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中華製SU-800にご用心

 D850には,内蔵フラッシュがありません。もともとフラッシュ内臓に否定的だった私の考えが変わったのは,フラッシュを内蔵したD800を使っている中でのことです。

 内蔵フラッシュはガイドナンバーも小さく,レンズに極めて近い位置に固定されていて照射の自由度もなく,結局使い道がない割に,ペンタカバーが弱くなり,可動部も壊れやすい,必要な部品が大きくカメラ本体が大型になったりデザイン的に妥協が必要だったりと,メリットは皆無であるというのが,反対だった頃の私に考えでした。

 D800で考えが変わったのは,内蔵フラッシュをリモートフラッシュのコマンダーに使うという使い道があることでした。

 ニコンのスピードライトは精度も使い勝手も良く,スピードライトを使った撮影で失敗しない事が売りになっています。このことだけでニコンを選ぶ理由に挙げる人もいるくらいです。

 CLSと呼ばれるこのシステムは,スピードライトを複数並べる多灯撮影でも,難しい露出や発光量の調整は自動で行われますし,それぞれのスピードライトはワイヤレスで制御されますので,ポンと好きなところに置くだけでです。

 CLSでは最大3台のスピードライトを配置でき,それぞれの発行量も調整出来るようになっています。これによって,眼に光を入れる,あごの下の影を消す,髪をキラキラ輝かせるなどの高度なテクニックが簡単にできるようになります。

 しかしこのCLS,当然ですがCLSに対応したスピードライトを複数持っていないといけません。それなりに高級機でないと対応しませんし,発光量がある程度大きくないと配置の自由度が生かせません。そうすると当然高価になるわけで,部品の劣化から消耗品と言う人もいるくらいのスピードライトに1つ5万円以上の投資が必要になるのです。

 これが敷居の高さになると私は思うのですが,CLSは何も多灯撮影が重要なのではなく,好きなところにスピードライトを置くことができる,つまりカメラとスピードライトがバラバラに配置できることにもメリットがあります。横から当てたい,背後から発光させたい,といった要求は,スピードライトがカメラから外れてこそ実現出来ます。

 もちろん多灯撮影が真骨頂ではありますが,内蔵フラッシュが使い物にならないのでSB-700を買ってみたところ,内蔵フラッシュがコマンダーになることから,いきなりワイヤレスでリモートフラッシュも可能になってしまう,というとてもうれしいことが起きるので,CLSの入り口としてとても良い機会になるのです。

 そう,内蔵フラッシュは,ワイアレスストロボのコマンダーなのです。

 D850では内蔵フラッシュがなくなりましたので,コマンダーになることも出来なくなりました。これはとても残念な事で,D800からの移行で唯一私が継承できなかった撮影方法でした。

 かつてのSB-400くらいの,それこそ内蔵されていたものがそのまま外に出たくらいの小型スピードライトにコマンダー機能とIRフィルタを搭載したものが18000円くらいで出れば私はそれをD850と同時に購入したことでしょう。

 ところがある時,最近激安の中国製が幅を利かせているフラッシュをamazonで見ていると,SU-800というニコンの「コマンダー」の互換品さえも出ていることがわかりました。純正が3万円なのに互換品は9000円。激安とはいえないまでも,手が出せる値段であることは間違いありません。

 これを買い足せばD800相当になる,と意気込んでこのSU-800互換品を先週買いました。その顛末です。


 届いたSU-800はいかにも中国製という作りの悪さで,まずがっかりします。電池のフタは成型不良で微妙に変形していますし,電源スイッチもガタガタと動き,クリック感も乏しいものです。

 カメラから外れないようにするロック機構も動きが悪くてうんざりですし,これはすでに地雷の予感がします。

 極めつけが「装着できない」のです。ホットシューに差し込むのですが,ピンの先端が太く,しかも飛び出し量が大きいので,これがぶつかりホットシューに入っていきません。

 押し込もうとするとピンがホットシューにぶつかり,大きな傷を付けてしまいます。私のD850も傷物になってしまいました・・・

 それでも先の細いもので押し込んでホットシューに差し込んで機能確認をします。一応SB-700をスレーブとして発光させることは出来ているようです。AF補助光は全く光りませんが,それでも露出は失敗していない様子です。

 あ,そうそう,このSU-800互換品にはAF補助光が搭載されています。補助光とはいえ,なんと赤色のレーザーで縦横のパターンを投影するもので,なかなか面白いのでは,一方で被写体が顔だったりすると眼に入って危ないなと思います。

 どっちにしても,ピンが短くないと差し込めませんので,改造することにします。やることは簡単で,ピンに1mm程の長さのスリーブかなにかをはめ込んでかさ上げし,飛び出し量を制限するのです。

 早速分解してみます。電池ケースにある4つのビスを外して,電池バネを押し込みながら上ケースを引っ張るとパカッと外れます。大きなコンデンサが載った基板を固定するビスを2つ外すと,基板が外せるようになるので,裏側にあるコネクタを3つ外してやります。

 するとピンを固定した基板が奥の方に出てきますので,4つのビスを外してやればピンが取り外せます。私の場合,ここにピンとほぼ同じ内径のバネを差し込んで,かさ上げをしました。

