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第2種電気工事士の資格

 第2種電気工事士の免状が昨日手もとに届きました。これで名実共に,家の中の電気配線をいじることができます。

 なぜこんな資格を取ったのかと言えば,いろいろ動機はあるのですが,根底にあるのは今私が持っている知識や技術で,十分取得可能な公的な資格があるんじゃないかと思った,ことにあります。

 この歳ですから,今からわざわざ受験勉強に全力投球するなどは,もう無理です。若いときと違って頭も硬くなっていることですし,今から新しい事を学ぶのはなかなか大変です。

 資格の取得というのは,そもそもそうした努力を必須とするものであるが故に値打ちがあるわけですが,幸いにして私が今あるものを使って資格が取れたら,あるいはちょっと勉強したり,知識の整理をしたりするだけで合格出来るなら,それはお得だなと思う訳です。

 とはいうものの,自分の力がどの資格に相当するのかは,試してみるまでわかりません。試験に落ちれば私の力はそれ以下ということになるのですから,言い換えると自分の力を推し量る客観的な指標として,資格試験が利用出来そうです。

 そんな気持ちで,何度か資格試験を受けていますが,今回は電気工事士をターゲットにしました。電気工事士は2つのクラスに別れていますが,上級資格である1種は実務経験がいるので私には無理,自動的に2種になります。

 2種でできることは,概ね一戸建ての家屋の電気配線です。よく,電気工事は資格がないと出来ませんよ,と言われますが,その資格が電気工事士です。

 工業高校卒業程度を想定した比較的簡単な資格試験で,その割には役に立ちそうな資格という事で,以前から狙っていたものでありましたが,最大の難関は実技試験があることです。

 工事士なんですから,知識だけじゃなく実務も出来ないとそりゃまずいわけです。しかもその実技試験は形式的なものではありません。課題そのものは簡単ですが,なにせ試験時間が短く,手際よく作業しないとまず間に合いません。失敗してやり直す時間もないので,慎重さも求められ,少なくとも工具類は手足のように使えないとまずいでしょう。

 ですが,これをむしろ楽しむというくらいの気持ちで,今回チャレンジすることにしました。

 申し込みは昨年の春先でした。試験は春と秋の2回行われ,それぞれ1次試験である筆記試験に合格すると,実技試験を受けることができます。私の場合,春には引っ越しをひかえていて,準備どころではないという状態でしたから,自動的に秋の試験を選びます。

 引っ越しと新しい生活に慣れること,娘の病気と怒濤の日々が過ぎ去る中で,夏休みを過ぎたあたりには,さすがの私も焦りが出てきました。一応見ておこうと買った問題集をパラパラとめくってみると,見たことのない図記号,聞いたこともない専門用語,理屈じゃなく暗記しないといけないことがたくさん目に付きます。

 やばいですね・・・なめてました。

 せっかく受験するんですから,受かりたいですよね。ちょっと頑張って見ようと思ったのがお盆もあけた9月の頭でした。

 まずは過去問題を,なにも勉強しないでいきなりやってみます。わからないところは勘でやらないで空欄にして0点にします。そうして採点をすると,大体半分くらいの正答率です。これでは全然合格しません。

 そこで,分からないところを重点的に勉強します。独特の言葉,記号や道具を覚えること,計算問題はちゃんと原理から導き出せるようにします。

 その結果,正答率が8割を超えるようになったのが9月末くらい。一番大変だったのは図面の問題で,図面からどんな工事が必要なのか,どんな部品を使うのかを聞かれるのですが,これは全く初めての分野ですので,ゼロからの勉強になりました。

 試験の直前には9割くらいの正答率になり,これならまあ大丈夫だろうというレベルにきました。試験会場は行ったこともないへんぴなところにあったので,ここにたどり着けるかどうかが,方向音痴な私にとって実は最大の難問であったと言えました。

 結果は無事に合格。自己採点で結果が出る前に合格していることがわかっていたので,とっとと実技用の工具セットと,練習用の材料セットを手配します。

 こういうのは,早めに用意しておかないと売り切れたり,高いものしか残っていなかったりするので,早めに動く事が肝心です。工具類については,早めに買って使っておくと,それだけ慣れる時間が確保出来ますし。

 しかし,これも私はなめていました。

 まず,単線図と呼ばれる試験問題の図面から,実際の配線図である複線図に書き換える作業がとにかくつかめず,あえいでいました。なんか独特の世界なんですが,それも別に文化と言うほどのものではなく,ちゃんと法律で決まっていることだから,仕方がないのですが・・・

 それもなんとかねじ伏せて,実際に作業をやってみますが,今度は全然時間が足りません。何か忘れたことに気が付いたら,そこでもうアウトです。

 とにかく複線図への書き換えを2分ほどで「確実」に行い,あとはゆとりを持って手が覚えるまで工具を使い,ひたすら作業です。

 幸い,実技試験はあらかじめ公表されている13問からしか出題されません。私は丸暗記は苦手なのですが,13問ですから出題範囲は自ずと限られます。13問の問題を3回ほどまわして,やがて30分程度ですべての作業をきちんと終えられるようになりました。

