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AG1022をGPSDOで動かしたい

  • 2016/08/17 12:57
  • カテゴリー:make:

20160819140050.JPG

 

 さて,先日作ったGPSDOで,高精度な10MHzが手に入りました,11桁の周波数カウンタHP53131Aも,この10MHzを基準にすればその実力を発揮できます。

 こうなると,他にもこの10MHzを入れて,測定環境全体を高精度化したいと思う物です。

 特に,周波数を測定する機械の精度を上げたなら,周波数を作る機械の精度も上げたいと思う物で,私が珍しく新品で買った測定器,OWONのAG1022というファンクションジェネレータを,この10MHzで動かせないか考えてみました。

 幸いなことに,AG1022は廉価版のファンクションジェネレータにもかかわらず,外部クロック入力端子が用意されています。しかし残念な事にここに入れられる周波数は20MHzのみ。10MHzでは動いてくれません。

 そこで,10MHzを20MHzに逓倍する回路をSi5351Aを使って作り,これをGPSDOに内蔵して,20MHz出力を装備することにしました。

 すでに私は,SI5351AをATtiny13Aと併用することで,好きな周波数を自由に作る事が出来るようになっていますから,なにも難しい事はありません。

 さっさと回路を組んで,ATtiny13Aにプログラムを書き込んで,テスト開始です。ところが,どういうわけだか電源がショートしています。

 あれ,おかしいな・・・

 調べて見ると,Si5351Aがショートしていました。悲しい事ですが,SI5351Aを壊してしまったようです。出力バッファの電源ラインがショートしていましたので,出力端子をGNDに落としたとか,そういうことかも知れません。

 気を取り直して,新しいSi5351Aに交換し,電源がショートしていないことを確認してから電源を入れます。

 あれ,またショートしました。

 一度ショートしてしまうと,その後もずっとショートの状態が続いてしまいます。永久破壊にいたってしまうようです。

 私も長年電子工作をやってますが,これほど簡単に永久破壊が続けて起きてしまったことは,あまり記憶にありません。

 早速原因の調査をしますが,どこも悪いところが見当たりません。簡単な回路ですし,すべての信号をあたってみても,間違いはないのです。

 なにも手を打つことが出来ず,若干の配線の整理をしたにとどまった基板のSi5351Aを再度交換し,おそるおそる電圧を上げていきます。今度はショートしません。
1.8Vを越えたあたりから,20MHzが出力出てくるようになりました。

 その後は全く問題なし。なぜだかよくわかりません。もう現象が出なくなってしまったので,原因の追及も出来なくなってしまいました。

 気持ち悪いのですが,このまま作業を続行です。

 作った20MHzは,周波数カウンタでみても非常に正確で,揺らぎも見られません。かなり良い質の周波数です。

 これなら大丈夫だろうと,AG1022に突っ込んで外部クロックに切り替えてみます。

 うまくいったように見えたのですが,なぜだかちらちらと周波数が大きく変動するときがあります。最初はDDSによるジッタかと思いましたが,内蔵クロックではこういったおおきな変動は見られません。

 波形を見れば,時々波形が大きく崩れています。周波数カウンタで最大と最小の値を見てみれば,もはや誤差とは言えない大きさの変動がつかまっています。これはダメです。

 しかも,AG1022の電源投入時には必ず外部クロックをつかまえ損ねて,内蔵クロックに切り替わってしまいます。些細なことですが面倒です。

 これでは使い物になりません。なんとか次の一手を考えないと。

 実はこのAG1022,少しまえに内部を見たときに,とんでもない状況である事に腰を抜かしました。

 電源トランスがいい加減にネジ止めされていて,トランスのフレームが変形し,グラグラと動いてしまうほどネジが緩んでいました。そのせいで基板は傷つき,よくこれで動いているなあと思ったほどのひどさでした。

 結局,トランスのフレームを元に戻し,筐体に別に穴を開けてしっかり固定して今も使っているのですが,その際にDDSの心臓部に基準クロックを供給していると思われる,水晶発振器を見つけてありました。表示から周波数はおそらく20MHzです。

 なら話は早いです。

 まずこの水晶発振子の波形を見ます。4ピンですので,電源とGNDが繋がっていれば発振子ではなく発振器です。

 そして出力の波形を見れば,周波数がわかります。さらに波形が矩形波なら,Si5351で作った20MHzをそのまま入れることが可能です。

 結果,これは発振器で3.3Vが供給され,出力は3Vの矩形波であることがわかりました。

 出力から繋がるチップ抵抗(22Ω)をはずし,ここにSi5351Aで作った20MHzを入れてみると,めでたくAG1022は綺麗に動作し,mHzオーダーで周波数を設定可能になりました。もちろんおかしな周波数変動もありません。

20160819140051.JPG


 リファレンスをカウンタとファンクションジェネレータで共通にしたのですから,周波数はもちろん,揺らぎも同期するはずですので,理屈の上ではピタッと正確な値が測定されるはずです。

 ですが,DDSで作った波形ですので,周波数によってはずれてしまったり,波形が乱れてしまったりすることもあるでしょう。しかし,試したところそういう問題は見つからず,基本的な動作としてAG1022はなかなかちゃんと作られているような印象です。

 ただ,AG1022の電源OFFの時に10MHzが供給される続けるのですから,AG1022を壊してしまうかも知れません。そこで,AG1022とSi5351Aの間にバッファを1ついれて,保護することしました。

 そうして完成したSi5351Aの基板を取り付け,配線をします。幸いなことに,BNCコネクタは,上位機種ように用意された穴をそのまま使って,増設しました。これまでの20MHz入力と20MHz出力は温存します。

 

20160819140053.JPG


 さて,改造を終えて動作させてみると,面白いほど安定しています。

 

 冒頭の写真はその様子で,AG1022を1.234567890MHzと設定し,周波数カウンタでその周波数を測定した結果が1.234567890MHzとなっているのがおわかりでしょう。

 

 値はフラフラと変動することもなく,びしっと値がこの細かさで出るのです。ただ周波数カウンタに好きな数字を表示させることが出来るだけの話ではありますが,実はこれはなかなか大変なことです。


 いい話ばかりではなく,この改造の結果10MHzを外から入れないと全く動かなくなってしまいました。内蔵クロックとの切り替え機構を付けようかと思いましたが,そもそも面倒ですし,遅延による影響がどれくらいあるかが不明なので,切り替え機構はやめました。

 持ち出すときには不便ですが,他の場所で使うことはないでしょうし,どうしてもと言うならTCXOで10MHzを作って供給する治具を用意します。

 というわけで,周波数カウンタとファンクションジェネレータが,高精度で同期して動くようになりました。作る側と測る側,どちらも正確な基準で動作することの気持ちよさたるや。

 残念ながら,これ以上外部クロックで動作する測定器を持っていないので,ここ止まりになってしまいますが,正確なだけの10MHzが,任意の周波数,任意の振幅,任意の波形に変形できる出来るのですから,大したものです。

 これで,うちの時間軸は,一元化されました。いやー,男のロマンです。

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