エントリー

夏だ!一番!測定器祭り!

  • 2013/08/28 13:37
  • カテゴリー:make:

 事の始まりは,何気なくみていたWEBページで,私が20年近く前に大枚はたいて購入したテクトロニクスの2465Aというアナログオシロスコープの,バッテリバックアップ電池が切れるという記事を見たことでした。

 1980年代の不揮発メモリというのは,CMOSのSRAMをリチウム電池やNi-Cd電池でバックアップするしか方法がなく,5年から10年くらいもてば,まあ製品寿命が先に尽きるだろうという考えで,広く使われてきました。

 実際の所,5年や10年なんてあっという間ですし,測定器や電子楽器のようなプロが使う装置はなかなか壊れません。しかも長く使われる傾向があります。100万円を超える高額な装置が,中古で数万円になった今こそ,アマチュアの手に渡って第二第三の人生をおくる測定器も珍しくありません。

 そこでバッテリの交換がどこかで必要になるのですが,面倒なのは特殊な電池で交換が難しい場合や,運悪く電池が切れると起動すら出来なくなるような場合もあるわけです。そこで,切れる前に交換しておく必要が出てきます。

 以前,オークションでFMチューナーの調整のために,VP-8191AというSSGを買ったのですが,この装置もバッテリバックアップがNi-Cdで行われており,切れるとCPU(なんと8085です)のリセットがうまくかからず,起動しないというトラブルを起こします。

 私のVP-8191Aも頻繁に起動不良が発生するようになったので,Ni-Cdを外し,ここにリチウムコイン電池CR2032を,逆流防止のショットキーダイオードを入れて取り付けました。

 改造はうまくいき,とても快調に動いているのですが,これに気をよくした私は,他にも交換した方が良いものがないかを,つらつらと考えていたのです。

 そういえば,2465Aってどうだっけ?

 調べてみると,やっぱり入っていました。CR2032の3倍も4倍もあるような容量の,長寿命タイプが使われています。これで10年は大丈夫,実力で20年近く大丈夫なものもあるという話ですが,切れてしまったケースもチラホラ見受けます。

 テクトロニクスの24xxシリーズは,SRAMにキャリビュレーションのデータが書き込まれています。ここが消えてしまうとエラーが発生して,正しい測定が出来なくなります。その場合,キャリビュレーションをやり直すことになるのですが,アナログオシロのキャリビュレーションはなかなか大変です。

 ということで,まずは電池の交換をしようと画策しました。

 そうしてWEBページを見ていると,壊れた2445や2465の修理記録がいっぱい出てきます。その大半は,ハイブリッドICと電解コンデンサのの劣化によるものでした。

 私の2465Aは1987年製,すでに25年が経過しています。私が買ってからもすでに20年以上が経過していますから,いつこわれてもおかしくありません。事に電解コンデンサは5年くらいでその機能を失うものです。

 そこで一念発起し,電解コンデンサを全部交換することにしました。まさに「平成の大改修」です。

 2465Aのサービスマニュアルから,部品表とにらめっこし,電解コンデンサをリストアップします。完全に同じ値がなくても,回路図上大丈夫そうなものは似たような値で代用して,私がよく使う部品屋さんに注文します。

 そして,ハイブリッドICの破損に備え,オークションで2445を格安で入手。150MHzで難ありのアナログオシロなんて,そんなに高値は付きません。部品代くらいで落札できました。

 2445は2465Aに比べて1世代前の,しかも150MHz帯域のものです。ですが,ハイブリッドICには共通で使えるものが多く,CRTや高圧ブロックも共通です。値段次第ですが,数千円なら2465Aを延命させるドナーとして確保しておいても,損はしません。

 部品屋さんから交換用の電解コンデンサが届いてからしばらくは,病気をしたり他の用事があってなかなか取りかかれなかったのですが,ちょっと出来た時間を使って,とりあえず2465Aをラックから降ろし,ケースを外してみることにしました。

