICRALITEの衝撃吸収の考え方は,アルミパイプでしっかりしたフレームを作り,前後の重量配分を25:75にした上で,後輪の12インチの大口径空気入りタイヤで吸収するというものです。

 前輪はウレタン製のタイヤを履く小口径のもので,左右に首を振る構造です。この車輪に衝撃吸収の能力はありませんが,重量配分から明らかなように,ここに大きな加重がかかるわけではありません。

 4輪とも,直接フレームに取り付けられているので,特にサスペンションもダンパーも付いていませんが,太く柔らかい空気入りゴムタイヤがかなり良い感じで衝撃を吸収します。空気圧はちょうどサッカーボールくらいですので,通常のガタガタ揺れるベビーカーに,サッカーボールを1つ置いて,その上に赤ちゃんを座らせた感じを想像すると良いかもしれません。

 シートはハンモックタイプです。マイナーチェンジ前は全てメッシュだったのですが,Classicになってからは底面だけメッシュで,左右はしっかりした布に変わりました。私はこの方が望ましいと思います。

 そのシートは120度と140度の2段階でリクライニングします。140度だとかなり上を向くので,うちは120度で行くことにします。

 実際に走らせてみますと,石畳や荒れた舗装道路の振動が吸収されて,赤ちゃんへの負担は小さいようです。前輪からの振動は避けきれませんが,これが4輪全部のベビーカーだとかなり辛いでしょう。

 アルミのフレームはしっかりしており,ほとんどたわみません。ですので赤ちゃんがゆらゆらと揺られることもありません。

・重量

 SuperLiteClassicは公称6.6kgです。大口径空気入りのタイヤを履くベビーカーとしては,この重量はかなり軽いです。

 このくらいの重さだと,持ちやすさの良し悪しで,体感する重さに差が出ます。持ちにくいとか,片手で支えないといけないととても重く感じますが,たためば持ちやすいし,自立しますので6.6kgでもそんなに重いとは感じません。

 また,走り出せば,転がり抵抗が小さいことと,後述する取り回しの良さから,全く重さを感じません。とても快適です。

・折りたたみと自立

 折りたたみは2つの点で評価します。まず,折りたたんだ時にどれくらい小さくなるかですが,なにせ後輪が12インチですから,これ以下にはなりません。後輪のトレッドは小さく,前輪のトレッドは大きくなっているので安定感と取り回しの良さが両立するのですが,折りたたむときは,前輪が前後左右に縮み,後輪の間に収まります。

 片手で折りたたみ出来るかといえば,ちょっと難しいと思います。慣れれば可能という意見もあるでしょうが,慣れないとだめという意味ですし,全ての人が慣れるとは限りません。剛性感があるのでスムーズに変形しますが,ロックのかかり方が緩いので,変形の完了がわかりにくいかなあと思います。危ないですから,ここは改良が必要かも知れません。

 自立ですが,一応大丈夫という感じです。前輪が左右に縮むときに,左右に渡してあるアクスルが,くの字に折れます。折れた部分が下側に張り出し,これが地面と接して,前を支える足になります。

 これと2つの後輪で3点支持されて自立するのですが,ハンドルが大きいことと,シートが結構高い位置にあって重心が高いことに加えて,前を支える足が後輪に近いため,グラグラと大きく揺れるのです。決して簡単に倒れてしまうわけではないのですが,見ている人に不安を与えてしまうような不安定さですので,余り褒められたものではないと思います。

 ところで,後輪のロックを解除すれば,持ち上げることなく,引きずって行くことができます。大口径の車輪ですし,ちょっとした段差くらいならそのまま乗り越えて行きますので,必ずしも持ち上げて動かす必要はありません。

