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XC-HM86の修理~その1

 この春に購入したパイオニアのネットワークオーディオ,XC-HM86ですが,故障したので修理に出しました。

 9月中頃の話です。嫁さんがCDを聴こうとトレイを開けるボタンを押したのに,うんともすんとも言わないと言い出しました。

 あれ,トレイが開かないような条件ってそんなに複雑だったっけな?

 おおむね,ベルトが切れたか,ギアが引っかかってしまったか,まあそんなところでしょう。

 しかし,本当にうんともすんとも言いません。ベルトが切れるなりギアが引っかかったりしたなら,モーターの唸る音や振動が出ているはずなのに,全く動いている気配がないのです。

 トレイが開かない条件も調べて見ましたが,そんなものはなさそうです。

 保証期間が過ぎていれば自分で調べて見るのですが,これはまだ半年しか使っていない,保証期間内のものです。自分でいじくって壊してしまうのもバカバカしいので,サービスセンターに電話してみました。

 いろいろやりとりがあったのですが,パイオニアのオーディオ製品は持ち込み修理が基本なので,販売店もしくはサービスセンターへの持ち込みをして欲しいということです。遠方や時間がないなどの事情で配送を使うことも出来ますが,その場合往復の送料は保証期間内でも,ユーザーが負担しなければなりません。それも3000円近い負担だったと思います。

 いやまあ,これは20年前なら当たり前なんですけど,外資系のメーカーはもちろんだし,ニコンなども保証期間内は無償だったりした記憶があるので,今どきのサービスは物流込みで考えるものだと,そんな風に暗黙で思っていたのです。

 そういえば,ヤマト運輸が新しい商材として,メーカーのサービスの集配を代行するサービスを展開していました。ゆくゆくはサービスのものも請け負うというものでした。

 これは,ユーザーにしかメリットがないもののように思いますが,そうでもありません。メーカーに取っては,全国にサービスセンターを配置して維持する必要がなくなります。修理のための部品や道具,資料はもちろん,人もサービスセンターの分だけ必要になるので,とても重たいです。

 しかし,配送が使えればサービスセンターは1箇所でも,全国のユーザーに同じレベルのサービスが提供出来ます。

 もちろん販売店経由で送ってもらえばサービスセンターは1つでも良いのですが,販売店経由だと時間もかかるし,販売店の仕事も増えますし保管場所も必要になりますから,あまり喜ばれません。無論,販売店もただでやっているわけではないので,当然手数料を支払うわけですけど,結局メーカーも販売店も,ついでにいうと時間もかかるし,販売店が近くになかったりすると,ユーザーにとってもうれしくない方法です。

 ここに商機があると思ったヤマト運輸はすごいですよね。感心します。

 こうすると,販売店は売ることに専念出来るし,ユーザーは全国どこでも家にいながらサービスを受けられるし,メーカーはサービス拠点を減らせる上,投資を集中して1箇所のサービスセンターを強力なものに出来るしで,みんなハッピーになります。

 だから,パイオニアくらいの会社なら,当然やってると思っていた訳です。しかしそうではなかったと言う事実をしり,なんだかさみしくなりました。

 そんなことをいっていても仕方がないので,いよいよ修理をお願いし,引き取りの手配までお願いしようとしたとき,電話の向こうの担当者が,ついぽろっとこんなことを言いました。

 「10月1日から,サービスが新しい会社に移管されるのですよ。」

 そう,パイオニアの音響機器部門は,オンキョーに譲渡されました。しかしサービスの統合はまだ行われていなかったのです。そしていよいよ,今年の10月から統合されるという話だったのです。

 「うーんと,それはつまり,修理の条件や仕組みは,オンキョーさんに準じたものになるということですか?」

 と,全然つまりになっていないような質問を,私はしれっとしてみたんですが,答えは「そういうことになります」でした。

 むむむ,実はオンキョーはサービスについては進んでいて。メールと配送でのやりとりがメインで,保証期間内は往復の送料もかからないのです。

 ここで私は少し考えてから,「そういうことなら,ややこしいので,修理を10月1日以降にします。」と話して,その場での手配を取りやめました。

 そして10月初旬。時間が出来たあるとき,パイオニア製品のサービスのホームページのリンクを探し,サービスの依頼をしました。するとオンキョーのサービスに飛んでいきました。メールで依頼できるようです。

 当然のように依頼をすると,すぐに「これはパイオニア製品なのでこのメールでは受けられない,このURLに書かれているところに電話しろ」と返事が来ました。

 URLはさっき私が見ていたホームページです。

 でたよ,たらい回し・・・

 悔しいので,電話をしました。

 事情を説明すると,先方は落ち着いて「お客様はメールでやりとりをされたいのですよね?」というので,いや,メールにこだわっていないが,保証期間内の配送料は無料だと書かれているので,それに準じて欲しいのだというと,それはすでにやっています,との返事。

 そういうことなら文句はありません。さっさと引き取り日時を決めました。そして最後に,

「ところで最初に伺うべきだったのですが,何が壊れたんですか?」

 というオチまで付いて,この電話は終了です。

 後日,指定した日に壊れたXC-HM86を引き渡して10日経過,トレイのモーターの駆動用ICが壊れていたそうで,保証期間内だから基板ごと交換しますと電話がありました。配送料も含め,私の負担は一切ありませんとのありがたいお話。