 よく考えると,2465Aは5年ほど前に電源が入らず,電源スイッチを分解して修理しているんですね。その時は不用意に触らず,問題の部分だけ修理したので,内部をあまり観察した覚えがありません。

 見てみると,電解コンデンサの交換はなかなか骨が折れそうです。特にメインボードは取り外しが面倒で,くじけそうです。

 ところでこの2465Aですが,分解前に様子を見てみると,かなり状態がよくありません。まず画面が垂直方向にガクガクとぶれます。さらに時間測定時のカーソルが,画面の端まで行きません。そして,波形の表示もカーソル表示も,電圧や時間が正しく表示されていません。

 これでは結局のところ,使い物になりませんからね。コンデンサの交換だけではなく,修理と調整をやり直す必要も出てきてしまいました。これはなかなか大変そうです。

 ですが,とりあえず先に,電池の交換をします。元々付いていた電池は基板にハンダ付けされていますから,通電しながら外すというのは難しいです。そこで外部から3Vを供給し,SRAMに電圧がかかっている状態で電池を外してから,手早くCR2032のホルダーとショットキーダイオードを取り付けます。

 続けて電池をホルダーに入れて,外部電源を外します。SRAMの電圧を測定し,3V近くあれば成功です。

 CPUボードを戻して正常に動作することを確認し,この件はあっという間に終了です。残るは,画面のブレの修理と電解コンデンサの交換です。

 確実に劣化するとされる電解コンデンサを交換すれば,もしかすると画面のブレは治まるかも知れません。測定値もそれなりの値に戻る可能性もあります。ワクワクしながら,電源ブロックを外して,コンデンサの交換を開始します。

 しかし,もともと付いている電解コンデンサは,予想に反して大半が日本製です。液漏れもなく,外観もとても綺麗です。一度どこかで交換しているんじゃないかと思ったほどですが,基板には交換の痕跡はなく,おそらく最初から日本製が使われていたのでしょう。

 電源ブロックで交換したコンデンサは,外した後すべて容量とESRを測定してみました。結果,不良は1つもありませんでした。さすが当時の日本製は気合いが入っています。

 スプラーグ製の大型電解コンデンサ(290uF)も,容量が倍ほど違いますが新しいものに交換し,すっきりです。

 電源ブロックをもどし,電源を入れてみます。

 うーん,何にも変化がありません。画面はぶれますし,値もずれています。外したコンデンサがどれも正常だったのですから,当たり前といえば当たり前です。

 調整が狂っているのかなと,あちこちの半固定抵抗をちょっと回してみますが,これも変化無し。調整点がずれるだけに終わってしまいました。

 よくよく観察してみると,一見して不規則に揺れている画面も,掃引時間をゆっくりにしてやると,規則性があることがわかりました。どうも,水平帰線期間で画面ががくっと下にずれます。本来,水辺の変化に垂直が引っ張られるなんてことはないはずですから,これは水平と垂直に共通の部分になにかトラブルがあるんじゃないかと推測です。

 ただし,共通の部分に問題はあっても,水平は正常,垂直だけブレが出るのですが,垂直の回路を追いかけていけば問題を見つけることができるはずと,目処を立てます。しかし,よく見てみるとリードアウトだけが揺れている場合もあるので,もしかすると問題は1つだけではなく,複数あるのかも知れません。

 なんとなく面倒な事から逃げるように,ハイブリッドICを外して,汚れた端子を磨いて見ますが変化無し。垂直軸に関連するハイブリッドICを2445から外して交換しますが,これも全く変化ありません。がっかりな反面でハイブリッドICが壊れていないことが分かってほっとしました。

 そういえば,以前電源スイッチ内部のスパークで画面が揺れたことがありました。あの時応急修理したスイッチがまた壊れているのかも知れません。2445からスイッチを取り外し,2465Aに移植します。

