エントリー

トラブル→対策→トラブル→対策

 アイワのDAT,XD-S260のオーバーホールが終わって,さて次はどうしようかと考えたところ,やはりDATで続けるのがよろしかろうと,ソニーのDTC-59ESJのメンテをすることにしました。

 DTC-59ESJは1995年に出た中級機で,DTC-59ESにSBMを追加し,44.1kHzの録音を可能にしたマイナーチェンジ機です。個人的には44.1kHzでの録音が出来るようになった事はいろいろな意味で画期的な事だと思っていたので,DTC-60ESと名乗っても良かったんじゃないかと思います。(というか海外ではそんな名前で呼ばれていたらしい)

 SBMは20ビットでAD変換されたデータを16bitに丸め込む際に,均等に4ビット分を捨ててしまうのではなく,耳につきやすい周波数のデータは出来るだけ残し,そうでない部分は4ビット以上に捨ててしまうという,マッピングを行うものです。

 正直に言うと,私ももうちゃんとしたことは忘れてしまいました。とにかく,DATは16ビットの器しかないので,20ビットのデータをどうにか16ビットにしないといけないのですが,これをノイズシェーピングを使い,可聴帯のノイズを高域に追いやって,低域で20ビット相当のS/Nを確保するというものです。

 勘違いしてはいけないことは,器が16ビットなのですから,20ビットのデータが入るはずがなく,情報量としてはSBMの有無に関係なく同じです。ただ,その情報の詰め込み方に,人間の耳の特性を加味して偏りを作るというものです。

 ということで,SBMが有効なのはアナログ入力の時だけということ,SBMで録音したものは普通に再生すればよくて,再生機を選びません。

 そう考えると,このDTC-59ESJというのは,ADコンバータとして使っても価値があり,DATが死んでも使い道があるということになります。私はその事を理由にして,これまでこの機械を温存してきました。正直,ソニーのDATはメカがいまいちですから,長く使おうとは思っていませんでした。

 とはいえ,今や貴重なDATです。動くものならきちんとメンテしておきたいですし,XD-S260で再生出来ないテープが出てきていることを考えると,いい状態をキープできると安心です。

 DTC-59ESJには,確実にアウトとなっている持病が2つあります。1つはRFアンプのコンデンサの液漏れです。もう1つは,ヘッドのクリーナーの劣化による,ヘッド劣化です。

 前者は,メカデッキの背面に置かれたRFアンプ基板にある電解コンデンサが高確率で液漏れしてしまうというものです。原因はいろいろあるのですが,この時期の電解コンデンサは液漏れしやすいものがあること,当時はまだ立ち上がり時期だった面実装品だったことで,もともと液漏れしやすいものだったところに,小型の電界コンデンサがまだなかった時代ゆえ,耐圧の低いギリギリのものを選んで小型化してあったことが重なったということだと思います。

 後者はバカバカしいのですが,ヘッドを自動的にクリーニングする機構があり,スポンジが回転しているドラムに接触することでヘッドが綺麗な状態を維持できるようになっています。


 先日,DTC-59ESJとXD-S260の2台体制になり,DR-100mk2にダビングを少しずつ行っているのですが,細かい問題の発生で作業が中断することが出てきました。

(1)デジタル入力でUnlock

 DR-100mk2には,リモコン接続端子と排他でデジタル入力が可能です。ただ,DR-100からDR-100mk2になる時に追加された機能だと言うこともあり,ちょっと違和感のある仕様になっていたりするので,苦心して実装したんだなあと感じることがあります。

 リモコン端子と共用なので,同時に使用できません。これはまあ当たり前の事としても,切り替えがメニューから手動で行うことになっていて,その上パネル上のスライドスイッチによる入力ソースの切り替えが無効になります。

 つまり,デジタル入力のスイッチは最上位に位置しているんですね。デジタル入力のケーブルを外したら自動的にアナログ入力になるくらいの仕様でもいいと思うのですが,そうはなりません。

 録音のサンプリング周波数に32kHzが存在しないのに,デジタル入力で32kHzを入れるとロックしてちゃんと音が出たりする謎の動きをしたりしますし,ちゃんとロックしない限り録音状態になりません。フリーランで録音が行われないという事は,クロックは外部同期だということになりますね。