 9月に頼んだか,あるいは10月まで待ったかで,これだけの差が出てしまうことに,知る事と知らないことの差というのは大きいものがあるなあとつくづく思いました。

 細かい話をすると,実は9月中はフリーダイアルだったので,電話代はかかりませんでした。しかし,10月になるとナビダイアルになるので,1分で20円もかかります。都合15分ほど電話をしたので,電話代は300円ほどかかってしまいました。

 だから完全に無償になったわけではありませんが,配送によって全国どこでも同じサービスが提供されるには,全国どこでも電話が同じ料金でかけられねばなりません。

 ここをフリーダイアルにするのも手ですが,必ずしも保証期間内の話ではないわけで,電話をナビダイアルにするのは理にかなっています。

 戻ってきたXC-HM86は,当たり前のようにきちんと治っていることを期待していました。しかし・・・

 

 この顛末は,後日に。ちょっとだけ書いておくと,傷だらけ,指紋だらけ,ACコードの組み付けミス,LCDの傷と,一瞬自分のものとは思えないほど,変わり果てた姿で戻ってきました。さて・・・


 ・・・ここでちょっと思い出を。

 オンキョーのサービスについては,大昔,30年ほど前にもお世話になっています。

 中学生だった私は,父親がどこからか見つけてきた,古いシステムコンポを安価で買うことになりました。オンキョーのライセンスというシリーズで,下から2番目の4000シリーズというものでした。

 1970年代の製品で,もともと安価なものだったので,アンプもサンヨーの厚膜ハイブリッドICですし,カセットデッキもドルビーすらなく,チューナーも平凡なバリコン式でした。ターンテーブルもDCモーターによるベルトドライブで,ゴロとひらうよな安物でした。

 スピーカーも今思えば大したものではなく,音も特に印象に残っていないほどなのですが,それでも25cmと10cmの2ウェイはうちでは一番良いものだったので,アンプを自作しても使い続けていたのです。

 その自作アンプを調整中に,うっかりDCを出してしまい,片側のウーファーを焼き切ってしまったのです。

 さあ困った。それなりに気に入って使っていましたし,代わりののものに買い換えるほど経済的にゆとりはありません。それに,今ほど小型スピーカーの性能が良くなくて,良いものは大きいという常識がまかり取っていた時代でもありましたから,このくらいのスピーカーには選択肢が少なかったのです。

 そこで,ダメモトで修理を相談してみたのです。

 ビンテージでもなく,高価でもなく,廉価なシスコンのセット商品の,しかも古いものの片側のウーファーが断線したスピーカーを,修理してくれるはずはありません。

 当時高校生だった私が電話をしてみると,すでに交換用のスピーカーユニットは在庫がなく,通常の修理は出来ませんが,ちょっと検討してみるので,折り返しますというお話です。

 しばらくして,折り返しの電話を頂きました。しわがれた職人気質っぽい声の主は,私に信じられない事を言いました。

 ボイスコイルを巻き直すので,ユニットだけ外して近所のお店に持っていって下さい,と。

 ただし,できるだけ頑張りますけど,左右で音が若干変わってしまうことはご容赦下さい,と付け加えます。

 費用はいくらですか,と聞けば,5000円だといいます。

 ボイスコイルを巻き直す修理が可能なことも驚きですし,それをこんな安価に,しかも安物のスピーカーにほど越してくれることも,そしてユニットだけ送ってくれればいいという話も,なにもかも想像を超えた提案でした。

 私は即座に了解し,隣町の量販店にスピーカーを持ち込みました。店員さんの不思議そうな顔を今でも覚えています。

 そして2週間ほどして修理が完了。引き取って元の箱に組み込み直して音を出してみますが,全く以前と同じです。

 ここに,私の不注意で壊してしまったスピーカーは,職人の手で修理されたのでした。

 オンキョーがスピーカーに定評のあるメーカーである事は当時も知られていましたが,ちゃんとボイスコイルを巻き直す事が出来るメーカーである事も分かりましたし,それをそこらへんの高校生の依頼で行う体質に,私は深い感銘を受けました。

 こうしてオンキョーの社風に非常に良い印象を持った私は,就職先にオンキョーを選ぶのですが,私の時は就職難という事もあり,オンキョーから今年は採用しないと,丁寧なお返事を頂きました。

 結局違うメーカーで働く事になった私ですが,地元の企業だったということもあり,今に至るまでオンキョーにはとても良い印象を持っているのです。

 当時のシスコンもすべて廃棄し,取説の一部と,これも無理を言って送ってもらった当時のカタログくらいしか手元に残っていません。思い出深いそのスピーカーも,実家の建て替えに伴い,廃棄しました。

 その後,結局あまり縁がなくて,オンキョーの製品を買うことはなかったわけですが,こうしてまたサービスのお世話になったことに,私はなんだかうれしいものを感じました。

 今回も,サービスの担当をしている人から電話を頂きました。相変わらずしわがれた声の,職人のような声で,ぶっきらぼうですが親切な電話でした。昔々の事を,私はふと思い出しました。

 

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