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F2の分解清掃で小ネタ2つ

 完全な機械式カメラであるF2フォトミックがまともに動き出して,あとはフィルムでの試写を行うのみとなったのですが,その後の小ネタを2つほど。

(1)ファインダーアイピースバラバラ事件

 さすがに50年も経過すると,プラスチックは分解し,柔らかくなったり欠けたりします。ひびが入ってボロボロと崩れていくこともしばしばです。

 プラスチックは安いし,自由な形に成型できるし,強いし美しいし,色も選べるということで,今やこれなくしていかなる工業製品も成り立たないのですが,問題の1つは経年変化に弱いことがあると思います。

 実際,金属で作られた大昔のカメラは修理可能でも,プラスチックを多用した比較的新しいカメラは修理出来ないことがごく普通に起こっています。

 ニコンFもF2も機械式カメラであり,壊れても修理可能だといわれていますが,プラスチック部分については例外で,ここが壊れてしまうと別の方法を使って修理するしか方法がなかったりします。F2の電池ケースの割れは,もはや定番の故障です。

 で,私のF2もようやくにしてボディとファインダーが組み上がって,暫定的に露出計の調整も終わって一息つき,改めて眺めていると,アイピースがねじ込まれる部分のプラスチックにひびが入っているのを見つけました。

 これはまずい。今のうちに手を打たないとえらいことになります。

 急いでアイピースを取り外し,周辺の張り皮を剥がします。2本のネジが出てきますが,これを緩めて,接眼レンズがくっついているこのブロックを取り外します。

 よく見てみると,上と下にそれぞれひびが入っていて,上のひびはもう少しで完全に破断しそうなほど長く伸びています。

 更によく見ると,ビスの穴から横方向にひびが入っていて,もうボロボロと壊れてしまいそうです。

 プラスチックには接着剤なのですが,ここは最強の接着法である「溶着」を使います。アクリル用接着剤を隙間に流し込み,ぐっと押しつけておくと,接着面が溶けてくっつきます。くっついてしまえば元のように一体化するので,割れてしまったことすらなかったように,元の強度が戻ります。接着の強さは,力を加えてねじったら,接着部分ではなく他の部分が壊れてしまうほどです。

 ただし,寸法がちょっと変わってしまいます。溶けるのですから当然です。

 それと,接着剤とはいいつつ,揮発性の有機溶剤ですので,乾いてしまうのはすぐです。しかし,溶けたプラスチックが固着し,元の強度を発揮するには最低一晩放置しなくてはいけません。1時間や2時間程度で力を加えると簡単に剥がれてしまいます。

 ということで,完全で破断すると位置合わせも難しくなるので,割れ筋のうちに修復です。

 裏側の押さえ金具,接眼レンズ,そしてゴム枠の3つを取り外します。順番と向きはメモしておきます。

 そして割れ筋の部分を両側から押さえて,隙間が小さくなることを確認します。そしてその割れ筋に,接着剤を流し込みます。すっと入り込んで行きますが,ここで力を緩めず,出来ればテープやゴムで密着させておきます。これで一晩です。

 あまり強く押すと,溶けた部分がはみ出してしまい,寸法が変わってしまいます。また,力を緩めると隙間が余計に広がってしまい,接着そのものが出来なくなってしまいます。

 事故は個々で起きたのですが,指で挟むようにして押さえつけていたのところ,なんと別の部分がひび割れてしまい,そこが完全に破断してしまいました。大慌てで部品を集めてあわせて,さらに接着剤を流し込みます。

 ようやく元の形に戻りました。翌朝様子を見ると,幸いうまく接着できているようです。

 せっかくですので,接眼レンズも綺麗にクリーニングしておきます。そしてゴム枠,磨いた接眼レンズ,そして押さえ金具を戻し,ファインダーに取り付けてビス留めです。

 しっかり修理が出来ていることが確認出来たら,張り皮を貼って完成です。どうも,視度補正レンズを強くネジコンd事も悪かったような気がします。少しゆるめにしておきましょう。

 この,アクリル用接着剤でプラスチックを溶着する方法は最近私が多用するもので,スチロールはもちろん,接着が難しいとされるABSでも強力に接着できます。ポリプロピレンやPETなんかはやっぱりダメなんですが・・・

