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せっかくだから2465Aを調整してみよう

  • 2013/08/29 08:49
  • カテゴリー:make:

 さて,長年患っていた画面のブレが,高圧ブロックの故障という原因で引き起こされていたことがわかり,ドナーとなった2445から移植された高圧ブロックで完治したわが2465A。無残に横たわる2445にカズオ・イシグロの世界を重ね合わせながら,なんとしても2465Aを復活させるべく,調整を行う事にします。

 24xxシリーズの調整は,ある程度自動化されていて,信号源を用意していれば,自動で調整を行ってくれる機能がありますが,そこはアナログオシロですから,全部というわけにはいきません。半固定抵抗を使って調整しないと行けない部分もあります。

 2465Aは,DIAGモードに入っても,キャリブレーションを行う為のCALメニューが出てきません。これは基板上のショートピンがUNCALになっているからで,これをCALに差し替えます。

 これでCAL01からCAL08までのメニューが出るようになりました。

 高圧ブロックを交換したので,まずはCRTの調整です。CAL08がそれにあたります。

 ΔtとΔVボタンを同時に押し,SLOPEボタンを押すと,DIAGモードに入ります。ここでTRIGGER MODEボタンを上下に押して,CAL08を選び,COUPLINGボタンの上を押します。

 まず,Z-AXIS DRIVEという半固定抵抗を右回りにいっぱい回せと画面に出てきます。メイン基板の左奥にある半固定抵抗ですが,ここは躊躇なく右にいっぱい回しきっておきましょう。

 COUPLINGボタンで次に進みます。
 
 そうすると,画面の真ん中にぽつっと1つドットが出ており,その下に横一列にドットが並んだ線が見えます。この両者のドットの明るさが同じようになるよう,GRID BIASを調整します。

 次に進みます。次はTRACE ROTATIONとY-AXISです。まずTRACE ROTATIONで水平を出します。次にY-AXISで垂直を出します。これだけです。続いてASTIGとFOCUSを回してシャープになるように調整します。

 続いてGEOMETRYです。Δtのカーソルがまっすぐになるように調整します。

 次に50kHzの正弦波を入れて,画面いっぱいに表示させます。これがシャープになるよう,EDGE FOCUSを調整します。

 続けてHIGH BIASです。これは長時間行うとCRTが焼けますので,手早く片付けます。10MHzで6divの正弦波を表示させ,全体にシャープになうようにHIGH BIASを調整します。正弦波を入力しないとやっぱりCRTが焼けますので,禁止です。

 最後はダイナミックセンタリングの調整です。2465Aには,画面が左右に動いてしまうことがないよう,自動的に上下左右を固定する回路がありますが,ここの調整です。

 まずは水平です。明るさを明るくしたり暗くしたりを繰り返すと,表示位置が動くのですが,これが動かないように,Horizontal Dynamic Centeringを調整します。続けて垂直ですが,画面に出ている明るさの違う線が一直線に並ぶように,Vertical Dynamic Centeringを調整します。

 これでCRTは調整完了です。

 さて,次は難関の水平軸の調整です。ここから先,信号源がないと調整が出来ません。そんなに高精度なものを要求しないとはいえ,CR発振器を信号源にするのはさすがに無理ですので,私の場合最近安く買えるようになってきた,DDS方式のファンクションジェネレータを買うことにしました。詳しいことは後日書きますが,安い測定器で有名なOWON製のAG1022というものです。

 水平軸の調整はCAL01で行います。メニューに入る前に,入力容量を調整しなくてはいけないのですが,ここはアッテネータのカバーに覆われていますし,正確に調整するのが大変ですから,変化していないという前提で省略。

 次に,リードアウトのジッタの調整です。リードアウトがぶるぶると振動して表示されるなら,それはVertical Readout Jitterで調整出来ます。最小になるように半固定抵抗を回して終了です。

 そしていよいよCAL01です。CAL01の調整作業はとても大変なので,覚悟を決めてメニューに入ります。

 DMMを正面のCAL端子に繋ぎます。そしてCH1に繋いだプローブの先端をメインボード後方のR489の手前の足にあてます。そしてΔを回し,2つのカーソルが重なるようにします。そしてCOUPLINGボタンを押して,この時のDMMが0Vになっていることを確認します。まあ1mVくらいは出ていてもよいです。

 プローブを外し,次に進みます。次はいよいよ信号を入れます。0.1msのパルスを入れます。波高値は適当でいいですが,見やすくなるように調整出来るようにしておいて下さい。

 画面にはいくつかパルス波形が出ていると思います。左から6番目のパルスに,波形が重なるよう,ΔREFとΔの2つのツマミを回して調整し,COUPLINGを押します。この時DMMに400mVの電圧が出ていれば正解です。

 次に進むと,もう少しパルスの数が増えています。ΔREFを回して,2番目のパルスを0.2divに持ってきます。そしてΔを回して10番目のパルスを表示させ,2番目のパルスと重ねます。重なったらCOUPLINGです。

 この作業をサービスマニュアルに従って,step4まで繰り返します。

 step5では,10usのパルスを入れて,X1 GAINとHrzCtrの2つの半固定抵抗を回し,2つのカーソルが2つ目と10個目のパルスに来るよう,調整します。終わったらX10 GAINを回して,1つ目のパルスに来るようにします。これで時間軸はほぼ合ったはずです。

 step6からstep16までは,サービスマニュアルに従ってstep4までのように,粛々と調整をします。ただし,私が買ったファンクションジェネレータは25MHzまでしか発振できないので,後半は調整出来ずに,そのまま先に進めました。

