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プラズマディスプレイが過去の物になる時

 プラズマディスプレイの「火」が消える時が来ました。

 テレビ事業が重荷になっているパナソニックが,2014年度中のプラズマディスプレイからの撤退を決めたと報道されました。すでに新規の開発は行われていないとのことですので,2014年度中の撤退は急に決まった話ではなく,既定路線だったのでしょう。

 今後は液晶パネルを使ったテレビに一本化し,その液晶パネルも7割ほどを外部から調達するということですので,家電の雄ナショナルの流れを汲むパナソニックも,とうとうここまで後退するのかと残念です。

 ピークの2009年に比べると,ビジネス規模が半分になるという昨今の状況を考えるとやむを得ませんが,かつての基幹部品であったブラウン管を内製できたメーカーが圧倒的な強さを誇った時代は終わり,むしろ負担になって体力が削がれるという状況は,確かに看過できない問題です。

 ブラウン管テレビの時代は,ブラウン管を「持つ者」と「持たざる者」の差が大きく,ブラウン管を持つメーカーは我が世の春を謳歌していました。

 ブラウン管がプラズマディスプレイなり液晶ディスプレイなりのフラットパネルになるとき,ブラウン管時代の成功体験を持つメーカーは当然,この優位性を維持しようと考えたはずです。

 しかし,結果としては状況の変化を読み誤りました。特に,プラズマディスプレイのような特徴も動作原理も作り方も全く異なるディスプレイは,強みにも弱みになるという好例だったということでしょう。

 富士通,日立,パイオニア,NEC,そしてパナソニック,ちょっと方式は違うのですが類似のものをソニーも開発を手がけていたプラズマディスプレイ。ブラウン管を継ぐディスプレイの本命として,長く開発が続けられていました。

 応答速度の速さに発色の良さ,高いコントラストと視野角の広さという,まさの理想的な薄型テレビとしてようやく市場に投入されましたが,3つの壁が立ちふさがります。

 1つは液晶ディスプレイの高画質化です。プラズマの足下にも及ばないとされていた液晶ディスプレイですが,改良を重ね,もはやプラズマディスプレイとの画質差はないと言っても良いでしょう。

 2つ目はテレビの低価格化です。液晶ディスプレイの価格が強烈に下がり,プラズマディスプレイを使えないほどの安さでテレビが売られるようになりました。プラズマディスプレイの利点に見合うような価格差なら許されるというのがこれまでのメーカーの理屈でしたが,今その利点は,ほとんど見当たりません。

 最後は高精細化です。もともと,プラズマディスプレイは高精細化が苦手なディスプレイで,原理的に大画面化に適しています。液晶は逆で,大画面化が苦手でも,高精細化が得意です。

 一時は無理と言われたフルHDのプラズマディスプレイが登場してなんとか生き残って来ましたが,近い将来確実にやってくる4Kの時代には,もう対応が取れないと判断されたのだと思います。

 大画面化に向けば活路を見いだせたかも知れませんが,すでに液晶ディスプレイも大画面化していますので,プラズマディスプレイのメリットは非現実な大きさでのメリットにしかなりません。これではテレビには使えないです。

 高精細化と低コスト化は,なんとか乗り越えてきました。しかし,もうこれ以上は無理でしょう。公平に見て,プラズマディスプレイは詰みました。

 かくいう私はプラズマディスプレイのファンです。

 ですから今回の決定は,覚悟はしていたものの,とても残念な決定です。

 私は特にAVマニアでもないし,そもそもテレビなどニュースくらいしか見ませんから,それほどテレビにこだわっていません。しかし,少しだけとはいえ,毎日目にする物ですから,見ていて違和感のないものを手に入れたいとは思っていました。そしてそれは液晶テレビではなく,プラズマテレビだったのです。

 液晶テレビの低価格に引き摺られて,プラズマテレビの価格もどんどん下がりました。私も安くなったときに買ったのですが,その先にあったのは,全メーカーのプラズマテレビからの撤退,つまり,プラズマテレビがもう買えなくなるという現実です。

 大量生産の工業製品ですので,儲からないと最終的には買えなくなります。価格が下がることはありがたいことですが,その結果は必ずしもファンの期待に応える物にはならないという話だと思います。

 面白のは,プラズマディスプレイからの撤退をする2014年に,有機ELテレビの発売を目指すと言っていることです。有機ELはプラズマディスプレイと同じ,自発光のデバイスで,消費電力が大きいことと薄く出来ないというプラズマディスプレイの欠点を払拭する,まさにテレビに適したディスプレイです。

 個人的には,有機ELには問題が山積しているので2014年に発売など無理ではないかと思いますし,無理に発売しても,画作りや信頼性,耐久性という面で問題が出て,評判を落としてしまうのではないかと思うのですが,どちらにしてもプラズマディスプレイは有機ELディスプレイに,世代交代をすることになると,私は感じました。

 プラズマテレビを使って3年になりますが,不満どころか,良い買い物をしたなと気に入っています。パナソニックがプラズマディスプレイをやめることで,プラズマディスプレイは完全に過去の技術になってしまうのですが,ほんの10年ほどの間しか買うことの出来なかったこの特徴あるテレビを買うことが出来て,良かったと思います。

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