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ジョン・ロードが亡くなりました

 ジョン・ロードが亡くなりました。享年71歳。膵臓癌と闘っていましたが,直接の死因は肺そく栓症とのことです。

 私にとっては本当に大きなニュースなのに,ほとんどメジャーなニュースでは取り扱われることなく,私も嫁さんの「ディープパープルの誰かなくなった」という,それこそぞんざいな,日常的な夫婦の会話のなかで知ったという,この残念さ。

 私ごときがあれこれ語ることはおこがましいのですが,ハードロックに嫌悪感があり,一生わかり合えない音楽だなと思っていた中学生の時でさえ,私はDeep Purpleというバンドを知っていました。

 ハードロック&ヘヴィーメタルというジャンルは,バカでかいギターアンプ,ボーカルを含むすべての楽器が爆音を出して,上半身裸かピチピチの格好をした長髪の兄ちゃんがやたら速い音楽をやっている,というそのものズバリなイメージしかなく(今でもそうなんですが),10代前半のナイーブな私には,とても縁遠いものだったのです。

 Deep Purpleは,そんなHR&HMでも古参のバンドであり,起源(ここはオリジンと読もう)でもあることを知識として知っていたのですが,他のバンドと違ってキーボード,特にハモンドオルガンという楽器の存在感が圧倒的であり,通常のHR&HMのスターがボーカルとギターであるところ,Deep Purpleはキーボードも主役であったことが,非常に個性的で特異に見えていて,当時の私の記憶によく残ったのだと思います。

 そして,覚えた名前が,ジョン・ロード。

 リッチー・ブラックモアではなく,デヴィッド・カバーデルでもなく,ジョン・ロード。ロジャー・グローバーでもなく,イアン・ギランでもなく,イアン・ペイスでもなく,ジョン・ロード。

 そして時は流れ,20歳の私は,あれほど嫌いで理解出来ずにいたハードロックのバンドにキーボーディストとして音を出すことを許され,遠くに霞んで全く見る事の出来なかったジョン・ロードの背中に憧れ続けていました。

 その背中は,とうとう見る事なく,私の前から消えてしまいました。

 いろいろ意見はあると思いますが,ジョン・ロードのすごさは,ロックやブルースを起源に持つハードロックが,大きな音を出すことの出来るエレクトリックギターを中心に発展してきた中で,ハモンドオルガンという古典的な電気楽器をギターと渡り合える主役に引き上げたことでしょう。

 ハモンドオルガンはなにかと不利な楽器です。大きい,重い,壊れやすい,高価,固定されているのでステージ上で動き回れない,真正面からは楽器の影に隠れてしまうと,特にアマチュアには簡単に扱えないものです。

 そのハモンドオルガンを,ギターと共にバンドの二枚看板にしたその功績は非常に大きく,ハードロックにはハモンドオルガン,と言う観念を定着させたことは,ハードロックというジャンルに,大きな自由度をもたらしました。

 それまで,正弦波に近い音を特徴としたハモンドオルガンは,ハードロックが歪んだギターによって爆音化する過程で,ジョン・ロードによって同様に歪まされ爆音化されていきます。

 Highway Starなどは左にギター,右にオルガンですが,3度を抜いた歪んだ音は,知らない人ならどちらもギターと思うかも知れません。

 思えば,ハードロックの黎明期,ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアは,それぞれが相手を意識して音を作っていました。

 後に生まれるギターのライトハンド奏法も,キーボードの特権だった速いフレーズに対抗するために考え出されたものです。キーボードとギターは,互いに切磋琢磨して,新しい音楽を作って来たのだなあと,ちょっとこじつけですが思います。

 Deep Purpleのあと,ギターにハモンドオルガンという形態は70年代から80年代のブリティッシュハードロックのフォーマットとなり,キーボードは常に正式メンバーにいました。

 その原点が,Deep Purpleとジョン・ロードにあるということを,改めて考えさせられました。
 

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