 で,以前から言われていたことに,このデジタル入力はロックが外れやすいというものがありました。長時間の録音時にデジタル入力を使うとロックが外れて,録音が止まってしまうので使わないとか,そういう残念な書き込みがいくつか見つかります。

 私の場合,ずっとこうした問題が出てなかったので気にしてなかったのですが,先日とうとう出てしまったんです。しかも頻度は結構高くて,短い場合は数分で出ます。

 ライブ番組を30分録音してロックが外れて,録音が途切れてしまうとやり直しです。時間の無駄ですし,テープの劣化を考えると次に正常に再生出来る保証はありません。

 この問題,原因がわかりませんし,対策もソフトが絡みそうなので,トラブルの少ない機器の組み合わせを探すしかないなと思っていたのですが,少し前まで全くトラブルが出なかったのはなんでかと,冷静に考えてみました。

 なにが変わったか・・・そうだ,起動時の録音モードが違っていました。

 DR-100m2は,96kHzの録音が可能なのですが,これもいろいろ制約があった中での実装だったようで,電源OFFからENTERボタンを押しながら電源を入れると,96kHzで録音できるモードを選択するメニューが出てきます。

 設定の変更は電源を切ってから再度設定を行う必要がありますし,96kHzのモードではMP3で録音が出来ないという面倒な制約があります。なんか,MP3のエンコーダを削ってメモリを確保し96kHz機能を入れたんじゃないかという感じが漂ってきますね。

 96Hz録音が可能な新規モードをHSモードと呼んでいるのですが,私はずっとこれで使っており,デジタル入力でトラブルがなかったのです。しかし,先日MP3での録音を行う必要があり,モードを切り替えたのですが,そのまま戻すこともせずに,ずっと使っていました。

 そうすると,デジタル入力でUnlockになり,録音が止まることが頻発しました。

 確かめましょう。何度もUnlockになる状態からHSモードにし,デジタル入力を行います。すると,1時間以上Unlockになりません。やっぱりこれで改善されるようです。

 HSモードは,デジタル入力と同時に実装されたものです。ですから,HSモード用のファームは,デジタル入力についても綺麗に実装出来ているんじゃないでしょうか。

 ということで,私は標準的にHSモードを使う事にしました。

 ん?まてよ,デジタル入力でMP3録音をすると,どうなるんだろう?


(2)光入力端子がない

 DR-100mk2は,その前のモデルであるDR-100でハードウェアの大きな変更なしで,大幅な機能アップをしたものです。デジタル入力の端子がリモコン端子と排他になるというのもそうなのですが,そうした事情から,当然光入力には対応しません。

 まあ,今さら光入力ってのもないなと思うのですが,XD-S260には同軸出力がありませんので,光出力を同軸に変換するコンバータが必要になります。

 案外売っていませんし,作るのも(真面目に作ろうとすれば)ちょっと面倒くさいので不便なわけですが,私の場合昔作ったサンプルレートコンバータに突っ込んでいます。

 レート変換を行わずにスルーする設定で,単なる光-同軸コンバータとして動かしているのですが,大げさですしケーブルが絡まって煩わしい。そこで,XD-S260に同軸出力を付けることにしました。

 同軸出力は,75Ωで終端して0.5Vp-pになるというのが規格です。これだけ聞けばなんてことはないのですが,危機感を絶縁するために,パルストランスを用いるのが正しい方法です。

 絶縁する理由はノイズやら不要輻射やらいろいろあるんでしょうが,別に絶縁しなくても動くことは動きます。実際に,トランスで絶縁しない回路を使っている機器も存在します。

 私も,このトランスというのがなかなか面倒くさいので,エミッタフォロワ一発の回路をよく使っています。トランジスタのベースに3kΩ,750Ωでバイアスし,トランジスタのエミッタとGND間に470Ωをいれて,動作点を決めます。

 エミッタから直流カットの10uFと1000PFを通し,75Ωの抵抗を挟んで出力です。これでTTL入力,出力インピーダンス75Ω,75Ω負荷時に0.5Vp-pのドライバが完成です。