 元のように組み立てて作業完了。

 さて,これをF100やD2Hに取り付けますが,発光しないばかりか本体がスピードライトを認識していません。ちょっとピンを引っ込めすぎたようです。

 ということで再度分解して,バネを短く切ることになるのですが問題は膨大なエネルギーがチャージされてコンデンサをどうするか,です。触ると確実に感電しますし,下手をするとやけどや怪我をするかも知れません。なにより怖いです。

 コンデンサの電圧を測定すると,余裕で500Vを越えています。これはあかんやろ。

 こういう時は,抵抗を使って放電させるのです。

 ぱっと目に付いた抵抗を拾い上げてコンデンサに涼しい顔でくっつけたところ,腹に響くような低音と,バスケットボールくらいの赤い閃光が私の目の前に飛び出しました。思わず「おおーっ」と叫んでしまったほどです。

 なにやら焦げ臭いし,まあよくも爆発事故にならなかったもんだと思いましたが,その抵抗を見ると黒く焦げています。カラーコードをみると・・・え,330Ω?

 このエネルギーの放電には,330Ωは小さすぎです。大きな電流が流れ,1/8W程度の小型抵抗が燃えてしまったのでしょう。あるいは放電したのかも知れません。

 あれほどの閃光でしたから壊れてしまったかも知れません。とりあえずバネの長さを短く調整し,組み立て直します。この時コンデンサの電圧は20V程度に下がっていました・・・

 D2HでもF100でも認識はするようになりましたが,実際の発光はしてくれません。D850でも同様です。まだピンが短いのでしょう。

 また分解して調整です。いい加減面倒ですが,なによりコンデンサが怖いです。もう抵抗で放電させるのも怖いし,とにかく触らないように作業することにします。

 何度か試みて発光するようになりました。SB-700を用意し,スレーブで動くかどうかをテストします。テスト発光では問題ないことは確認済みです。

 D850で撮影・・・しかし画像は真っ暗です。何度か試すと光っていない時もあります。これはおかしい。

 ピンの長さを元に戻して試してみますが,やはり状況は変わらずです。改造前には動いていたのですから,これは私が壊してしまったということでしょう。

 まあ,あれだけのスパークでしたから,壊れているかもしれないなと思ったので,案の定ということでしょうか。これを修理するのは大変ですし怖いので,もったいないですが廃棄することにします。あーもったいない。

 さて,コマンダーが準備出来ることをあてこんで,実はもう1つスピードライトを新たに買い増してありました。ニッシンのDi600です。

 選んだ理由はニッシンのストロボを使ってみたかったという事と,ヨドバシで最も安いCLS対応フラッシュだったということ,小型でありながらSB-700を越える発光量を持っていたことが,Di600を買った理由です。

 どうもニッシンは販売店を限定しており,現行送品のほとんどは直販です。しかもあまり安くなく,どうも純正でカバー出来ない部分で展開するという作戦を考えているようです。Di600はヨドバシでも買える数少ない商品の1つですが,それでも19000円に10%ポイントというなかなかのお値段です。

 しかもDi600は,D850には対応していません。D5もD500もそうです。なんだかニッシンという会社ののんびり具合が目に浮かびます。

 Di600はCLSのスレーブにも対応していますが,グループAのチャネル1に固定されます。そのせいもあってかLCDもなく,シンプルな操作はむしろ好ましいです。ただし,CLSのマスター機能はありません。

 で,このDi600とSB-700の2つをSU-800互換品でコントロールしようと思ったのですが,あてが外れてしまいました。SU-800の純正品を買いなおすかどうか・・・

 冷静に考えて見ると,SB-700をマスターにし,Di600をスレーブにすれば多灯撮影ができます。SB-700は本体から外せませんが,概ね正面から当てるので,これでも大丈夫です。

 試してみると,あっさり多灯撮影できました。SB-700とDi600って,微妙に光の色が違うんですね。これは盲点だったかも。

 それにしても,SU-800なんて,そもそもいらなかったんじゃないのか・・・


 ということで,結局絵に描いたような「安物買いの銭失い」をまたやらかしてしまったのですが,どうもamazonで買ったものにはハズレが多い印象です。amazonにはなんでもありますが,amazonの手が入っていないので,いいものも悪いものもそのまま出てきます。まあジャンク屋さんみたいなもんでしょう。

 個人的にはそういう「知っていれば得をする」ジャンク屋の世界は面白いし楽しいし好きではあるのですが,ジャンクも純正品も一緒に並んでいるのですから,それがジャンクである事を明記しておいてもらう必要はあると思います。

 それがお店の仕事なわけですが,amazonはそういう情報が少ないので,どうもひっかかるように思います。難しいですね。極端に安いものには注意するということにしないと,いけないように思います。

 ということで,SB-700とDi600の色温度の違いは今度のテーマとして,多灯撮影をもう少し真面目にやってみようと思います。

 カメラは自動化が進み,誰でもほとんど失敗のない写真が撮れるようになりました。しかしライティングはさすがに自動化できず,またそれを目指すという話も聞きません。

 写真というのは光と影を写し取るものですので,カメラやレンズの話だけでは全然足りず,究極的には光を読む事が必要だと思います。まだまだ勉強が必要ですね。

 

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