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VP-7722Aの再修理

  • 2015/12/28 21:54
  • カテゴリー:make:

 1ヶ月ほどから,産業廃棄物から不死鳥の如く復活を遂げた我が家のオーディオアナライザVP-7722Aの調子が悪く,どうしたものかと思っていました。

 VP-7722Aは完全独立2ch構成が特徴で,レベルはもちろん歪率もS/Nも左右同時に測定可能,しかも2ch独立を生かしてチャネルセパレーションも祖規定できてしまうと言う便利なオーディオアナライザです。基本性能はもちろん高く,歪率で言えば-120dBを測定可能ですし,測定可能な周波数範囲は40kHz程度まで伸びています。

 完全なハイレゾ環境の測定は無理ですし,近年では常識となったデジタルアンプの測定に必要なフィルタが装備されていないなどで,最前線の設計現場にはちょっと厳しいものがありますが,アマチュアにはもったいないくらい素晴らしい測定器です。

 で,そのVP-7722Aですが,ch2の入力がうまく動いていません。歪率を測定しようにも,3Vrms付近を入れるとカチカチとリレーが繰り返し動く音がして,測定結果がちらちらと動き,まともな結果が出ません。他の電圧であれば測定出来ることから考えると,どうも特定のレンジだけが測定出来ない状態になっているようです。

 歪率に限らず,レベルも測定不能ですし,2ch同時でなくてもch2だけを測定してもだめです。ch1は生きているので,また産業廃棄物になってしまうわけではないのですが,一度同時測定の便利さを知ってしまうと,もう元には戻れませんし,やっぱりきちんとメンテをして使いたいものです。

 ですが,なにせ相手は複雑で知られたオーディオアナライザです。前回の修理も奇跡的に修理出来たと表いるのに,今回は全然動かないわけではないので,故障箇所の特定にもそれなりの苦労をしそうな感じがします。

 とりあえずやってみるさと,ラックから取り出して分解を始めます。

 まず,どの基板の故障かを特定するために,ch1とch2のフロントエンド基板を入れ替えて見ます。結果,問題はch2の基板について回ることがわかったので,原因はこの基板にあるようです。

 また,他のレンジが動いていることを考えると,入力のアナログ回路は問題はないと思われます。リレーの音がカチカチすること,特定のレンジで値が出てこないことを考えると,レンジ切り替えのリレーに関係する故障であると目処が立ちます。

 とはいえ,リレーの駆動回路,駆動回路を動かすマイコン,リレーの出力の回路周辺など,リレーは広範囲の回路と繋がる部品なので,難しいことがわかっただけと言う気もします。

 しかし,相変わらず人の手を拒むような規模の大きなシステムです。途方に暮れて手の出しようがないと思っていても仕方がないので,とにかく基板を目視で確認して,問題がありそうな場所を見ていきますが,あいにく目視では異常なし。

 こういうのは案外,リレーが壊れていたりすんだよなーと思いつつ,ダメモトでいくつかあるリレーのコイルをテスターであたっていきます。大体120Ωくらいの抵抗値ですが,3つ目のリレーのコイルが10kΩ以上の値を示しています。

 こりゃおかしいですね。コイルが断線している可能性が大です。無限大にならずとも,ドライブ回路の抵抗値が見えてくるのでこのくらいの値になるのも無理はありませんし,これはリレーを基板から外して確認するしかありません。

 基板から外して確認すると,コイルの抵抗値が無限大です。ビンゴ,こいつが不良でした。ここまで,検討を始めてわずか10分。なんと簡単に問題が見つかったことか。しかし油断は出来ません。これで治るかどうかは,新しい部品に交換して動作するかどうかを見なければわかりません。

 交換しようにも,在庫がなければ買ってこないといけませんから,どんなリレーかよく調べてみます。壊れたリレーを見ると,黄色い小型のリレーで,松下電工の「DS2E-S DC5V」とあります。とりあえず5Vで動作する2回路のリレーのようです。

 ラッチングリレーやリードリレーならもうお手上げだったのですが,そういう感じでもなさそうです。手持ちを見てみると,こんなこともあろうかと秋月で買っておいた941H-2C-5Dというものが,どうも大きさからピン配置から機能や規格から,ぴったりのような感じです。1個100円なんだけど,大丈夫かなあ。

 コイルの抵抗値は140Ωとちょっと高めですが,問題ないでしょう。信号の切り替えに使うものですので,接点の容量の問題はないでしょうし,とりあえず交換してみましょう。

 結果ですが,修理出来ました。あっけないくらい簡単に直ってしまいました。

 後で調べてわかったのですが,この松下電工のリレーは有極性でかつ高感度タイプでした。交換した秋月のリレーは有極性ではないのですが,高感度タイプでした。これで問題なく動いてくれているのだと思います。もし,同じ物が簡単に買えるならいずれ交換しようとも思ったのですが,高感度タイプではないものばかりがひっかかり,同じ物は売っていないようです。

 秋葉原のお店をつぶさに見ていけばあると思いますが,まあそこまでしなくてもいいかなと。

 ここまでわずか15分。いやー,我ながら大したものだと自画自賛できるスピードです。

 しかし,私のことですから,これで終わるはずがありません。

 ついでに,動作不良になりつつあるパネルのスイッチを交換しようと考えました。チャタリングが強烈に発生して,スイッチが何度も押されたような状態になるのです。

 以前分解して部品取りにしたFMステレオエンコーダVP-7635Aから取り出したスイッチに交換するのですが,VP-7722Aの操作パネルの取り外しが結構大変でした。無理に引っ張ってしまって,フレキが切れる寸前です。

 なんとかスイッチを交換し,元通り組み直しますが,フレキの差し込みが悪いらしく,うまく動いてくれません。全然動作しなかったり,どのスイッチも連打されたりと散々ですが,どうにかやっつけました。この作業で2時間・・・なにをやってんだか。

 しかし,この結果,さらに確実な操作と動作が期待出来るようになりました。実は以前からch2のレンジ切り替えがうまくいかないときがあり,そういうときは一度入力を切断し,再度入れ直すと測定出来たりしたので,騙し騙し使ってのですが,今回の修理でこの問題も解消したところを見ると,以前からリレーの調子が悪かったんだろうと思います。

 こういう測定器を持っていることで,自作の幅は広がりますが,別の楽しみとして測定器を自分でメンテするというのもあります。なにせ相手は技術的な頂点に位置する測定器です。これを完全とはいえなくても,その人が必要とする精度や性能にまで追い込んで使うというのは,難しいしうまくいかない場合もありますが,単なる電子工作とは別次元の楽しみがあります。

 冷静に考えると,こういう産業機器とか測定器というのは,簡単に買い換えないで修理することが当たり前ですから,修理や保守はしやすいように出来ています。そのことを念頭に置いて,落ち着いてパズルを解いていくのは,実に面白い作業だと思います。

 またしばらく,このVP-7722Aには働いてもらえそうです。

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