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PC-6001と日本語ワープロの思い出

 この季節になると,年賀状をどうするかで頭を痛めたことを思い出します。我が家は父が営業職だったこともあり,一般家庭よりも多い年賀状を出す必要がありました。

 仕事の年賀状は当然父がやるとして,親戚を含めたそれ以外の年賀状はすべて母の仕事となり,寒くなると母が毎晩夜なべをしていたことを思い出します。

 宛名書きも大変ですが,裏面の図案も大変で,母は結局干支の版画を彫ることにしていました。12年後には彫らずに済む,と頑張っていましたが自分の所に不幸があった年は版画を作りませんでしたし,結局あまり楽になった印象がありません。

 無論,当時から印刷をすることは選択肢としてあったわけですが,我々は印刷をするのは最後の手段と考えていたところがあって,結局一度も使わなかったと思います。

 小学生だった私は,自分自身が面倒だったこともありましたし,母親が心血を注いでいるのを見ては,これがパソコンで楽になるんじゃないかと思っていました。

 以来,コンピュータを使って住所の管理や印刷などをするのは,私の夢となったのでした。

 当時の私のマシンはPC-6001です。今でいう全角文字すら扱えず,データはカセットテープで管理せざるを得ませんでした。そのせいもあってか,小学生の私には「ファイル」という概念がさっぱり理解出来ず,せっかくビル・ゲイツが用意してくれたPRINT#やINPUT#という命令を使いこなせないままでした。

 ただ,それらが解決したとしても,相手は紙という実体ですので,プリンタが必要です。プリンタがまた当時は高価で,私が手に入れたのも確か小学校6年頃じゃないかと思います。PC-PR401という,サーマルプリンタです。

 サーマルプリンタは安価で静かなのですが,よく知られたように感熱紙という特殊な紙を使います。当時の郵政省は葉書といえば普通の紙の1種類しか用意せず,かといって感熱紙になっている葉書用紙も市販されておらず,現実的にサーマルプリンタで郵便物を印刷することは出来ませんでした。

 ですが,工夫を厭わなかった当時の私は,なんとかPC-6001とPC-PR401で郵便物を作成出来ない化と試行錯誤を繰り返しました。いつしか,郵便物作成の省力化という本来の目的を忘れ,とにかくPC-6001で葉書を作る事に心血を注いだのです。

 まず,日本語をどうするかです。PC-6001mk2には漢字ROMが入っていましたが,それも大きさが他のキャラクタとは合わず,また1024文字しかないのであまり意味がありませんでしたが,なによりうちのマシンは初代PC-6001です。

 ですが,あるもんですね,漢字ワープロというソフトが初代PC-6001向けに売られていたのです。隣町にあった今はなきニノミヤムセンの,見るからに長期不良在庫だったのですが,子供のお小遣いとしては破格の3800円を払って買いました。

 このソフト,かな漢字変換などという気の利いたものはないのですが,32kByteのRAMとカセットテープ,そして簡単なプリンタで日本語が使えるようになっていました。

 まず,画面はテキストではなくSCREEN4のグラフィックモードを使います。テキスト画面と同じ解像度ですので,文字数は32x16行です。

 英数字とひらがな・カタカナは,標準のものをそのまま使います。これはキーボードから直接入力します。

 問題は漢字です。これは,他のキャラクタと同じドット数でデザインされた900文字程度の漢字を,独自のコードを使って入力していくのです。

 これで,漢字と英数字,カナが画面上で編集できるようになりました。

 問題は印刷なのですが,これがなかなかうまい方法で,ただ画面のコピーを取るだけです。

 プリンタに漢字ROMが内蔵されている,いわゆる日本語プリンタが繋がっていれば印刷は高品位かも知れませんが,そんなものはPC-6001よりも高価です。

 それならばと,漢字やかながグラフィック画面に表示されている状態で,そのままハードコピーを取って印刷してしまおうというのがこのワープロです。純正のサーマルプリンタPC-6021は40桁のプリンタで,ロールペーパーの幅がちょうど葉書の短辺くらいの長さです。一文字の大きさも12ポイントくらいですし,画面に出ているものがそのまま印刷されるという仕組みは,画面の編集機能がそのまま印刷にも生きるという事を意味していて,とても合理的です。

 もっとも,画面の解像度やサイズ,文字品質がそのまま印刷の質に直結するので,印刷物としては話にならないのですが・・・

 とはいえ,アイデアでPC-6001のハードウェアの限界に挑んだ,まさかに漢字ワープロですから,実用性は別にして私はすごいなと今でも思うのです。

 当時の私は,これで雑誌の投稿を1つか2つ,無理に作ってみた記憶があります。ただ,感熱紙のロールペーパーゆえ,印刷した紙を葉書サイズに切り抜き,上下に2枚糊で貼り付けて葉書1枚を作りました。

 感熱紙ですので,すぐに変色したり脱色して読めなくなります。PC-6021やその後継のPC-PR401は印字濃度が薄いので,ますます見にくくなります。

 ですから,葉書のようなものに感熱紙を貼り付けたところで,それが届く頃にはもはや読めない葉書になっていたのではないかと思います。

 結局,そもそも文書を作る必要性が低い子供のこと,面白半分で使った程度でもう使わなくなってしまいましたが,今思い出してもなかなか面白いシステムだったなあと思います。

 その後,我が家にはX1turboが導入され,本気の日本語処理に24ドットの熱転写プリンタが組み合わされ,一気に日本語の処理が身近になったのですが,PC-6001というファミコンにも負けるようなマシンで,日本語ワープロを動かしたという事実は,私にとってとても思い出深いものになっています。

 

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