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2011年06月14日の記事は以下のとおりです。

非常用電源を買う

  • 2011/06/14 13:08
  • カテゴリー:散財

 3月11日の大地震は,物理的にも精神的にも大きな影を落とし,それ以前と以後とでは,明らかに世界が違って見えます。西日本の人はどう見えているか分かりませんが,私は阪神大震災も経験している人なので,大地震を他人事として見た経験は,実はありません。

 先の地震では停電という障害も深刻でした。首都圏が比較的早期に落ち着いたのは,電気,ガス,水道といったインフラへの被害が少なく,これが普段通りに使えたからだと私も思うのですが,そのうち電気は原子力発電所をはじめとする発電施設の停止により,計画停電なるものが実施されてしまいました。

 原子力発電所は1つで100万kWもの発電量があります。これを代替するのは並大抵庫のことではありません。今年の夏も暑いと言われていますが,夏場の電力使用量が大きいことはもう避けられず,よって節電をしないと「停電するぞ」と,強く迫られています。

 日本人は流されやすく飽きっぽいので,春になり暖房を使わなくなって電力使用量が下がってくると,さも解決したような勘違いをしがちです。今,そんなに必死に節電やってる人は,正直なところ少ないのではないでしょうか。

 しかし,夏になると確実に深刻な電力不足はやってきます。

 なにか用意をせねばと,妊婦を抱える私は3月下旬にこの夏を乗り切る施策を検討しました。

(1)遮光・遮熱

 昨年の我が家は,2階が40度を超える暑さとなり,1時間もいると熱中症で倒れてしまうほど厳しい環境だったのですが,これは南向きの大きな窓と,西日が差し込む窓があって,一日の大半を直射日光に晒されるからです。

 しかも雨戸は無し。カーテンで防ぐとはいっても,日光によって熱せられたカーテンが熱を出すのは室内です。遮光は家の外で行わねば意味がありません。

 そこで母のアイデアですが,農業や園芸に使う,遮光ネットを外にぶら下げようという事になりました。数ミリ程度の目の荒い黒いネットに過ぎませんが,これで75%を遮光するというのですから,大したものです。

 実は,ゴーヤなどのツル草を育てることも考えたのですが,2階はもの干し場でもありますので,ツル草を育てることは難しいです。それに我々夫婦はゴーヤをそれほど食べません。アサガオは秋まで持ちませんし,ヘチマはそもそも食べ物ではありません。

 常に水が循環している植物に比べて効果が低いことは承知の上で,この遮光ネットをどうやって使いこなすかを思案中です。


(2)扇風機

 冷房を使わないと過ごせない状況で,停電するというのはもう死活問題です。ちょうど8月末には産休に入る嫁さんが,浜に打ち上げられたクラゲのようになっていたら,私はその悲しみをどこにぶつければいいのでしょうか。

 そうならないためにも,最低限扇風機は導入しないといけません。

 私は扇風機はどうも嫌いで,あの人工的な風がつかれますし,子供一人分くらいの大きさで妙に存在感があり,鬱陶しいです。

 しかし,そういうわがままをいっている場合ではありません。ということで,消費電力がわずか3Wで,風にも工夫が成されている「GreenFan2」をいち早く導入しました。

 これ,初期不良で一度交換していますが,それ以後はなかなか快適で,ほとんど音がしない静かさに,「窓が開いているのかな」と錯覚するほど高品質な風,そして3Wという消費電力の低さで,家の中がちょっと蒸し暑いときにも実に快適に過ごせるのです。リモコン装備もすばらしいです。

 昨年,大きめのサーキュレータを買いましたが,これは正直うるさすぎて使い物になりませんでした。今非常に邪魔になっています。


(3)非常用電源の確保

 100万円近い非常用電源がニュースで報道されていますが,電池が数年でダメになることを考えると,今あれを買うのは相当のチャレンジャーだと思います。金額が違うので比べられませんが,プラグインハイブリッドのプリウスを買う方が現実的ではないかと思うほどです。

 ですが,真夏に停電するのは命に関わります。GreenFan2を無理して購入したのは,その3Wという消費電力に注目したからで,この電力なら車のバッテリーにインバータの組み合わせでも長時間動かせるのではないかと思ったからです。

 でも,車のバッテリーを確保するのも面倒です。100Vからの充電と,100Vを作るインバータを装備するシステムは結構大がかりで,自作もなかなか大変だなと思っていると,世の中にはあるものですね,キャンプなどのアウトドアで100V機器を使うためのポータブル電源というものが。

 アウトドアにもキャンプにもバーベキューにも何の魅力も感じない私としては,好きこのんで野宿するのに100V電源で快適に過ごそうなどちゃんちゃらおかしい,と言って憚らなかったのですが,カー用品メーカーがこの手の商品を比較的安価に用意してくれているものを,私のような引きこもりが使ってはならないという法律はありません。

 そこで,セルサス工業という,その手の製品ではよく知られたメーカーのPD-350を,23800円で手配したのは3月下旬のことでした。5月上旬の納期が6月上旬に変更になり,先日ようやく届きました。

(1)スペック

 PD-350は12V17Ahの小型シール鉛蓄電池を中心に,100Vからの充電機構,150Wの100V出力インバータ,12Vシガライターのプラグ,そして自動車のバッテリー上がりをレスキューするセルスタータ機能を持ったポータブル電源です。

