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電子負荷をパワーアップ

  • 2016/10/14 12:11
  • カテゴリー:make:

20161013121543.JPG

 

 さてもう1つ,digikeyで手に入れた部品であるインフィニオンのBTS141を使うことにしましょう。

 もともとこれ,Re:load2という名前の電子負荷キットのアップグレード用に買ったものです。キットの説明ではBTS117という定格の小さなMOS-FETが使われていることになっているのですが,私が買ったキットにはBTS133という上位の定格のものが入っていました。

 これを,さらに上位のBTS141に交換し,さらに多くの電力を吸い込めるようにしようというのが,今回の目論見です。

 ここで,インフィニオンのBTS117,BTS133,BT141について簡単に書いておきます。基本的にはN-chのMOS-FETなのですが,熱や電流に対する保護回路が入っていて,外に設ける必要がありません。

 モータやソレノイドといったような決まった負荷を駆動する用途なら保護回路の設計も楽なのでしょうが,電子負荷のようにギリギリ上限を狙う必要があり,しかも発生する熱をきちんと考慮しないといけない保護回路というのは,なかなかきちんと動作させるのが大変そうです。

 それがチップの上に作り込まれているというのですから,これほど完璧なものもありません。確実に動作する保護回路のおかげで回路が極めて簡単になり,かつ確実で安全なわけですが,このキットはこの部品を選んだことで綺麗にまとまっているといってよいと思います。

 ということで,この3つの定格を並べてみます。左から順に,耐圧,定格電流,オン抵抗,最大許容損失,ジャンクションからケースまでの熱抵抗です。

BTS117 60V 3.5A 100mΩ 50W 2.5K/W
BTS133 60V 7A 50mΩ 90W 1.4K/W
BTS141 60V 12A 28mΩ 149W 0.84K/W

 見て分かるように,順に定格が大きくなっているのがわかります。

 オン抵抗が半分になると電流も倍流せるようになり,損失も倍近くを扱えるようになるわけです。

 とはいえ,電子負荷というのは完全にMOS-FETが導通状態(つまり上記のオン抵抗)になる前の,抵抗を持っている状態で使います。ドレインとソースの間に15Ωの抵抗がある状態なら,15Vをかけると1A流れるわけで,つまりここで15Wの電力を熱に変換してくれるということになります。

 そういう観点で言うと,実は電子負荷ではオン抵抗は関係がありません。

 BTS133を使っている現状の電子負荷では,15V・2Aの30Wで保護回路が働いてしまいますので,実はBTS117でも定格内です。放熱器をもっと大きくすればまだまだ吸い込める余地があるということではあるのですが,現実には無限大の放熱器は用意出来ませんし,仮に用意出来ても熱抵抗をゼロには出来ません。

 ここでBTS141にするとうれしいのが,ジャンクションからの熱抵抗の低さです。熱抵抗が大きいという事は,発生した熱を外に出すことが難しいという事になるので,よりジャンクション温度を低く維持するためには,熱抵抗を低くしないといけません。

 BTS117は2.5K/W,BTS141は0.84K/Wと大きな差がありますが,BTS141は熱抵抗が低いために,BTS117に比べるとよりジャンクションで発生した熱を外に吐き出す事が出来るので温度の上昇を小さく出来る,つまり大きな定格で使うことが出来るようになるということになります。

 ところで,BTS133はTO220で実装されているのですが,digikeyで手に入ったBTS141のパッケージはあいにくTO262でした。残念な事にTO220は生産中止で入手不可能とのことです。

 TO262はTO220ネジ留めをするフィンをカットし,足を曲げて基板に面実装を行うパッケージですので,とても似ているのですが取り付け方は全く異なります。

 TO220だと放熱器にネジ留めできたのに,TO262ではそうはいきません。

 先日購入した熱伝導型の接着剤でくっつけることを考えたのですが,絶縁が出来ないのでダメだとわかり,ちょっと考え込んでしまいました。

 TO262をTO220にする基板が売られていて,これを使えばいいように思うのですが,やっぱり間にガラスエポキシが挟まってしまうので,熱抵抗が増える方向に向かいます。それはちょっと嫌ですよね。

 で,考えた結論が,上から金属で押さえつけて密着です。これだと従来のTO220で使っていた絶縁シートをそのまま流用し,強い力で放熱器に密着させることができるでしょう。

 手頃な金属の板を探すのですが,うまい具合にタミヤの工作シリーズの,クランクの部品が発掘され,これを使うことにしました。

 放熱器にもう1つネジを切って,2本のネジで固定します。

 思った以上にしっかり固定できました。あまり強くしめると割れてしまうので程ほどにしないといけませんが,TO220での固定くらいの熱結合はしていると思います。

 あとは元通り配線するだけ。早速テストです。

 結論から言うと,安定して吸い込めるのは,従来の15V-2Aの30Wから,19.5V-2Aの19Wまで拡大しました。きりのいいところで20V-2Aなら良かったのですが,これだと15分くらいで保護回路が動作してしまいます。

 ということで,熱抵抗が1/3くらいになっているにも関わらず,吸い込める電力が3割増し程度にとどまっているのは少々不甲斐ない気もしますが,これはもう放熱器が小さくて,空冷をしていても追いつかない(事実かなり放熱器が熱くなる)言えて,もう少し大きな放熱器にした方が良い結果が得られたと思います。

 このサイズで40Wを吸い込めるんですから,無闇に大きな物にして利便性を損なうのもどうかと思いますから,これはこれでよし。

 ところでこの電子負荷ですが,電源回路や電池の性能のチェックに使うつもりで用意したものの,案外便利に使っているのが,ニッケル水素電池の放電です。

 劣化が進んで急速充電器が「不良品」と判定してしまうニッケル水素電池が増えてきたのですが,完全に放電しきってから充電するとうまくいくことがあります。

 その際の放電器に使っているのですが,0Vから動作し,電流もつまみ1つで可変出来るのでとても便利です。これだけでも電子負荷を作った甲斐があったとさえ思います。

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