 ただ,折りたたんだ状態では背丈があります。私なら大丈夫なのですが,背の低い嫁さんなんかは,結構苦労しそうな感じです。

・格好良さ

 ちょっと他にない独特のデザインで,格好いいと思います。後述のように4万円ちょっとで買えるものですので,高級感はありませんし,威圧感もありません。

 まず目に飛び込んでくるのが12インチの大口径タイヤです。黒い3本スポークのホイールに取り付けられていて,これがこのベビーカーを強烈に印象づけます。

 そして前輪は前に飛び出し,かつ左右に広がっていますので,まさに前輪が放射状に広がったような感じです。この前輪と後輪の間にシートがはまり込んでいます。

 私は黒を買いましたが,フレームからホイール,ハンドルに至るまで全て黒です。あまりに真っ黒なので面白味に欠けるなあと思っていたのですが,座り心地改善のために別売りの赤いクッションを取り付けたところ,非常に精悍なイメージに変わりました。まさにライトウェイトスポーツという感じです。

・お値段

 先にも書きましたが,お値段は実質4万円くらいでした。通常45000円くらいで売られているようですが,これはClassicのお値段で,マイナーチェンジ前だと値引き前でも4万円,

 この手の輸入ベビーカーとしては,破格の安さではないかと思います。あるいは,国産まで含めても4万円でこの剛性感とこの機能というのは,なかなかないのではないでしょうか。

 確かに,高級感はありません。厳つさもありません。中国製ですし,軽さが見た目でわかります。細いフレームが前後左右に広がっているので,華奢な印象がないわけではありません。しかし,しっかりとしたアルミフレームは繰り返しているようにかなり高い剛性を持っています。

・取り回し

 赤ちゃんを乗せて早速走らせてみると,まずゴムタイヤのおかげで転がり抵抗が少なく,とても軽く動かすことができます。しかも剛性があり,しなることもきしむこともありませんから,とても楽に動かすことができます。

 これは大事な事ですが,後輪のトレッドが狭いことで,運転者の足下が案外狭いのです。なので,大股で歩くことが出来ず,自動的に走行速度に制限がかかります。急いで歩こうとしても,そういうわけにはいかないのです。これは安全上,本当によく考えられていることだと感心した点です。

 後輪のトレッドが狭いことは,左右に曲がる事も楽にします。つまり,後輪の左右の内輪差と外輪差が小さくなりますから,曲がるときの抵抗が小さくなってくれるわけです。

 また,重心の位置がよく考えられているので,乗る方も動かす方も楽ちんでしょう。

 しかし,このベビーカーには,その取り回しの良さ故の問題があります。

 まず,後輪のトレッドが小さい事で,左右に振り回すのが楽な点は,想像以上に赤ちゃんに横Gをかけてしまいかねません。

 ベビーカーの回転中心(旋回中心ではないのでご注意)は後輪の位置で,重心はその前方にありますから,左右に曲がるときに赤ちゃんが振り回されるのですね。端に寄せるときなど,自動車の要領で切り返しを行って寄せていくのですが,娘が結構ゆらゆらと揺すられているのを見て,まずいなと思いました。

 これが国産のものだと,後輪のトレッドが広いので,急に左右に曲がることがそもそも難しく,穏やかに曲がることになりますし,回転中心も後輪よりも前に出てきます。その分最小旋回半径が大きくなって取り回しが大変という事になるわけですが,赤ちゃんへの負担は小さいでしょう。

 なお,オーバーハングはフロントもリアも小さく,このあたりは普通のベビーカーです。ただし,着座位置に対し前輪が離れていますので,旋回時の鼻先の動きは随分大きくなります。

 ホイルベースはそんなに長くはないのですが,後輪のトレッドが狭いので,旋回時に前輪をパスしても,後輪が乗り上げてしまうことがあります。それを計算してラインを読んでカーブを抜けると,今度は赤ちゃんが大きく振り回されてしまうので,要するにカーブはゆっくり曲がれ,と言うことになりますね。当たり前か。

 ところで,前輪が左右に広がっていることがちょっと問題になりました。絶対的な幅は他のベビーカーとそれ程変わらないと思うのですが,後輪が狭くなっていていることと,運転している大人の目から前輪の位置が最も遠いところにあるということで,目測を誤るのです。

