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最後の砦,本物の揚げ物にチャレンジ

 「うちで揚げ物はしない」と決めたのが,一人暮らしを始めた20年前の話。

 揚げ物というのは大量の油で温度の変化を押さえ込んで揚げるから美味しいのであって,素人が小さい鍋でちょこちょことやっても,べちょべちょするだけで美味しいはずありません。

 そのくせ,油の始末に困る,油の飛び跳ねで汚れる,気化した油が壁や天井や換気扇にくっつく,服や髪の毛がベトベトする,その上油は決して安くない,しかも火災の原因は油への引火が相変わらず多いと来て,こんなもの自宅でやる奴の気が知れないと,そんな風に思っていました。

 ゆえに,揚げ物は総菜屋さんで買う,がうちの方針となったわけですが,これはもともとそんなに揚げ物が大好きというわけではない我々夫婦にとって,それ程苦痛なものではありませんでした。

 子供が生まれるまでは油の消費量も少なく,500ccのボトルが1本あると,1年くらい冷蔵庫に入りっぱなしだったほどです。いやー,今思えばヘルシーですわね。

 ただ,子供が生まれて料理にバリエーションを付けたいと思うようになった私は,油を使わずに揚げ物をするというフィリップスの「ノンフライヤー」を全面導入しました。大きく重たく,その割に調理できる容量が少ないという面倒な奴ではありますが,設計者も含めて大多数が考えたであろう通常のフライヤーの代わりになる物ではなく,全く新しい調理器具として対峙することの出来た私は,その使いこなしに安定感さえ出てきました。

 もはやとんかつはこれでとても美味しく確実に出来ますし,春巻きもばっちりです。ポテトフライもこれで最高に美味しいですし,焼き鳥もこれでとても美味しく出来ます。そうそう,むね肉を使ったイタリアンチキンカツなど,高熱でウンウンうなされている娘が遠のく意識の中でパクつくほどの出来です。

 果たしてそのコツは,衣を付けるときの溶き卵に,大さじ一杯の油を入れること。これだけで衣がサクサクになり,食材の脂分の多少に関係なく安定した仕上がりになります。これをやらないと,ヒレカツはうまく出来ません。魚のフライも美味しく出来ません。

 ポテトフライはじゃがいものに油をまぶしておくこと,春巻きは表面に油を塗ることで美味しく出来上がるのですが,結局の所「油」が鍵になっていることがわかります。

 揚げ物というからには,やっぱり油がないといかんのです。

 そして娘はやはり子供らしく,カリカリにあがった衣が大好きです。

 そんな娘を見ていると,ノンフライヤーはフライヤーの代替品ではない,という私の考えが,つまるところ「フライヤーの導入は新規案件だ」という勝手な理屈を生み出す源泉となり,気が付いたら電気フライヤーを購入していました。しかもご丁寧にオイルポットも同時手配です。

 まず,電気フライヤーです。

 フライヤーはコンロで使う鍋もありますが,実家でギトギトになった天ぷら鍋を見ているので,これはパス。それにガスコンロで使うと引火が怖く,使う油の量も多いのでやっぱり検討対象からは外れます。

 なら電気フライヤーという事になるわけですが,これもまあピンキリです。有名メーカーのものもあれば,なんじゃそりゃと言うようなメーカーのものまで,値段も数千円から数万円です。

 しかし,使う油の量が少ない,小型のものというと選択肢が非常に少ないことがわかりました。通常1000mlくらいの油を使うようですが,油はやっぱりたくさん使わないと,美味しい揚げ物が出来ないからでしょう。

 そんな中,僅か500mlでOKのフライヤーを発見しました。ツインバードのコンパクトフライヤーEP-4694PWです。amazonで3900円ほど。もっとちゃんとした物が欲しかったのですが,500mlで使えるものとなると,これくらいしかありませんでした。

 この商品,数年前にちょっと話題になったことがありました。小型で油の量が少なくて済む,お手軽なフライヤーとして高評価だったことを覚えています。絶賛していた人の共通点は,みな一人暮らしか夫婦だけという少人数であること,そして油の始末が面倒だと思っているくせに,揚げ物が大好きな人でした。

 これがそんなに売れたなら,後継機種や他のメーカーの改良機種があってもいいだろうと思うのですが,これ以外は最低でも700ml,通常1000mlの油が必要でした。

 今回は少ない油である事が重要なので,この商品を買うことにしました。しかし,今にして思うと500mlの油の機種が続かなかったことには,それなりの理由があるんだろうなあと思います。

 次にオイルポットです。オイルポットというのは名前の通り油を保管しておく器なのですが,揚げ物の油は一度使って捨てるにはもったいないし,捨てる時もそのまま下水道に流すわけにはいきません。そこで再利用を考えるわけですが,この場合油の汚れと酸化が問題になります。

 酸化はそんなに大きな問題ではないという意見が多く,かつ酸化が問題となるほど長期間の保存をするのはそもそも間違い,それに酸化は保存中と言うより使用中に起こるという考え方もあるようなので,保存時の酸化についてはこの際考慮しないことにしました。

 となると,大事な事は汚れの除去です。衣のカスはもちろんですが,黒ずんだ色も臭いも,油の汚れのせいですから,これを除去するフィルタを使うと綺麗になります。

 微粒子の吸着には活性炭ということで,この手のフィルターに活性炭が使われていることも多いようです。すごいなー。

 で,私が選んだのは,パール金属のH-8211というものです。1000mlの小型サイズ,活性炭入りのフィルターに油を通す前にステンレスの濾し網を使い,フィルターの目詰まりを軽減します。