 とはいうものの,筆記試験と違って,ミスは1つでもあると不合格,軽微なミスでも3つまでしか許されていません。言い換えると完璧を求められる世界です。これはなかなか緊張しますね。

 その上実技試験が怖いのは,当日のちょっとしたアクシデントです。慣れているはずの作業をうっかりミスしてやり直しが発生し時間がなくなり焦って全滅とか,工具を忘れた,工具を壊した,指をけがした,などなど,リカバリが難しいことも考えられます。

 そういう場合はもうジタバタしないで,さくっとあきらめることも肝要でしょう。それくらいの緩い気持ちで臨まないと,しんどいですし。

 実技試験はお台場でしたが,私はこのお台場というところがどうも苦手で,人は多いし広くてわかりにくくて,距離感も方向もつかめません。方向音痴の私にとっては,もう目が見えないのと同じくらいの厳しさです。

 ここは大人の対応をしようと,駄目と思った瞬間にタクシーを使いました。これで余裕です。

 果たして実技試験は,周辺の人達に比べても早く完成し,そのクオリティも万全と言えるものでした。複線図の書き間違いや勘違いなどがなければ,まず合格するでしょう。

 こればかりは自己採点できませんので,合格発表を待ちますが,結果は合格。手応えがそれなりにありましたので,ほっとしたというのが感想でした。

 そして,免状の申請を2月の中旬に行いました。新宿の都庁に出向いて手続きです。綺麗で小柄な若い女性が同じように免状の申請に来ていて,電気工事士をこんな女の人が取るんだなあと,生暖かい目で見ていると,彼女が申請していたのは第1種でした。うむむ,実務経験もあるのか・・・すごいな。

 ようやくにして免状が届いたのが,昨日です。これで私の長い闘いは終わりました。

 受けようと思ってから1年,家族の理解を得て準備を始めて半年,時間も手間もお金もかかった資格でした。難易度云々より,これは長期戦に耐えられるかどうかが試されているなと思いました。

 免状を手にしたら,もう私は電気工事士です。大きな顔をして自宅の電気工事が出来ます。

 例えば,スイッチが壊れたから交換しよう,トイレの照明が気に入らないから買い換えよう,キッチンの照明をLEDに変えよう,LEDダウンライトの寿命が来たから交換しよう,などが全部自分で出来るようになります。最近は部材も通販で安く早く簡単に調達できますし。

 ただし,資格があることと,上手に工事が出来ることとは別の話です。資格があっても壁に穴を開けるのに失敗すれば,素人工事なってしまいます。

 なにせ,うちは電気で動くモノがたくさんある家です。コンセントが慢性的に不足していますし,その場所も必ずしも最適化されていません。不細工で危険なタコ足配線が,すでにあちこちに散見されます。

 これをスッキリさせる作戦を今考えていますが,まず簡単にできることは,2口のコンセントを3口のものに交換することです。これで1つ増えます。作業は数分です。

 それでも駄目な場合は増設ですが,これも例えば1連のものを2連にすれば,壁の穴を広げるだけで大丈夫です。一番大変なのは新しい場所に新設することです。

 なにせ新しい場所に穴を開けますので,あけたところで柱があったとか,電線を引っ張りこめないとか,そういうことがあるとどうにもならなくなります。

 穴を開けることそのものに失敗するかもしれません。大きすぎた,斜めになったなど,鈍くさい私にはあり得る事故です。

 こういう大がかりなものは,ちょっとやめておこうとおもいます。まずは3口コンセントに交換することから始めてみようと思います。

 そうそう,いわゆる就職に役立つかどうか,です。一応公的な資格ですし,資格がないと出来ない作業があるもので,かつ電気は我々の生活になくてはならないものですから,資格がないよりはあった方が,仕事をするのに有利だとは思います。

 とはいうものの,試験に実技試験があることが示すように,資格の有無以上に工事のうまさが最重要なわけで,そのスキルは経験で得られるものですから,有資格者でも経験豊富な人でないと意味がないのが現状でしょう。

 まして,高卒で取得するのが一般的な資格なだけに,歳を取ればその分経験も豊富につめるわけですから,40歳を過ぎて未経験では,余程の事がない限り有利になんかならないでしょう。

 ということで,例えば爆発的な人口増加で急激な住宅建設ラッシュがやってきて,とにかく有資格者をかき集めないといけないとか,それこそ徴兵制でも始まって(そもそも40歳過ぎの人間を徴兵する時点でもう負け確定なわけですが),資格があると工兵部隊を希望出来るとか,そういう事でもない限り,ありがたみ(?)はないんじゃないかと割り切っています。要するに,自分の出来る事を広げるだけのもの,ということですね。

 さて,次は何を取ろうかなあ。
 

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