 F2の電池ケースもこれで修理をしていますし,結果は上々です。

 ただ,古いプラスチックの修理は,溶着した部分こそ元通りになるかも知れませんが,全体的に脆くなっていますから,他が割れてしまうかも知れません。
 

(2)シャッタースピード簡易テスタ

 メカだけで1秒から1/2000秒を作り出すF2のメカシャッターは,カメラが精密機械といわれていた時代があったことを我々に思い出させてくれますが,電子制御シャッターと違って精度が心配なのも事実です。

 特に,高速側のシャッターは無理をしているのか,最高速が出ていないことが多くのカメラで見られたそうです。(アサヒカメラのニューフェース診断室のバックナンバーを見てみて下さい)

 そういう話になってくると,自分のF2も心配になってくるものです。多少のズレはいいとしても,大幅に狂っていないかだけは確認しておきたいです。

 アナログオシロを使って簡易チェックはやっていますし,結果1/2000秒で問題ないことをある程度確認してありますが,もうちょっとちゃんと,楽に確認出来ないものかと思っていたところ,フォトトランジスタがONになる時間を測定することを思いつきました。

 調べてみると随分と古典的な方法で,オシロスコープを持っているカメラ修理を趣味とする人ならほぼ全員がやっているんじゃないでしょうか。

 フォトトランジスタは手持ちの関係でTPS603Aという東芝の廃品種を使います。フォトトランジスタですので速度は遅く,電流を流しても数msの遅れがあります。

 1/1000秒なら1msですので,あまりに遅いと正確に測定出来ませんが,かといってフォトダイオードは使うのが面倒ですし,スローシャッターを確認出来るだけでも意味がありますので,さっさと作ってしまいます。

 アクリル板を適当にカットし,真ん中に3.2mmの穴を開けます。ここにTPS603Aを押し込み,そばに両面テープで貼り付けた基板に,足をハンダ付けします。

 基板には470Ωの抵抗も取り付け,電源とGNDと出力の3つの端子を出しておきます。

 電源は10Vあたりをかけ,オシロスコープを繋ぎます。

 カメラの裏蓋を外して,フィルムの代わりにアプリル版をテープで固定します。ミラアップし,マウント側からマグライトで光を当て,シャッターを切ります。

 おお,ちゃんとシャッターが開いたときにONになっています。

 さすがに1/1000秒くらいになるとなまってしまいますが,F3でも測定を行って相関を取っておけば,結果を目安くらいには使う事が出来るでしょう。

 また,本当はシャッターは走り始めと走り終わりで速度が違っていて,それが露光ムラの原因になります。だから,シャッターが開いている時間を測定する前に,シャッター幕の走行速度を合わせて置くのが必須なのですが,それはそれでまた別の測定器が必要なので,今回はやめます。

 横走なら,左側と右側のシャッターの開いている時間を比較すれば,幕速が出ているかどうかもわかるでしょうし,今回はこれでいいです。

 さて,結果ですが,X接点よりも低いスローシャッターは完璧でした。高速側も1/100秒まではほぼ完璧,1/2000秒が速いということがわかりました。

 ただ,速いと言っても,立ち上がりと立ち下がりがF3よりもなだらかで,ダラダラと露光している感じです。とはいえ,どんなシャッターの動きがこういう露光に結びつくのか私はちょっとわからず,もしかするとシャッター幕とフォトトランジスタとの距離が開いていたとか,光源との光軸が大きくズレて斜めから光が入ったりしていたのかも知れません。

 完全に開いている部分は500us以下ですが,開き始めるて完全に閉じきるまでの時間は70usを越えているので,ならすと500us程度になるでしょう。ですのでトータルで1/2000秒の露光時間になっているのだと思う事にします。

 本当は,F3だけではなく,F100などの縦走りの電子制御シャッターも測定したかったのですが,F100は裏蓋があいているとシャッターが動かないようになっていますし,SFXnはシャッターは動きますが開いてくれません。

 もう面倒くさくなったので,ここで終了。当初の目的であった,F2のメカシャッターがそれなりに精度で動いていたことがわかっただけで十分です。

 

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