 しかし,外した電源スイッチを分解しても,全く異常はありません。当然,交換後の実機にも変化はなく,相変わらず画面がブレ続けています。

 かくなる上は,愚直に波形を見ていくしかありません。サービスマニュアルに従って,まず電源の電圧を調整,続いてDAコンバータのリファレンス電圧をあわせます。

 そして1kHzの信号を入れて,サービスマニュアルにある測定ポイントを別のオシロスコープで見ていきます。波形,波高値,周波数が正しいかどうかを面倒でも1つ1つ見ていくわけですが,ざっと垂直軸の回路を追いかけたところ,特におかしな波形はなし。

 うむー,困りました。

 もう一度,垂直軸の回路を,今度はCRT側から確認していきますが,いきなりCRTの手前で問題なしです。ということは,画面のブレは垂直軸の回路に問題があって起こっているわけではないようです。

 気が進みませんが,こうなるともうCRT特有の回路,高圧ブロックを見るしかありません。感電防止のためのカバーを外して,中を覗き込みます。

 うーん,高圧はいやですね。私は恐がりですし,感電するのが嫌なので,高圧は本当に苦手です。出来れば触りたくないので,ずっと避けてきました。

 測定ポイントにプローブをあてて,波形を確認します。途中,プローブの金具が基板の端子にあたり,パシッと火花が飛んで嫌な汗をかきましたが,いくつか見ていくと明らかに電圧が出ていないポイントが見つかりました。

 他にも,電圧が半分くらいしか触れていない箇所があったりと,高圧ブロックの動作不良の可能性は高くなってきました。

 ここでとるべき選択肢は2つ。高圧ブロックを外して修理。もしくは2445から外して交換。

 高圧ブロックですから,部品を交換し元に戻して,なんていう作業を繰り返すと,それだけ感電の危険が増えます。嫌です,死にたくありません。

 そこで,とりあえず高圧ブロックに原因があるかどうかをはっきりさせる目的で,2445の基板と交換してみます。基板の番号や乗っている部品の番号を確認し,共通であることを確認したら,早速交換です。

 しかし,アノードキャップにつながる,あの太いケーブルは,どうも慣れないものですね。ピンホールから火花がでて指に穴が開いたら嫌だなあとか,迂闊に降圧に触れて意識が飛ぶのも,のけぞって頭を壁にぶつけるのも嫌だなあとか,冷や汗をかきながら交換作業を進めます。

 私の2465Aは5000時間ほど通電された,結構使い込まれたものです。高圧ブロックにも黒い煤のようなホコリがたくさん付いています。一報の2445は製造が2年ほど古いわりに,とても綺麗です。

 さて,基板を交換し,ドキドキしながら電源を入れます。よし,とりあえず起動しました。

 画面がボヤーっと出てきましたが,なんと,画面のブレはなくなっています。

 なんというか,これだけすっきり表示が出てくるのを見るのは,とても久々な感じがします。今にして思えば,10年近くもこのブレに悩まされてきたわけですから,高圧ブロックが10年も壊れたままになっていたんですね。よくもまあ,大事故にならなかったものです。

 壊れていた高圧ブロックを修理することも多少考えましたが,それは今使っている基板が壊れてから考える事にします。なにせ,修理後の動作確認は実機に組み込む以外に方法はなく,それだけ感電死のリスクが高まるんですから,命がけでやるようなことじゃありません。

 ここまで来ると,残っているメイン基板の電解コンデンサも交換したくなるのが,これ人情というもの。壊さないようにコネクタや配線を外して,慎重に基板を取り外して電解コンデンサを交換しました。

 元に戻して通電。問題なく動作することを確認出来たら,修理は完了です。
電解コンデンサもすべて交換しましたし,電池も交換しました。もう10年は動き続けてくれるでしょう。

 しかし,明らかに調整が狂っています。そこで,調整(校正)をします。

 長くなりましたので,調整編は次回に。

ページ移動

ユーティリティ

2020年05月

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed