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2017年04月17日の記事は以下のとおりです。

54645Dが壊れていた~原因が分かった編

  • 2017/04/17 16:03
  • カテゴリー:make:

 我が愛しのHP54645Dの故障が発覚,CH2にトリガかかからない問題をどうするか,修理か,買い換えか,TDS3054Bにリプレースか,果たしてどうしたものか・・・

 とりあえず修理を試みるのですが,メインボードを見て,その部品点数の多さに絶句します。もっとも,部品点数が少ないものは,それはそれでASICに集約されているという事ですから,修理出来る可能性は非常に低くなってしまうわけで,故障箇所を探すのに苦労するけど修理は可能なものと,故障箇所はすぐに分かるが分かったところで修理不可能なものと,どっちがいいかという話です。

 まずは基本に忠実に,基板を目で見てみて,破損した部品がないかどうかを見てみるのですが,悪いところは見当たりません。こうなったら,信号を追いかけていくしかないのですが,回路図もないのに,こんな複雑な回路を追いかけるなんて,うまくいく気がしません。

 ダメモトで探してみると,54600Aと54645Aというアナログ入力のオシロスコープの回路図が見つかりました。前者はデジタルオシロ,後者はMEGA ZOOM搭載ですが,残念ながらミックスドシグナルオシロスコープではありません。

 とはいえ,時期も似たようなものですし,きっと共通の回路も多いだろうと回路図を眺めていると(これが実に楽しい),トリガは垂直のプリアンプから分岐し,マルチプレクサで選択された後,波形整形と高速コンパレータでトリガ信号を作るようになっていました。これならなんとかなりそうと,基板を見てみますが,それらしい部品は見当たりません。

 何度も何度も確認しましたが,プリアンプからの分岐も,高速コンパレータも見つかったのに,故障の可能性が高いマルチプレクサがないのです。

 ここでくじけそうになったのですが,HPジャーナルというHPの社内報によると,54645Dはミックスドシグナルオシロスコープなので,トリガが他のアナログ入力のみのオシロとは異なっていて,ASICになっているということでした。

 万事休す。ASICの故障だとすれば,もう手はありません。でも,まだそうと決まったわけではありません。あきらめるためにもきちんと原因をはっきりはっきりさせたいところです。

 やったことはとても地道で,プリアンプから出ているトリガ用の配線をテスターで追いかけて,どこに繋がっているのかを調べていきます。いわば回路図を起こすわけですね。

 この作業は,テスターの導通チェック機能を使うわけですが,横で見ていた5歳の娘が「ピー」と音の出るのを面白がり,さっぱり捗らなかったことを書いておきます。

 娘が眠った後,頑張って作業再開です。順番に追いかけていくと,どうもCH1とCH2で同一の回路が個別に作られているような感じです。あれ,アナログ入力だけのオシロなら,CH1とCH2を切り替えるマルチプレクサがあり,そこから先の回路は1つしかないはずなんだけど・・・

 ここで,この54645Dがミックスドシグナルオシロスコープであることを思い出しました。ミックスドシグナルオシロスコープの本質は,デジタルとアナログのすべての入力を観測出来ることというよりも,これらの入力から縦横無尽にトリガ条件を組み合わせて作る事が出来る事にあります。

 とうぜん,CH1とCH2からトリガ条件を作ることも出来るわけで,そうなると当然,トリガを生成する回路も独立していないといけないわけです。

 なるほど,54645Dでトリガ発生回路が2つ存在する理由がわかりました。なら,2つの回路の動作を比較していくと,故障箇所が判明します。

 トリガ発生回路は,アナログ入力だけのオシロのトリガ発生回路とほぼ同じのようです。テスターで大体の回路構成を把握してからTDS3054Bに持ち替えて,波形を追いかけていきます。CH1にはTDS3054Bの校正出力(1kHz)を,CH2にはファンクションジェネレータで2KHzを作って突っ込みました。

 信号を順に追いかけていくと,トリガパルスを生成する,トリガ回路の心臓部に来ました。SPT9687という見慣れない部品がコンパレータで,こいつでトリガを作っているようです。

 SPT9687もCH1とCH2で別々に存在しているので,それぞれの信号波形を比較すると,CH2のSPT9687の出力になにも波形が出てきていないのがわかりました。入力端子は正常ですし,CH1の出力には,トリガレベルに応じた波形が出てくるので,明らかに異常です。

 こいつが犯人かもと思って,CH1とCH2のSPT9687を入れ替えて見ました。

 すると,CH1でトリガがかからず,CH2でトリガがかかるようになりました。

 ビンゴ!

 CH2のSPT9687は壊れているのが,CH2でトリガかからない原因でした。

 いやー,我ながら,よくやるわと思いました。計測器の修理が出来るというのは結構なスキルが必要だと感じて以来,自分のいつかは出来るようになったらいいなあと憧れてきましたが,オーディオアナライザもデジタルオシロスコープも,ここまで出来るようになっていたんですね,自分は。ありがたい話です。

 原因が汎用の半導体なわけですから,これはもう交換して修理をしたいですわね。そこでSPT9687を探してみますが,全然変買えそうにありません。なんでもECL出力の差動出力コンパレータで,2.3nsという超高速なものです。イネーブル端子もあるもので,私はこんなもん,見たことがありません。

 この高速性というのは,おそらくトリガのキレにかかってくるんだろうと思います。高いんだろうなあと,背筋がゾクゾクします。

 しかし,どれだけ探しても見つかりません。唯一見つかった日本の業者に見積もりを出すも,在庫無しと簡単に断られてしまいました。個人だから,きっと邪気にされたんでしょうね。寂しい話です。

 すでに生産中止になり,入手が難しい部品が壊れているという現実に,打てる手は限られています。置き換え可能な互換品を探す,他のオシロスコープから外して使う,全く別の部品を無理矢理使う,くらいでしょう。

 まだまだ続きます。

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