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アニサキス,みーつけた!

 9月になりました。気が付くと日が暮れるのが日々早くなっています。秋になると,サンマや鮭が美味しくなります。

 先日,近所のスーパーで天然物の秋鮭が新物として出ていたので,切り身を買ってきました。鮭はみんな好物なので養殖物や解凍した物はよく買うのですが,天然物は手頃な値段で出てこない場合も多く,あまり口にしません。

 見ると,いつものサーモンピンクも透き通るような深みのある色です。柔らかく,でも張りがある切り身を見ていると,さぞ美味しく食べられるだろうなとワクワクしてきます。

 本当は新鮮な内に食べてしまうべきなのですが,1週間分のまとめ買いですのでそうもいきません。買った日にチルドに入れて,数日後に解凍して食べる事にした私は,娘の好物であるチーズ焼きをしようと,ぱっぱと塩を振り,コショウを振りかけて,お皿に並べておきました。表面がぬめり,糸を引くくらいになったら焼き頃です。

 付け合わせ(もやしのお浸しですがこれが後々ややこしいことになります)や味噌汁の準備を済ませて,いざ焼こうとお皿に目をやると,糸くずのようなものがお皿に載っています。おっと,これを一緒に焼いたらいかんなと思いつつ,取り出そうと箸を伸ばすと,その糸くずの形が微妙に変わっています。

 ん?

 よーくみていると,ゆっくりですが,動いています。

 おーーーーーーー寄生虫だ!

 しかももう1つ増えていて,2つになっています。クネクネしたり,丸まったり,動いています。うわーーーーーーぁぁ

 私は肉でも魚でも野菜でも,基本的には生では食べません。いくら頑張っても生では衛生上心配ですし,それに生より熱を通した方が美味しいからです。ですので,あまり寄生虫や食中毒を意識したことはなかったのですが,さすがに目の前でクネクネやられると,この状況がよくあることなのか,特別な事態なのかが,心配になります。

 早速調べて見ると,この寄生虫は「アニサキス」というもので,生の鮭や鯖に寄生する代表的な寄生虫だそうです。長さ2cmくらい,太さ0.8mmくらいで,乳白色に近いです。(あー,かゆくなってきた・・・)

 私がキッチンで「うわー」「げー」などと声を上げていると,4歳の娘が「どうしたの」と聞いてくれます。私が「えらいもんみつけてしもた」と,寄生虫がお皿の上でクネクネしていることを話すと,あろうことか「見たい」と言い,キッチンの対面にある椅子に登ってこようとします。

 「いや,見ん方がええよ,気持ち悪いし」というのですが,平気,見たい,といってききません。

 まあ,そういうことならえよ,見てみなさいよ,と指をさしてアニサキスを教えてやると,目をキラキラさせて見ています。「ほらクネクネ動いてる」といえば,ほんとだーと喜んで見ています。

 気持ち悪くないか,と尋ねれば,大丈夫,怖くない,というのですが,こういうのは大人の方が苦手なもので,私も子供の強い好奇心に感嘆するほかありません。
 
 とはいえ面白がっている様子はなかったので,特に興味深い物ではなかったようですが,彼女はどちらかというと,大騒ぎしている私に興味があったようです。

 さて,どうしたものか。

 まず,この鮭は食べられないのか。アニサキスがついている鮭は,捨てないといかんのか。

 いいえ,天然物の鮭にアニサキスは付きものです。いちいち驚いていたらきりがありません。

 では,どうやって食べるのか。

 気持ち悪いから出来るだけ取りますが,肉の中や隙間に入り込んでいるかも知れません。全部を取りきるのは無理なので,基本的には加熱です。70度以上に加熱すると死滅し,ただの虫焼き(げー)になります。

 もし,生きている状態で食べたらどうなるのか。

 胃や腸の壁に潜り込んで,この時に激しい痛みが襲います。内視鏡を入れて1匹1匹つまみ出すのが根本治療だそうですが,胃は別にしても腸の場合そうもいきません。どうにもならない場合には開腹手術で取り出す場合もあるそうですが,一方で痛みに4日耐えれば出て行くそうです。私なら4日耐えますね,なんとしても。

 食品衛生上の問題はどうなのか。

 2012年に厚生労働省は,アニサキスによるアニサキス症を食中毒の1つとして認定したため,例えば寿司屋さんとかお刺身を出す飲食店でアニサキスが出てきたら,さすがに保健所も黙ってないと思います。