 書き忘れましたが,かなりの確率で調整がずれていることは少ないようです。すでに決まった場所で波形がきちんと重なっていることが多いので,むやみやたらにいじくって調整を狂わせないことも大事です。

 step17から29はX10での調整です。ここは私の場合,調整がずれているかどうかをさっと見ただけですが,幸いないことに調整が必要な場所はありませんでした。終わったらCOUPLINGを押して終了です。

 そうそう,ここで行っているキャリブレーションの結果は,それぞれのメニューの最後まで進んで,COUPLINGボタンを押して終了することで書き込まれます。途中で抜けて場合には値は全く更新されないので,最初からやり直す必要があります。

 ふう,時間のかかる水平軸の調整が終わりました。何らかの波形を入れて時間を測定してみて下さい。結構きちんと調整出来ていることが分かると思います。


 さて,次は垂直軸です。CAL02です。これはとても簡単で,かなり自動化されています。楽しいですよ。

 30分以上のウォームアップを行ってCAL02のメニューに入ります。そうするとDCバランスを自動で取るシーケンスに入りますので,終わるまで待ちます。

 終わったら1kHzの正弦波を500mVppでCH1に入力します。出力インピーダンスは50オームではなく,Hi-Zにしておいて下さい。

 まず,CH2のポジションツマミで,1divの位置に輝線が来るようにします。そしてCH1のVARつまみで,画面の左右両端に一致するよう,輝線の長さを調整します。

 終わったらCOUPLINGを押します。あとは画面の指示に従って,振幅を調整して先に進んで下さい。step130まで進むと,次はGAINとCenteringの調整です。

 50mVを入れて,Vertical GAINの半固定抵抗を回します。ちょうど5divになるように調整したら,今度はVertical Ctrを回して,ちょうど真ん中に来るように調整します。管面上の0%と100%の線に重なるようにすればよいです。終わったらCOUPLINGを押します。すると,またしばらく自動調整が行われて,このまま終了します。

 これで垂直軸は完了です。私の場合,ちょっとズレがあるのですが,概ね良好な結果になりました。実用上はこれでなんら問題はないと思います。

 最後にトリガです。これはもっと簡単です。

 トリガはCAL03です。step215までは勝手に進みますので,このうちに1kHzの正弦波を500mVで用意しておきます。

 CH1に入れてCOUPLINGを押します。あとは画面の指示に従って,CH2,CH3と順番にケーブルを差し替えて進めていきます。何度か繰り返すと終了です。これでトリガも調整出来ました。

 ところで,LIMITと表示されて調整に失敗することがあります。これは入力信号が正しくないため調整範囲を超えたことを示しています。入力信号が正しいかどうかを確認してやり直して下さい。私の場合,ファンクションジェネレータの出力インピーダンスが50オームにわざわざしてあったのですが,そのせいで振幅が小さくなって,調整出来ないということが起きていました。基本的にはHi-Zにするのが正しいようです。

 最後に,リードアウトの表示の調整です。CAL07を選ぶと,画面の上に8が,画面の下にBWLがずらっと横一列に並びます。これが見やすい大きさと位置に来るよう,GAINとCenteringの半固定抵抗を回します。

 さて,ここまででとりあえず2465Aは普段の使い方では問題がないような状態になたと思います。本当ならVertical Transient Responseを確認しないと,オシロスコープとしての精度を保証出来ないのですが,そのためには高速で正確なパルス波形が必要で,これはさすがにちょっとやそっとで手に入りません。

 調整も半固定抵抗ではなく,トリマコンデンサだったりしますので,もう触らないようにしておいた方がよいでしょう。実は私は迂闊にも,触ってしまいました。これでもう,350MHzのオシロスコープとしての価値はゼロになってしまいました。

 ということで,オシロスコープの命である,水平(時間),垂直(電圧),トリガの3つを合わせました。これがずれてしまうと全く使い物にならないですから,ファンクションジェネレータくらいである程度の調整が出来るようになったことが驚きです。

 調整の結果,SSGの10MHzもばちっと10MHzで読み取れますし,カーソルも正確です。振幅はやや誤差がありますが,そもそもアナログオシロですから,そんなに正確なものでもないでしょう。

 CAL端子の波形を見てみましたが,非常に正確で綺麗な波形が観測出来ています。画面の揺れもなく,実に快適に使えます。いやー,気分がいいですね。

 しばらく触っていると,このオシロスコープを買った時のことを思い出しました。明るく綺麗な波形が大きな画面に出てくることも,ビデオ信号や高速クロックがどんどん拡大して見えることも,トリガがばちっとかかることも,カーソルを使って波形に定規でもあてて計るように値を読み取ることも,何もかも感動的な体験でした。

 それまで使っていた,松下製の5MHzの単現象オシロスコープに比べると,もう雲泥の差で,見えないものが見える感動,これまで見過ごしていた現象をつかまえる感動を,その時も味わった覚えがあります。懐かしいですね。

 さて,2465Aの修理と調整だけで「祭り」なんていうのは,片腹痛いです。これから何回かに分けて,怒濤の測定環境の変化を,書いていこうと思いますが,次回は2465Aに後日発覚したトラブルの話です。

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