 電池の容量は12Vで17Ahですのでざっと200Whです。


(1)第一印象

 でかい,重たい,不細工。

 ポータブル電源としての機能をちょっと無視すると,嫌悪感のある外観です。無骨な外観,おかしな色使いの操作パネル,「ポータブル電源」と大きく日本語で書かれた下品なシール,と,そんなにアピールしなくても分かるよ,とため息が出ます。

 いや,この製品が悪いわけではないのですよ。ただ,自動車用品としての生い立ちから,そのへんの妙な無骨さに抵抗が強くて,良い印象が沸いてきません。

 W410×H370×D110で重さ8kg。電動ドリルのキャリングケースよりも大きく,見た目よりずっと重たいため,かなりの存在感があります。非常時にはよいとして,平常時にこれをどこにしまっておけばよいでしょうか。

 ところで,これは製品の問題ではなくお店の問題なのですが,箱に直接伝票を貼って送って来ました。運送屋の人も取っ手を使って持ち運ぶのでボロボロになり,もう使用しないときの収納には使用できません。「箱も商品」と私などは教育されたものですが,未だにこんなちゃらんぽらんな会社があるんですね。

 ええ,大阪のJといえばお分かりでしょう。


(2)電気的性能

 説明書によると80WのAC機器を2時間駆動できるとありますので,インバータの効率は約80%,つまり160Wh相当ということになります。

 仮に,3WのGreenFan2なら53時間も駆動できます。5WのLEDライトなら32時間です。40WのノートPCなら4時間ということですので,かなり本格的な非常用電源です。

 充電時間は8時間かかりますが,寝ているうちに充電すれば全然OK。

 ただし,インバータが150Wですので,例えば5分でいいから電子レンジを使いたいとか,10分でいいから湯沸かしポットを使いたいとか,1回でいいのでご飯を炊きたいとか,そういうことには使えません。

 私の持っている除湿器は200Wでこれも使えません。エアコンなどもってのほか,冷蔵庫も無理です。ホットプレートももちろんダメです。

 ドライヤーもだめ,トースターもだめ,GOPANもだめですね。アイロンもダメならテレビもだめです。

 冬場など,電気毛布が使えるとありがたいのですが,実はこれもダメ。電力的には大丈夫なのですが,インバータの出力が矩形波で,サイリスタ制御の電気毛布では使えないのだそうです。温度制御のない暖房器具で100W以下のものを用意して置くと良いかもしれません。

 基本的に誘導負荷は使えず,モータを交流で駆動する装置には原則使えません。抵抗負荷(電球や電熱器など)や内部で直流に変換して動いている機器なら大丈夫ですが,それも150W以内ですからね,随分と限られます。

 と考えると,私が支払った23800円に対して,価格相応のものだったということがよく分かります。この値段で決まったバッテリー容量とインバータで,その結果非常用のポータブル電源としてはあまり利用出来る機器がないわけです。

 確かに,携帯電話の充電やノートPCの充電,ゲーム機器の充電などに使えるので,本当に停電すればありがたいことでしょう。しかしながら,これらは停電前に充電しておくことが原則です。


(3)寿命

 電池の寿命を延ばすために1ヶ月に一度の再充電が必要で,それでも3年で電池がダメになるとあります。鉛蓄電池の性能を考えるとやむを得ないところですが,年間8000円で中途半端な安心を買うことに意味があるかどうかは,ちょっと難しいところです。

 それに,鉛蓄電池ですので,廃棄は面倒です。粗大ゴミで持っていってくれるはずもありませんし,車のバッテリーは交換が原則ですので,自動車屋さんに引き取ってくれとお願いしても,断られるのがおちです。メーカーに返すのが一番適当でしょうが,それだと年間8000円でリースしたようなもので,なんだかばからしいです。一番いいのは,3年ごとに有償でバッテリー交換ですけども,そういう話も特にありません。

 鉛を使った電池ですので,安全面においても,資源の回収という面においても,きちんとリサイクルしないとまずいですので,買う前にちゃんとその辺を考えておくことをおすすめします。


(4)使い方の工夫

 150Wのインバータですので,小さい保冷器や小型のコンプレッサなどの電動工具くらいは使えそうですね。誘導負荷なので本当はダメなんですが,まあ短時間ならいいでしょう。

 LED電球を使った照明器具は便利に使えそうですが,部屋に備え付けの照明器具を接続出来ないのでダメですねえ。

 小さい保冷器や小型の掃除機,小型のPCなら使えます。こうなると緊急というより,やっぱりアウトドアで無理矢理快適な生活を手に入れるためのものですね。

 暖房器具についても,60Wくらいの足温器や小型の電熱座布団なら使えそうです。これらは安く売っていますし,冬になったら買っておくといいと思います。

 これは少し調べてみないといけませんが,もしかするとガス給湯器が使えるかも知れません。ガス給湯器は100Vの電源が必要で,停電するとガスは通じていてもお湯が出ませんから,お風呂もシャワーもだめなのです。もし給湯器がポータブル電源で使えるなら,これはかなり有用です。(と思って調べてみましたが,どうも150Wではおさまりそうにない感じですね・・・残念)


 ということで,これだ!という決定版の使い方がなかなか見つからない中途半端さがちょっと残念な印象ですが,庶民がちょっと無理してなんとか手が届く非常用電源としてはこのあたりが限界かも知れず,その意味ではこれをなんとか使いこなすことを考える必要があると思います。

 そもそも非常用ですので,このままなにも起きなければ無用の長物になること請け合いで,まさに24000円を捨てたに等しいわけですが,何も起きないならそれに越したことはなく,私としてはこれをメンテしつつ,無駄に終わってくれることを,ちょっと惜しいと思いながら,願っています。

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