 とまあ書けば簡単ですが,実は老眼でカラーコードを読み違えてしまい,470Ωと750Ωを入れ替えて作ってしまい,完成後のチェックで正しい動作をしませんでした。恥ずかしいミスですね。

 リアパネルに穴を開けて,RCA端子がのった基板を取り付けます。そして本体の基板から5VとGND,そして信号を取り出して配線します。

 事故はここでおこりました。

 ハンダゴテを,まだ配線を全く始めていない同軸出力基板の電源に当てた瞬間に,バチンと家中が真っ暗になってしまったのです。

 家中の停電は,おそらくこの家では初めてです。4歳の娘も停電は初めてで,怖がっていました。階段を降りているときとか,走り回っているときでなくて,つくづく良かったです・・・

 私のハンダゴテは,コテ先がアースされていますから,ここを通じて漏電がおこり,漏電ブレーカがおちたということなんですが,なんで同軸出力基板の5V入力端子に触って,漏電が起きたのかということです。

 XD-S260も電源トランスで1次側と2次側は絶縁されています。回路を見るとノイズフィルタは入っていますが,ホット側,あるいはコールド側とアース間にコンデンサなどは見当たりません。

 考えられるのは,トランスの絶縁が落ちていること。でも,それだと通常使用時でも漏電が起きてしまいますよね。

 次に考えられるのは,同軸入力基板の電源間に入れた47uFからの放電。基板のGNDが筐体に接触している状態で,5Vにアースに落ちたハンダゴテをあてたことで放電,ホットとコールドに流れる電流に差が出て,漏電ブレーカが落ちたという話です。

 でも,これだって,2次側がアースに落ちていないとだめです。XD-S260にはなにも繋いでいない状態ですから,そこから回ってくると言う可能性もありません。

 結局,よく分からないということになってしまったのですが,再現事件をするとまたブレーカが落ちますのでまずいです。これは,漏電ブレーカ内蔵のテーブルタップを使えば問題なく実験が出来ますので,手に入ったら検討したいと思います。

 ん?ブレーカーを元に戻して作業を続行し,最終的には配線も終わって同軸出力で録音が出来る事を確認したんだよなあ?なんでもう一度漏電ブレーカーが落ちなかったんだろう?


(3)XD-S260の問題

 XD-S260は安かった割には,よく頑張ってくれています。あちこちガタが来ていますが,先日書いたようにDTC-59ESJとはトラッキングが異なるので,死なれてしまうとまずいのです。

 まず,カセットが入っていることを示す表示が,突然消えてしまったり,チラチラと明滅します。結論から言えば,表示だけの問題であり,これが発生しても再生中はなにも問題がないのですが,気になるので対策です。

 カセットが入っていることを検出するスイッチの接触に問題があると考えたのですが,その理由は端子の劣化と,位置ずれです。位置ずれというより高さが低くなってしまい,カセットで下げきれないんじゃないかという話です。

 そこで,少しカセットの検出穴にテープを貼って,より深くスイッチが下がるようにしたのですが効果無し。端子の不良だろうと,接点復活効果があるオイルをほんの少し,スイッチの隙間に流し込みました。

 結果は上々。確実にカセットの検出が出来るようになりました。

 もう1つは,突然CAUTIONで再生が止まってしまうことです。気が付いたら止まるので,止まるまでの状態の変化をつかまえられません。

 これは15分に一度くらいの頻度で起きるので,大変な時間のロスにつながります。時間を無駄に出来ないので早速検討です。

 まず,止まった状態で中を覗くと,テイクアップ側のテープがはみ出ていて,巻き取り不良が起きています。それでもちょっとはみ出ているだけなので,テープに被害は出ていません。このあたりはさすがです。

 なら,テイクアップ側のリールのトルクが弱っているからだろうとふんで,メカの隙間からギアを触ってみると,確かに動きが渋いです。そこで模型用のオイルを少しだけ注油し,スムーズに動くようにしました。

 結果はこちらも上々。もうCAUTIONで止まることはなくなりました。


 ということで,録音しては対策し,対策しては試しての繰り返しですが,うまく動くようになっていく実感があります。なんか目的がすり替わってしまいそうで,怖いです。

ページ移動

ユーティリティ

2020年05月

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed