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2011年06月18日の記事は以下のとおりです。

放射能レンズ続報とDoseRAE2との比較

 先日,ふとしたことから作ったガイガーカウンターを使って,他に放射線を発するレンズがないか,調べてみました。

 すると,ありましたよ,ほかにもバリバリいうやつが。

 いずれもペンタックスのTakumarレンズなので面白味はないですが,まさか全部で4本もバリバリいうレンズが見つかったので,ちょっと驚きました。

 今回見つかったのは,SuperTakumarの55mm/F1.8とSMCTakumar50mm/F1.4,そしてSMC-PENTAX50mm/F1.4です。

 SuperTakumar55mm/F1.8は廉価版のレンズで,やや小ぶりのものです。フォーカスリングには直接ローレットが切ってあります。

 SMCTakumar50mm/F1.4はES2の標準レンズとしても使われたもので,当時最先端のマルチコーティングに開放測光用の連動ピンを備えた,Takumarとしてはフルスペックのレンズです。フォーカスリングにはゴムが巻いてあり,次世代を彷彿とさせるデザインですが,光学設計が新しくなっているわけではありません。

 そして最後のSMC-PENTAX50mm/F1.4は,Kマウント用標準レンズの初代のもので,K2,KM,KXが出たときに用意されたレンズです。光学系はSMCTakumar50mm/F1.4からそのまま流用し,マウントをKマウントにしたものと聞いています。(なお,その後50mm/F1.4で世界標準となる6群7枚の変形ガウス型は,今回のSuperTakumar50m/F1.4が起源とされています)

 時間がなくてきちんと測定出来なかったのですが,感じとしては今回リファレンスとして多用したSuperTakumar50mm/F1.4(7枚玉)よりも少し弱いかなという印象(100から200CPM程度)でした。ただ,距離の関係も大きいですから,そのあたりをきちんと管理し,比較を結果ではありません。

 他の方の測定結果を見ていても,55mm/F1.8はあまり強くないらしく,また50mm/F1.4はSuperTakumarだろうがSMCTakumarだろうが,はたまたSMC-PENTAXだろうがあまり変わらずようです。

 SuperTakumar55mm/F1.8は,Kマウントアダプタを使ってK10Dなんかで使うと,使い心地もよいのです。55mmの1.5倍ですから82.5mm相当。これが50mmだと75mmですので80mmを越えません。光学的も欲張ったF1.4ではなく,無理をしない高画質が手に入ります。

 一般的傾向として,この手の放射能レンズはレンズが黄色く変色する「黄変」が起きます。この黄変は,撮影画像が明らかに黄色く転ぶくらいのものなので補正は必須ですが,現代にも通ずる,とてもよい画像を結んでくれることが多くの方によって述べられています。

 アルミの鏡筒は工芸品と呼ばれるほど精度高く加工されていますし,フォーカスリングのトルクも適切で,その感触も素晴らしいものです。

 あまり放射能レンズで大騒ぎすると,知識のない人が不用意に怖がって,最悪彼らから排斥を受けたりするかも知れません。ペンタックスやコニカだけでなく,KodakやLeicaのレンズにも放射線を出すレンズは存在するわけで,それらは一様に銘玉と呼ばれていますが,それらとて体に密着させて24時間過ごすなど極端な使い方をしなければ危険ということはないと言われていますし,放射線を出さないものまで含めて,オールドレンズが一網打尽に危険視されてしまえば,オールドレンズをこよなく愛する趣味人にとってはまさに死活問題といえるでしょう。

 私個人は,あまり目くじらを立てて放射線を敵視することも,大騒ぎすることもないと思っている人ですが,一方で近づかないに越したことはないという理屈には大賛成です。放射線を怖がることはないという学者の先生は知識があるからそういう話ができるのであって,知識がない我々は,やっぱり避けるしかないのです。

 もう1つ大事な事は,これらの放射能レンズは安全だと思いますけど,それを怖がっている人に押しつけるのは間違いと言うことです。趣味としてそのレンズの利点と欠点を味わっている人は,他の人に迷惑をかけたり,不愉快な思いをさせたりしてはいけないです。

 実家にもSuperTakumar50mm/F1.4が1つあります。ただしこれは8枚玉だと思われるので,放射線を出さないものである可能性もあります。(8枚玉でも放射線を出すものと出さないものがあるとのことです)

 私の印象では,この8枚玉と思われるSuperTakumar50mm/F1.4は,ちょっとピントが甘く,絞り開放では使えないかなあという印象でした。それに比べて,7枚玉の50mm/F1.4は同じ名状で売られていたレンズとは思えないほど切れがいいです。

 前回も書きましたが,でももしこのレンズの破片が体内に入ったりしたら,結構強い放射線で内部被曝することは避けられません。そういう点での危険性は高いので十分な注意は必要でしょう。

 ガイガーカウンターを作ってみると,このレンズの後玉をGM管に密着させればかなり放射線量を示しますが,5cmも離せばほとんど検出出来ないくらいになりますし,1mも離せばバックグラウンドとなにも変わりません。

 あくまで個人的な意見で,これをもって「安全」ということは絶対にありませんが,私はこのレンズと上手な距離を保ち,これからも使っていこうと思っています。黄色に変色していて,1960年代後半頃に作られた大口径レンズには国内外を問わず,該当するものが多いと思われますが,その安全性はそれぞれでご判断頂きたいと思います。

 ところで,先日知人にこの話をしたところ,やたら食いつきが良かったのでさらに話を聞いてみると,彼はおもむろにポケットから「DoseRAE2」というシンチレーション式の線量計を取り出し,見せてくれました。

 DoseRAE2,これいいですね。もし自作してなかったら,これを買っていたように思います。

 校正済みということで,値はそれなりに信用できると思うのですが,SuperTakumar50mm/F1.4を測定すると,2cmの距離で6uSv/h,密着させると12uSv/hという結果になりました。

 実のところ,自作のガイガーカウンターの値がちょっと大きすぎるので気になっていたのですが,D3372でSuperTakumar50mm/F1.4を測定した結果が200cpm程度という他の方からの報告で自作品の動作はほぼ間違いなく,uSv/hへの換算についてもDoseRAE2との比較によって,なかなかいい線行ってることがわかりました。

 高価な上,入手が難しい貴重なものを,こうして使う機会を得たことは,本当にありがたいことです。気持ちよく使わせてくれた知人のKさんに感謝です。

 これによって,自作ガイガーカウンターの客観性がある程度分かりました。測定器というものは,こうした客観性がとても重要なことなのです。

 加えて,対象物との距離の問題もあることがはっきりしましたし,放射線の測定というのはほんと難しいですね。

 結果に振り回されて,一喜一憂することは,かえって疲れてしまいますので,皆さんもご注意下さい。

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