 この種のフィルターは濾過速度が遅いので,油をリザーブする部分の容量が小さいと,濾過している間付きっ切りになります。なので,500ml位は一気に入れる事の出来る大きさを選びました。

 本体は高級感もなにもない薄い鉄板ですが,こんな部分にステンレスだのホーローだのガラスだのとこだわっていても仕方がありません。

 これでお値段は2000円ほど。仮に気に入らなかったら,10cmのフルレンジでも付けてMP3プレイヤーに改造しましょう。

 で,ここまで準備が出来ましたから,昨日の夕食で予定していたイタリアンチキンカツを,ノンフライヤーではなく,電気フライヤーでやってみましょう。大丈夫かなあ。

 まず,むね肉を1/3に切ります。そしてそれぞれを半分にスライスして,6分割します。そして2枚を一組として,大きさが揃うように3組作ります。

 塩とコショウをしっかりして20分放置。この間に付け合わせや味噌汁を片付けて,肉の表面がテラテラしてきたら,内側に市販のピザソースを塗り,チェダーチーズを挟みます。

 これに小麦粉を付け,溶き卵を付けて,パン粉をくっつけます。娘がこの作業をそばで見ていたのですが,大喜びでした。

 いつもならこの3つをノンフライヤーに入れて,160度で12分,180度で5分なのですが,あらかじめ500mlの油を入れて180度に余熱してある電気フライヤーに投入します。

 しかし,3つはおろか,2つも入りませんので1つずつです。1つ5分として3つで15分ですから,ノンフライヤーとそんなに時間は変わりませんが,ノンフライヤーはほっとけば完成,しかも同時に出来上がるのに対し,この電気フライヤーでは付きっ切りなのでしんどいです。

 そもそも,私は油を使った揚げ物をしたことがありません。どうなったら完成なのか,温度はどのくらいなのか,そういうノウハウはこれから蓄積せねばなりません。

 衣がちょっと黒くなりつつなるくらいにあげて,取り出して油を切ります。そしてすぐに包丁で切ってみますと,残念な事に真ん中がまだ赤いです。火が通っていません。

 後で分かったのですが,実はこの油から出してからも火が通るのだそうで,すぐに切ってしまうと良くないらしいです。しかし,今回については,そんなくらいでは火が通るような感じがしません。

 これは後でどうにかするとして,他の2つをさっさとあげることにします。この2つは肉が薄かったこともあり,じっくり火を通せば問題なくあがりました。しかし,衣を付けてから時間が経過していて,衣が湿ってしまったこともあり,からっと揚がりませんでした。

 食卓に出たチキンカツは,どれも悲惨なものでした。失敗です。

 食べてみますが,衣がじゅくじゅくで,サクサク感がありません。味そのものは悪くないのですが,残念な事に肉が硬くなってしまっていて,ちっとも美味しくありません。

 これなら,ノンフライヤーで作った方が,絶対美味しいです。時間もよけいにかかり,私は油に酔い,嫁さんと子供は油の粒子を吸い込んでゴホゴホしています。

 敗北感にさいなまれながら,後片付けです。温度が下がってから(多分60度くらい)オイルポットにフィルターをセットし,濾し網(ストレーナー)をおいて,油を注ぎ込みます。500ml程ですので,濾過時間もそれほどかかりません。

 濾過された油は元の色に戻っており,全く問題なく使えそうです。

 この油を,普段の炒め物なんかに使っていきます。そして揚げ物をする時には,足りなくなった分だけ新しい油をつぎ足していきます。こうすると,油を捨てることはなくなるでしょう。

 炒め物をどれくらいするかによりますし,うちは炒め物はオリーブオイルですることも多かったので,そのあたりの折り合いをどうするかが課題ですが,しばらくこれでやってみましょう。

 とまあいうことで,第1回目のリアル揚げ物は惨敗に終わりました。

 反省点は,

(1)ノンフライヤーで美味しく出来る物を無理に油で揚げない
(2)中まで火を通す物は油の温度を低めにして時間をかける
(3)具材がすでに火が通っているなら高温でからっと揚げる
(4)油から出してもまだ火は通るのですぐに切らない
(5)とんかつで5分くらいは揚げないとだめ
(6)一気に揚げようとしないで,落ち着いてやる
(7)衣は投入する直前につける。付けた状態で長時間放置しない
(8)結局のところ,時間の管理をちゃんとしないとだめ

 という感じです。

 実はこの電気フライヤー,到着が予定よりも1日早かったんです。そこで急遽,ノンフライヤーで作る予定だったチキンカツを作って失敗したわけですが,本来のメニューはブリの竜田揚げです。

 魚の竜田揚げをノンフライヤーでやってみたことがあるのですが,魚からは油が出にくく,かといって竜田揚げは片栗粉で衣を作りますので,油を塗るわけにも行きません。なのできつね色に揚がることもなく,白いまま高温で焼き上がっただけの料理に終わりました。

 そこで次の機会にはフライパンに多めに油を入れて焼いたところ,これがなかなか美味しく,娘の好物になったのです。(といいますか,娘は保育園でブリの竜田揚げを食べて美味しかったといっており,私も負けてられないと奮闘したのです)

 ですが,フライパンでは温度の管理が難しく,時間もかかり,しかも油の劣化が早いので再利用は出来ず,捨てるにも量が多いので,そんなに気軽にやろうと思うような料理ではなかったのです。

 今回,電気フライヤーを導入したのも,実はノンフライヤーでは難しい魚と野菜の揚げ物をやりたかったからです。

 シシトウも素焼きをするのがうちの定番なのですが,ここに天ぷらなんかが加わるとうれしいですよね。

 精進します。

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