 ですが,スーパーの切り身ですし,加熱用として売られているもので,天然物の鮭にアニサキスがいるのはもはや常識ですので,これで保健所が動く事はないそうです。

 とはいえ,アニサキスが生きたままどこかに紛れてしまい,生で食べるキャベツの千切りに混じってしまうと大事になりますから,一応スーパーでもパックする前には出来るだけ除去するようにしているそうですし,見つかったことを店に言えばきっと交換してもらえるんじゃないかという意見が出ていました。

 しょーもない店なら文句も言ったかも知れませんが,よく使っているスーパーですし,鮮魚コーナーは個人的にはよく頑張っていると思うので,あまりいじめないでおきます。


 さてさて,気持ち悪いという理由で,この美味しそうな鮭を食べないというのはあまりに惜しいです。幸い娘は気にしていない様子ですし,嫁さんには黙っておけばいいでしょう。食べた後に「実は・・・」と話してその反応を見るのもまた一興ですし。

 方針は決まりました。まずアニサキスを肉眼でくまなく探し,見つけ次第熱湯で殺す。鮭の切り身はいつもよりしっかり火を通す。トレイやラップ,切り身をおいたお皿をそこらへんに放置せず徹底管理,触った手は即座に洗う,ということにします。

 すでに私はこの段階でかなり精神的に疲れていたのですが,意を決してアニサキスを探します。するともう1つ見つかり,全部で3つになりました。これを箸でつまみ,トレイに入れておきます。そして沸騰したお湯をかけて,一気に殺してしまいます。

 ところが,この日に限って付け合わせがもやしのお浸しだったのです。もやしのヒゲの部分がシンクに散らばっており,迂闊にもトレイから流れてしまったアニサキスと混ざってしまい,どれがどれだかわかりません。

 軽いパニックになりながら,死んだはずのアニサキスを数えますが,トレイには2つしかいません。うわー。もう1つどこいった?

 娘も見に来ました。「これはもやしだ」と掴んでみると,ちょっと感触が硬く,ぴーんと伸びたまま曲がりません・・・うわーーーーーぁぁぁ

 アニサキスの死骸でした。

 もやしとアニサキスの区別が出来るようになったので,3つの死骸を確認し,ゴミ袋に入れました。嫁さんは帰宅後,その死んだことを確認したアニサキスがそこにあると言うだけで気味悪がり,袋をもう1枚重ねてさっさと捨てていました。

 肉眼で切り身を見ても,もう動く物は見当たりません。とはいえこれだけ老眼が進むとその結果に疑問もあるわけですが・・・

 すでにこの段階で20分ロスしています。鮭も冷蔵庫から出して30分以上経過しています。傷んでないといいんですが・・・ああっ,嫁さんが帰ってきました。まだご飯の準備が全然出来ていません。

 嫁さんには黙っておこう(そして後でばらそう)と思っていたのに,娘がすっ飛んでいき,「寄生虫がいたよ,動いていたよ」とうれしそうに言ってしまったので,嫁さんへの意地悪は頓挫しました。

 果たして,じっくり火を通した,鮭のチーズ焼きはとても美味しく。先日届いたキリンの「秋味」と一緒に,ちょっと早めの秋を味わったのでした。

 ちなみに娘も何の抵抗も示さず,皮の部分までおいしいといって食べてくれました。

 あれから数日,家族3人,腹痛はありません。

 しかし,今にして思うと,昨年も天然物の鮭など何度も食べていたんですよ。もちろん生では食べていませんが,あまり意識して調理していなかったですし。トマトやキャベツなどは生で食べていたと思いますから,もしこれらにちらっとくっついていたらと思うと,ゾッとします。

 もちろん,サルモネラ菌みたいに目には見えないものであったり,カビのように動かないものには警戒心が薄れるわけで,目に見えるだけアニサキスはわかりやすいとも言えるのですが,私に言わせればそんなもの大きさの違いだけの話ですから,やっぱり衛生管理は徹底しないといけないなと,改めて意識させられた事件でした。

 料理というのは,美味しく作る事,手早く作る事,栄養価が高くなるように作る事を目指すわけですが,衛生管理というは人の健康と命がかかっているわけで,なにより優先であるということを,肝に命じて包丁を持つことにします。

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