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KのレンズをQに

  • 2012/10/29 16:02
  • カテゴリー:散財

 この夏に発売予定とされていた,PentaxQ用のKマウントアダプターがとうとう発売になりました。

 私はPentaxQのレンズ資産を一気に拡大すべく,高価でしたが速攻で予約し(最近速攻ばっかりです),予定通り10月26日に手もとにやってきました。

 この手の商品としては比較的高額な25000円なのは,ちゃんとメカシャッターが組み込まれているからです。

 単純にマウントを変換するだけなら1万円くらいで出来たかも知れませんが,PentaxQはレンズシャッター機ですので,ボディにはシャッターがなく,そのままではローリング歪み(こんにゃく歪み)が出ます。

 これを防ごうと,メカシャッターを高くなっても入れようというのが,Pentaxの良心だと私は解釈しました。もともと,こんな酔狂なオプション,そんな売れるはずもないでしょう。普通ならボツになる(だって焦点距離が5.5倍になるんですよ,使い道なんかそんなにないですよね)ような商品ですし,出ただけ万歳という感じです。

 というわけで,早速試してみます。レンズは絶対に試したかった,FA43mmF1.8Ltdです。35mm換算で,236.5mm相当ですか・・・こりゃ狭い我が家には厳しいです。

 さすがに,デジカメ1つ買えてしまうくらいのマウントアダプタだけに,作りはしっかりしています。ただ,Kマウント側レンズを取り付けると,結構ガタガタします。このあたりはちょっと残念です。
 
 PentaxQに取り付けると,かなりアンバランスで格好は良くないです。FA43mmとのデザインも今ひとつマッチングしていないので,なんだか違和感が否めません。

 気を取り直しましょう。本体のファームのバージョンをアップしないと,手ぶれ補正を最適化できません。安定性も増すというので事前にアップデートをしておきました(設定が全部初期化されるという罠にはまって涙しました)が,おかげで焦点距離入力はスムーズです。

 せっかく変な焦点距離のレンズをラインナップするメーカーなのですから,43mmや77mm,31mmなどは最初から入れておいて欲しかったのですが,プリセットでは案外普通の焦点距離しか入っていません。でも心配無用,手動で設定したものはちゃんと記憶されて,次からはワンタッチで選ぶ事が出来ます。

 絞りについては,FA43mmはちゃんと絞りリングがありますから,無理にマウントアダプタ側の絞りリングで操作することはありません。しかし難しいのは,230mmの望遠でF1.9だと,もうピントが合わないので全然だめですし,かといって絞ると暗くなってしまいますから,画質も劣化して痛し痒しです。

 ピントを合わせるときには絞りは開放し,撮影時には絞り込むという一連のアクションを,手動でしないといけないのも新鮮です。50年前にタイムスリップです。

 ですので,FA43mmの絞りリングを決めた値に固定し,マウントアダプタ側の絞りリングを1番と7番で交互に切り替えるという運用がよいでしょうね。これって,懐かしのプリセット絞りってやつですよ。

 でも50年前と違うのは,絞り込んでもLCD画面ではちゃんと増感されて,真昼のように明るくなっています。ノイズもひどくて白飛びや黒つぶれもありますが,ライブビューのカメラはこれが素晴らしいです。

 さて,実際に撮影をしようとしますが,これがなかなか大変でした。

 PentaxQの便利な機能の1つに,マニュアルフォーカス時に自動で拡大され,ピント合わせが楽になるというものがあります。これはなかなか便利で私は常用している機能なのですが,フォーカス操作が行われたかどうかを検出出来ないマニュアルフォーカスのレンズやマウントアダプタを経由してレンズを装着した場合は,当然自動で拡大されることはありません。

 OKボタンを押して拡大出来るのですが,慣れていないのでモタモタしてしまいます。まあ,もともと200mmオーバーのレンズで,拡大済みのようなものだからと軽い気持ちでマニュアルフォーカスにチャレンジしますが,これが結局大失敗です。

 全然ピントが合いません。

 ピントが合わないだけでなく,被写界深度が浅くてちょっと動けばボケボケになり,しかももともとフィルム用のレンズだけに収差も残っていて,絞って改善を試みればISO感度が上がって画質が劣化します。

 また,レスポンスがかなり遅いです。シャッターボタンを押してからシャッターが落ちるまでの時間が長く,標準のレンズに比べると一呼吸遅れます。また,結構振動も大きくて,いつものPentaxQのつもりでいると,面食らいます。きっと手ぶれも盛大に出ていることでしょう。

 出来上がった写真は,そりゃもうひどい物でした。しかもなんだかカラーバランスもおかしくて,青色に転んでいます。

 あの,豊かな階調を持っている,あの肌色をとても優しく取り込むkとの出来る,あの背景のボケ方がとても美しいFA43mm/F1.9Ltdが,全くふるいません。これはがっかりです。

 あまりのがっかりさに,FA77mmを試す気力さえ失い,かのマウントアダプタは箱に再び舞い戻ってしまいました。

 いや,そもそも室内で236.5mmは無茶ですわね。屋外でどれくらい使えるかを試す前に結論を出すのは早いと思います。77mmだってきっと楽しいし,デジタル専用の望遠レンズ(シグマの望遠ズーム)で1000mmオーバーの世界に突入するのも面白そうです。タクマーレンズを放射能バリバリで使うのも,ちょっとマニアックです。

 ・・・ここで,25000円も払うんだったら,PentaxQの標準ズームを1つ買っておけば良かったとか,そんな風に思ってはいけません。そう,いけないです。

 なんとか使い道を考えないといけません・・・ぞうだなあ,お月さんでも撮影してみますかね。

 それにしても,Pentax自らの手で,AFカプラーを持つKAFでもなければ,電気接点を持つKAマウントでもない,すっぴんのKマウントが発売されるとは,私はとても感慨深いです。

 現段階では,満を持して発売されたマウントアダプタではありますが,残念ながらおすすめ出来る品物ではありません。特に,手持ちのレンズの資産を有効に活用しようなどと貧乏くさいことを考えていると,完全に裏切られます。

 PentaxQは,本体内の画像処理エンジンで収差を補正することを前提に,レンズ設計の制約を緩和したことがコンセプトになっています。画像処理エンジンをあてに出来ないフィルム用のレンズは,すべての収差をなんとか両立出来るようにバランスしてあるわけで,いわばすべての収差が「中途半端」と言えます。

 そんなレンズを使って,標準のレンズに迫る画質はどう考えても期待出来ません。つまり,そういう収差の残った甘いレンズを,表現として使い切ることが,このマウントアダプタの真骨頂なんだろうと思います。

 うーん,失敗したのかなあ。

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