 嫁さんは自然に左によってしまい,ガードレールの支柱に前輪をボカンとぶつけてしまいました。回転中心が後輪にありますから,ちょっとハンドルを切れば前輪は大きく動いてしまいます。そこへ元々前後左右に広がっていると言うのですから,実は前輪の感覚を身につけることが,このベビーカーの運転ノウハウと言えるかも知れません。

・幌

 自動車で言うところのソフトトップがついています。ブリティッシュライトウェイトスポーツでカブリオレというのは,なかなかしびれるものがあるわけですが,後方視界の確保が必要ない代わりに,天井に丸い穴が開いていて,ここに半透明な窓がついています。これは運転者が赤ちゃんの様子を確認するためのものなのですが,実際の所良く見えません。自動車で言うところの,後方視界は絶望的,というやつですね。

 幌は手動開閉式で,簡単に格納できます。ただ左右はほとんど隠れないですし,案外浅いですから,遮光にはあまり貢献しない印象です。これがオプションのレインカバーだとすっぽり隠れます。

・ラゲッジ

 自動車で言うところのラゲッジスペースですが,これは絶望的です。シートの下側にネットがあり,ここに荷物を置くことが出来るようにはなっていますが,20cm四方で高さが10cmくらいの箱が置ける程度です。

 一応,荷物を固定するためのベルトがついていますが,屈んで手を伸ばして固定するのは,なかなか骨が折れるでしょう。

 しかも,路面すれすれの位置にありますから,土埃や泥はねは必ずあるでしょうし,荷物の形状によっては地面に触ってしまうのではないかと思います。また,ベビーカーをたたむときには取り出さなくてはなりません。あまり使い勝手は良くないでしょう。

 ところで,国産ベビーカーでよく見る,ハンドル部分に荷物を引っかけることは出来ません。ハンドルが後輪よりもやや後ろにあり,後輪に75%の荷重がかかっていますので,ハンドルに重量物を引っかけると前輪が浮いてしまいます。

 私は,国産のベビーカーでも,こうして荷物を引っかけるのは危険だと思います。ちゃんと設計されていればよいのでしょうが,前後の重量配分が大きく変わってしまうわけですから,可動部分を設けるなどの,荷重補正を行うしか安全性を確保出来ないんじゃないかと思うのです。

・ハンドル

 ハンドルはU字になっていて,ロックを緩めれば自由に回転させることが出来,好みの位置で固定することができます。ウレタンのスポンジでくるまれているのでなかなか手に馴染みます。冬も冷たくないでしょう。

 この調整機能は,どちらかというと運転者の身長によって調整されるものだと思います。背が高い人は上向きに,低い人は下向きにするとちょうど良いはずです。

・ブレーキ

 ブレーキは残念ながら装備されていません。走る,曲がると並んで,最も重要な機能である止まる,がおろそかになっているのですが,例えば後輪だけでも左右独立でブレーキがあると,左右の旋回ももっと機敏になっただろうし,下り坂の安全運転にも貢献したはずで,このベビーカーの唯一残念な所です。

 パーキングブレーキ,といいますか後輪のロックは当然あります。摩擦式ではなくて,凹凸が勘合するものですので,勝手に緩む心配はない代わりに,運動エネルギーを熱に変える事は出来ませんから,荷重移動に使うなど攻めるブレーキングは出来ません。当たり前か。

・オプション

 今は手に入りにくいようですが,前輪も空気入りのタイヤにするためのキットが売られています。安かったので私も買いましたが,結論から言うと失敗でした。

 前輪を外し,左右にアルミパイプで出来たリジッドアクスルを渡します。この段階でこのベビーカーは折りたたむことが出来なくなりました。

 そしてこのアクスルの両端に,後輪と同じ12インチの車輪を取り付けます。ここまで来るとさすがに厳ついです。

 高さは上手く調整されているので換装後も違和感なく動かせますが,致命的な欠点として,左右に曲がらなくなります。

 前輪が首を振らず,リジッドですから,直進しか出来ません。タイヤをスリップさせながらなら曲がることが出来るだろうと思いましたが,太いゴムタイヤの接地性の高さをなめていました。

 大きく回れば,左右に旋回できますが,このベビーカーの利点の1つである取り回しの良さは絶望的になりますので,ストリートユースでの実用性はゼロです。ただし,砂漠では圧倒的な走破能力を見せつけてくれることでしょう。

 カタログには悪路走破性能を向上させるオプションであり,ストリートでは取り回しが悪くなるよと書いてありますので,私のようにインドアな引きこもりが買うようなオプションではなかったということでしょうか。

 まあいいです。この前輪はシルバーのホイールですが,ちょっと部品を交換すれば後輪にも使えます。スペアを買ったと思えばいいでしょう。結構パンクするようですし,パンクすると全く使い物にならなくなってしまうわけですし。

 次にレインカバー。透明のビニール製で,専用のキャリングケース付きです。幌をたたんだ状態で取り付けると,すっぽりと下まで覆われて,雨や風から赤ちゃんを守ってくれます。

 ただし,これを雨の降るなか屋外で着脱するのは無理です。かといって取り付けた状態ではたたむことが出来ませんから,いったいどういう状況で使えば良いのか,ちょっと難しいところだと思います。

 引きこもりの私に言わせれば,そもそも雨の日に外に出るなよといいたいわけで,どうしても外に出なければならない緊急時の装備ですね。

 最後にキャリングバッグ。バッグ?こんなごっついものを,鞄に入れるのか?と我が目を疑いましたが,届いてみると,確かにすっぽり入ります。軽くて丈夫なバッグはそんなに悪いものではありませんが,なにせこれに7kg近いものを入れて,肩から提げるというのですから,嫁さんの「正気か?」という視線が実に刺さりました。

 まあその,テニスの大きなバッグをもうちょっと長くしたような感じです。そうですね,ゴルフバッグ・・・くらいでしょうか。

 果たしてこれが便利に使えるシーンがあるのかどうか,買ってから考えた私でありました。

 実際に買ったオプションはこれとシートクッションくらいですが,他にももう一人子供が立ち乗り出来る台車を後輪の後ろに取り付けることが出来たり,背の高い人向けにハンドルの長さを延長するものがあったりと,オプションはいろいろあります。国産のベビーカーにはない,面白さでしょう。


・まとめ

 想像以上に大きく,重量もあって,正直なところ小柄な女人にはちょっと手に余るものだと思います。一度走り出せば取り回しは楽ちんで,とても快適なお散歩が出来る事は間違いないですが,駅の改札は車いす用の広いところを探す必要があるでしょうし,たたんでも結構大きいですから,混雑した電車だと周囲の視線が痛いと思います。

 乗り心地については,娘は喜ぶことはないのですが,すやすやと眠ってしまいますので,そんなにおかしなものではないのでしょう。着座位置も高いところにありますから,地面が迫ってくる怖さや,自分よりもはるかに高い位置にある大人の顔に怯えることもなく,安心してもらえているのであれば,狙い通りです。

 欲を言えば,もう少し折りたたんだ時に小さくなって欲しいのと,自立時の安定感を増して欲しいところです。変形の機構もちょっと難しいものがあり,もうちょっとスムーズになればなあと思います。

 それと前輪です。せっかく後輪が大口径のゴムタイヤなのに,前輪がその足を引っ張って乗り心地を悪くしています。前輪だけでもサスペンションを付けてもらうか,小口径でも空気入りのゴムタイヤを履いたものに交換出来ると抜群だと思います。

 せっかく買ったのだからとあまり窮屈に考えず,このベビーカーの利点を生かして,楽しく使っていこうと思います。電車での移動や嫁さん一人での扱いなど,必ずしもこのベビーカーが万能という事ではありません。軽くて華奢でも近距離移動用に割り切って,安いものを買い足してもよいと,それくらいに考えてもいいかも知れません。

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